顧客分析とは?

顧客分析とは

そもそも顧客分析とは、
顧客の理解を深めるために年齢や性別・購買履歴などから顧客を分析することです。
顧客分析をすることで自社のサービスや商品を展開していくのに大変役立ちます。

ではなぜ、顧客分析が重要なのでしょうか。
マーケティング領域をベースに深堀りしていきます。

マーケティングにおける顧客分析の重要性

顧客分析をすることで自社の現状を把握することができます。
顧客の行動データや満足度から新たな戦略を立案することや、行った施策の効果を確認、分析することができます。
顧客分析をマスターして、自社の業績アップにつなげましょう。

顧客分析において型となる、代表的な「フレームワーク」を紹介していきます。

顧客分析フレームワークについて

顧客分析フレームワーク
代表的な顧客分析のフレームワークを3つ紹介します。

顧客分析フレームワーク ①デシル分析

デシル分析とは、購入金額で顧客を分類する手法のことです。
デシルの語源はラテン語で「10等分」という意味です。
つまり顧客を10等分して分析する手法と覚えてください。

デシル分析は非常に簡単な方法ですので、以下の手順で行えばExcel、スプレッドシートでも簡単にできます。

Excel・スプレッドシートでのデシル分析

※仮に顧客が300人いたとします

  1. 顧客を購入金額の多い順番に並び変えます。
  2. 顧客300人を10等分し、30人ずつグループ化を行います。(上位からデシル1-デシル10)
  3. 各グループの購入金額の合計を算出します。
  4. 全顧客(300人)の購入金額の合計に対して、
    それぞれのグループの購入金額が何%を占めているのかを計算します。
  5. 上位からの累積でどのくらいの割合を占めるのかの累積購入金額比率を算出します。

デシル分析のメリット

デシル分析をすることによって、
上位グループが自社の売り上げのどの程度を占めているのかなど、
グループごとの売上貢献度を知ることができます。
どのグループにどのような施策を打つのかが今後の課題になりますが、
デシル分析だけでもマーケティングに役に立つ有用な情報が手に入ります。

上記のような簡単な方法で顧客分析ができるのは非常にお手軽で、かつ有益ですね。

デシル分析のデメリット

次にデシル分析のデメリットです。

短期間でのデータならそこまで影響はありませんが、
長期間の売上データを利用すると、
過去に高額商品を1度だけ購入したことのある顧客も、上位グループ(優良顧客)と判断してしまうことがあります。

  • 優良顧客になる手前の準優良顧客に、優良顧客としての施策をしてしまう
  • たまたまのラッキーパンチだった顧客を優良顧客として扱ってしまう

などの間違った施策をしてしまうといった注意点があります。

この問題を解決する顧客分析手法として、次に紹介するRFM分析というものがあります。

顧客分析フレームワーク ②RFM分析

RFM分析とは、

  • 【R:Recency (最新購入日)】
  • 【F:Frequency (購入頻度)】
  • 【M:Monetary (購入金額)】

の3つの指標で顧客を並び替えグループ化する分析手法のことです。

RFM分析はデシル分析にはなかった最新購入日と購入頻度の概念が加わったためより高度な分析を行うことができます。

RFM分析の具体的な分析方法

【最新購入日・購入頻度・購入金額】の3項目それぞれのヒストグラムを作ります。
まずは数値で自社の顧客の分布を確認しましょう。
(データの性質を知る)

次に以下のようなグループを用意し、顧客を分類します。

  最新購入日
Recency
購入頻度
Frequency
購入金額
Monetary
ランク5 7日以内 20回以上 10万以上
ランク4 14日以内 15回以上 7万以上
ランク3 1カ月以内 10回以上 5万以上
ランク2 3カ月以内 5回以上 3万以上
ランク1 半年以内 5回未満 3万未満

(この区分けは自由に変更することができます)
以上の手順で顧客を分析することができます。

少し難しいですよね、、、

例えば、「ランク4の優良客でも、Rが低ければFやMが高くても他社に奪われ、離反している可能性が高い」
噛み砕くと、「以前は自社商品を多く購入されていたが、最近は購入がない
と考察し、
企業は離反客の対策を練る必要があると分析をすることができます。
RFM分析は自社の顧客の状況を可視化させてくれるため、マーケティング施策の指標としてとても役に立ちます。

RFM分析の注意点

注意点として、RFM分析ではランクをどこで区切るのかがとても重要な問題であるため、
業種・業界・商品や行う時期などを考え、慎重に決めてください。
また決定してから変更することも問題ないので常にアップデートする姿勢が重要です。

RFM分析は、ECサイトなどの短期的な売り上げを伸ばすためにとても良い分析方法です。
ただし、逆に長期的に売り上げを伸ばしていくための顧客分析手法をお探しの場合は、よりお勧めできる分析手法があります。

それはCPM分析です。

顧客分析フレームワーク ③CPM分析

CPM分析はRFM分析に +「期間」という概念を加えた分析手法になります。
期間という考え方を取り入れることによって、
RFM分析では取りこぼすことになっていた優良顧客などもデータに組み込めるのでより正確な分析が可能になります。
ただしその分、データの収集や分類が複雑になります。とほほ。。。

CPM分析の具体的な分析方法

  1. 初回購入日から最終購入日までの期間を決めます→仮に【90日】
    →この期間を在籍期間といいます。
  2. 購入金額を決めます→仮に【50,000円】
  3. 以下の基準からグループ分けをします。
    ①購入回数1回(初回購入日から最終購入日までの期間0)→初回客
    ②初回購入日から最終購入日までの期間が90日の間に2回以上の購入→よちよち客
    ③期間が90日以上、購入金額50,000円未満→コツコツ客
    ④期間が90日から120日の間に購入金額50,000円以上→流行客
    ⑤期間が120日以上購入金額50,000円以上→優良顧客
    ⑥最終購入日が半年未満/以上→①〜⑤のそれぞれを現役顧客/離脱客

このルールで出来上がった表はこちらです。顧客をこの表に当てはめて分類します。

    初回客 よちよち客 コツコツ客 流行客 優良客
  購入金額     5,000円未満 5,000円以上 5,000円以上
在籍期間 90日未満 90日以上 90~120日 120日以上
離脱期間 半年経過で離脱客
離脱客 半年経過で初回客に戻る

CPM分析とRFM分析の違い

RFM分析では取りこぼしていた顧客をCPM分析ではしっかりと分類できます。
どのような顧客を取りこぼしていたかというと、
RFM分析では何らかの理由で、少しの期間だけ自社の商品を購入していなかった顧客が離脱客として分類されてしまうという点です。
例えば、
「自社の洗剤を購入してくれていた顧客がスーパーの景品で洗剤をもらったため、
景品の洗剤を使いきるまで購入をしなかっただけなのに、離脱客としてしまった」場合などです。
噛み砕くと、「本来は優良顧客なのに、離脱客としてしまった」といったケースが考えられます。
この顧客は、景品を消費しきったら再び自社の製品を購入してくれる見込みがあるにもかかわらず、
RFM分析だとそれを考慮することができません。

CPM分析なら離脱客と判断するための期間も自分たちで決められるため、
より正確な分析をして顧客にアプローチすることができます。

顧客分析の注意点

顧客分析の注意点

顧客分析をする際に注意しなければならないことは、
何のために顧客分析をしているのかという目的を見失わないことです。

この目的を忘れてしまって、顧客分析をする際にデータを集めたら満足してしまうということがよくあります。
分析は効果的な施策を行うためのツールの一つです。
分析をするだけで終わらずにマーケティング施策に活かしましょう。

まとめ

顧客分析を行えば、成果につながるマーケティング戦略を立てやすくなり、営業成績の向上や事業の成長が見込めます。
今回紹介したフレームワークを使えば、
顧客のグループごとの傾向を掴むことができるため、効果的な顧客育成を実現することができます。

ただし、大切なことはシステム導入でもデータの可視化でもなく、
顧客とどう向き合ってコミュニケーションしていき、
顧客の「満足」を最大化しながら自社の売上をも最大化するにはどうしたら良いか、を考え抜くことです。

今まで顧客分析の機会を設けていなかった企業も、今後は顧客分析を実施してみてはいかがでしょうか。

まとめるとー、
筋トレを1日2日サボったからといって離脱客とするのではなく
人生という期間を設定して常に自分を優良顧客として向き合っていくのがいいかなと。