事業部ごとにテーマを決めてプレゼンを行う『eセッション』!!
第4回目の今回はマーケティング事業部によるプロモーションのプレゼンです。

今回のテーマは「正反対のプロモーションからマーケティングを学ぶ!」。
面白いマーケティング事例を紹介していますよ!

それではさっそく行ってみましょう!

1つ目の事例:某ジムのプロモーション

皆さんは最近、
「飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している某ジム」
と言われたらどこを思い浮かべるでしょうか。

名前を出せませんが、想像しつつ読んでいただけると嬉しいです。
ここでは「某ジム」と呼称させていただきます。

 

まずは某ジムの勢いがどれだけ凄いのか、ご紹介します。

こちらのグラフはグループ全体の店舗数推移を表しています。
既存事業として店舗を出していましたが、
新事業であるジムへ業態転換しつつ高収益化を狙っています。
某ジム店舗数成長グラフ

さらに、下記は新事業のジム会員数の推移です。

現在まで大変な勢いで店舗と会員数を増やしてもなお、
”下期は品質向上に集中している”と、全力で集客していないことがわかります。
勢いが止まりません。

さらに、「某ジム」はフィットネス事業の成長に大きく貢献しているといいます。
つまり、今までジムを利用していなかった人を顧客にできているということです。

一体どうやって?
「某ジム」のターゲット設計を見てみましょう。

某ジムのターゲット設計

みなさんは「一般的なフィットネスジムのターゲット設計はなんだと思いますか?」

本気で筋トレをしたいと思っている30代のサラリーマンでしょうか?
最近太ってきたなと思っている20代のOLでしょうか?
普通はこのように「実際に使用する個人」を思い描いて設定するのがターゲット設計です。

 

しかし、某ジムのターゲット設計は全く違います。

いきなり答えを言ってしまいますが、
なんと「筋トレガチ勢以外」なんです。

マーケティングを少しでも知っている人からするとあり得ないターゲット設定です!
こんな大まかなターゲット設定をしても、幅が広すぎて普通は狙いが定まらなくなってしまいます。

しかし、実はこれがブルーオーシャンでした。
既存のフィットネスジムと某ジムのポジショニングを見比べてみましょう。

通常のジムは「運動意識が高い人向け」に営業していることがほとんどです。
なので、通常はマップ右側でひしめき合っています。
また、女性は「運動意識が低い人」が比較的多いのでフィットネスの形で営業していることがあります。
「ヨガ」や「ピラティス」なども近年多いのではないでしょうか。

それに対して、某ジムは「運動意識が低い全年齢・性別」に対してターゲットを設定しました。
ここをターゲットにする企業はなく、今では一人勝ちだと言えます。

 

某ジムの”目立つ”プロモーション

某ジムは先行投資により急速な事業拡大と認知の拡大をしています。
早い段階から誰もが知っている店舗になったのです。

例えば、
Web広告、ポスティング、駅前チラシ配布、SNS、テレビCMなどでの露出など、
できることはほとんどやっているような状態です。

みなさんは自分が事業をやるときに、数店舗しか出ていない状態で膨大な費用を広告に使いますか?
まだ店舗が万全でないにも関わらず、なぜ膨大な販促費をかけたのでしょう?

実は、目立つ戦略の裏に、緻密なリサーチがあったのです。

”企業名を出さない覆面店舗”として47店舗を出店したテストマーケティング

新事業の名前ではなく全く違うジムとして、
オフィス街、駅前、山手線圏内、やや都心から離れた住宅地など複数エリアで店舗展開しました。

似たような条件の店舗価格帯や設備、サービス設計を一部変えて、集客や継続率などを検証したのです。
それによりユーザーのニーズを細かく把握し、現在のビジネスモデルを練り上げました。

ブルーオーシャンかつ、ターゲット層も幅広く市場サイズが大きいだけでなく、
緻密すぎるリサーチでユーザーニーズを把握し、ビジネスモデルを決定することで
膨大な先行投資でも回収できるという自信のうえ踏みきれたのです。

某ジムの新事業

認知度と巨大なマーケットを手にした某ジムの次なる動きですが、
実は「広告プラットフォーム事業」を行おうとしています。

今では100万人を超えるジム会員へ対し様々な広告アプローチが可能となったり、
広告ノウハウ提供したりするということです。

chocoZAPの集客ノウハウを元にしたコンサルも可能ということですが、
すべてコミコミ集客コンサルプラン、いくらだと思いますか?

 

なんと、1000万円/月です、、、!!!

これも目立つプロモーションの一つなのかもしれませんね。
いろんな意味で「某ジム」の今後の動向も目が離せません!

 

2つ目の事例:某EC事業の事例

Webで化粧品などを取り扱うEC事業をメインとした会社があります。
ここでは仮に「某コスメEC」と呼称します。

「某コスメEC」は、社長が現代最強のマーケターとしても呼び声が高く、
2020年には売上100億円に対して、営業利益率29%を達成しました。
なんと、「上々しているEC業界内平均」の12倍の利益率になります。

某コスメECはそんな化け物ECサイトを運営しているのですが、
私が自社でこの企業を出したとき
「このサイトがどんな商品を売っているか」をほぼ知っている人はいませんでした。
実は知らなくて当たり前、某コスメECにとってはむしろ褒め言葉なんです。

なぜか?
今回は目立たないプロモーション戦略の話をします。

某コスメECの”目立たない”プロモーション

某コスメECが実際に取り扱ってる商品は、
発毛促進剤、便通改善食品、目の下専用エイジングケアクリームなどです。
プレゼンの際は商品名を言っても誰も知りませんでした。

 

商品を誰も知らなくても、世の中では売れてる商品なんです。
つまり、ターゲット層にしか認知されないというプロモーションをしています。

しかし、CMや広告をかけて知名度を上げていくのが一般的な考え方なはずです。
目立たないプロモーションは何が良いのでしょうか?

実は、競合が生まれない。
そのため自社だけが成長できるというメリットがあります。
「本当に商品を必要とするお客様にだけ知ってもらい、そのお客様と長くお付き合いする」
この考えを元に、ニッチな市場でトップシェアを取りに行く戦略を行っています。
「広告の目的は目立つことではなく、利益を生み出すこと」なんです。

某コスメECの目立たない戦術

某コスメECは「広告の緻密な設定と運用」を行なっています。
商品ごとにターゲットのニーズを特定して、広告を出稿するのです。

例えば、ツールを用いて抽出した300個のKWよりも、
ユーザーニーズを加味して考え抜いた100個のKWで広告運用すると、
購買意欲がないユーザーの広告は止めます。

リターゲティング広告で2,3回見てクリックしない、買わない人の広告は止めます。
広告を出すのが仕事ではなく、広告を止めるのが仕事なのです。

また、緻密な広告戦略の前に大前提必要なのが商品理解です。
商品の特徴とユーザーのニーズを考え無しに、利益は絶対に出ません。

 

Webマーケティングではテクニカルな思考に依存しがちですが、
もっと人間の感情やインサイトをベースにした思考が必要なのです。
そのうえでデータを分析して、どうしたら無駄を省けるかを考えましょう。

広告を考える時は「何を伝えるか」に注力しろといいます。
「どう伝えるか」を考えがちですが、ユーザーは「何を」の部分に反応します。

「誰に」「何を」「どう伝えるか」がWebマーケティングです。
Web以前は「誰に」をまず考えたが、現代のWebでは「誰に」をAIが判断してくれます。
「何を」「どう伝えるか」がクリエイティブの役割なのです。

今後、個人情報保護の観点から「誰に」が規制されてくることは明らかです。
クリエイティブで「誰に」をセグメントできるようにならないと広告効果は落ちます。
原点回帰で「誰に」「何を」「どう伝えるか」を考え抜き、
クリエイティブに落とし込む力を身につけなければなりません。

 

まとめ

ポイントをおさらいしてみましょう。
・目立つプロモーションの裏には緻密なリサーチあり
・急速に圧倒的認知度を獲得すると、他社は参入するのが難しい
・目立たないプロモーションは競合が生まれない戦略
・商品とユーザーのニーズを考えいてピンポイントに販売訴求を届ける
・Webであっても、誰に何をどう伝えたら買ってくれるか
を考えることが大前提でありWebマーケターは原点回帰せよ

マーケティングというゲームの奥深さを感じていただけたでしょうか。
市場、顧客、競合、自社商品をしっかり理解して戦うことが必要です。
自分の手札が揃う確率だけ数えていては勝てません。

 

それでは今回は以上となります。
また次回の『e-セッション』でお会いしましょう!