エッコ経理の伊藤です。
改正電子帳簿保存法への対応やシステムの進歩により、
経理業務でもDXが進んでいますね。
しかし、経理業務のDXを進める方法がわからない
という会社も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では紙帳票などアナログな作業から
脱却できていないことに課題を感じている経営者や経理部門の方に向けて
業務見直しの4原則を詳しく解説します。
目次
経理部門のDXを進める手順
経理部門のDX化を進めるために1番初めにやるべきことは、
経理がどんな業務をしているか洗い出すことです。
業務の洗い出しをすることで、効率化に向けた具体的なアイデアが見えてくるようになります。
これから紹介する順番でDX化を進めると、
効率的に経理部門の業務効率化を進めることができます。
1.業務効率化をする目的を決める
まずは業務効率化をする目的を明確にしましょう。
先にゴールを決めることで、スムーズに業務のどこに問題があるのかを見つけることができます。
・チーム内で業務内容を共有する(業務の属人性をなくす)
・コストを減らす
・作業工数を見直す
目的を先に決めなければ、「DX化したものの効果を感じられない」
といったことが起こる可能性があります。
DX化すること自体が目的になることを防ぎましょう。
2.経理部門にヒアリングをする
改めて全体像を把握するために、
管理者・担当者を含む対象者に業務範囲をヒアリングする時間を設けます。
ヒアリングの際には、あらかじめ業務の洗い出しをするためのフォーマットを作成しておくとその後も便利です。
〈ヒアリングシートの例〉
ヒアリングシートは、スプレッドシート・Excel・Notionなどから
チームで共有するのに適したツールを選び作成するのがいいでしょう。
3.業務にかかる時間を把握する
次に、どの業務にどれだけの時間がかかるか実際の業務量を確認します。
さきほど作成したシートに、
どの業務にどれだけの時間がかかるかを分単位で記入し、
1回の業務にかかる時間や発生頻度、年間業務量を算出します。
業務量をなるべく正確に把握することで、
何から手を打つべきなのか、少しずつ問題を明確にすることが可能です。
4.業務担当者を把握する
業務量が把握できたら、その業務を誰がどのように行なっているのかと
業務フローを先ほどのシートにまとめましょう。
これにより、各業務タスクの担当者や関連する部門、
情報の流れを把握することができます。
5.現在の業務を見直す
自分が抱えている業務の全体像とスケジュール、業務フローを見える化することができれば、
いつどのような業務によって仕事が圧迫されているのか、何に課題があるのかが見えてくるようになっていると思います。
その上で仕事のボリュームや優先順位を考え、
どの課題からどのように改善してくべきなのかを判断していきましょう。
業務を見直す4原則
ムダな時間をかけずに業務効率化を進める際には、
ECRS(イクルス)の原則を活用を活用しましょう。
例えば、Eliminate(排除)の要素を用いて「排除できる無駄な業務はないか」
と考えてみると、今まで見えていなかった無駄な仕事が見えてくるのです。
それではECRSを構成する各要素と具体例について解説していきます。
排除(Eliminate)
業務改善を進める上で、まずは取り組むべきは、
「排除できるものはないか」を探すことです。
普段当たり前のように取り組んでいる業務が、もしかすると不要である可能性があります。
もともと必要であった業務でも、新たなシステムの導入や従業員の成長などにより、不要になるといったケースも考えられるでしょう。
例えば、「毎日の日報提出を1週間に一度にする」
「毎週実施している会議を月に一度のオンライン会議にする」といった具合です。
不要な業務をピックアップして排除するだけでなく、同時に代替手段を考えるとよいでしょう。
結合(Combine)
経理部門には複数の業務が存在しますが、
中には同じような作業や情報を扱っているものもあります。
これらの業務を統合することで、重複作業を減らし、
効率を高めることができるようになるかもしれません。
複数の部署で同じ様な業務に取り組んでいると、
個別にリソースが必要なためコストもかさみます。
ひとつにまとめればリソースを集約でき、
大幅なコスト削減を実現できるでしょう。
交換(Rearrange)
E(排除)とC(結合)が難しい業務に関しては、
交換や入れ替えによって業務効率を改善できないか検討してみましょう。
例えば「業務の順番や担当者を変える」「一部を外部に委託する」
「作業スペース等の配置を変える」といった総合的な対策が考えられます。
簡素化(Simplify)
ECRSの最後に行うのが「簡素化(Simplify)」です。
業務をもっと簡単にできないかを考えましょう。
業務が複雑になるほど、非効率が発生しやすく、
ヒューマンエラーも発生しやすくなります。
また、簡素化により誰でも同じ品質で作業できるようになり、属人化の防止にも役立つでしょう。
例えば、繰り返し作成する資料や書類をテンプレート化し、
都度作成にかかる時間を短縮する事などが考えられます。
業務効率化の先にあるもの
経理部門の業務効率化の先にあるのは、様々な面でのコスト削減です。
業務の効率化により、以下のようなコスト削減効果が期待できます。
業務効率化の近道は紙⽂書の電⼦化
業務効率化の近道の一つは、紙文書の電子化です。
紙の文書や書類をデジタル化することによって、業務効率化の推進スピードが増します。
- 書類を管理する物理的なスペースの節約
- 印刷にかかるコストの削減
- 大量の帳票類をWebで送受信できるようになる
- 目視による確認作業の無駄がなくなる
- 出社しなくても文書の管理ができるようになる
- 手作業によるミスが減る
- 情報が見つけやすくなり時間効率が上がる
- 盗難等によるリスクが減る
- 災害時に備えてデータのバックアップを取ることができる
- セキュリティー対策が簡単になる
IT企業のDX化事例
ここでは、経理DXに成功した事例を5つご紹介します。
以下の事例をもとに、自社でどのように経理DXを進めるべきか検討しましょう。
【初級編】データを探す時間を削減!クラウドストレージツール
経理部門において、大量の資料や情報が分散しており、
情報の取得や共有に時間がかかり、
生産性の低下が懸念されていました。
また、資料の所在がわからなくなるなど、
セキュリティ面の問題も深刻でした。
クラウドストレージツールのboxを使用しました。
クラウドストレージツールとは、
インターネット上にデータをアップロードして保管、共有するためのツールです。
ヒトとモノ、カネ、技術・ノウハウなどの情報を
一元的に管理することで、業務効率化や情報の有効活用が実現します。
クラウドストレージサービスを活用し、
営業部署が保有する顧客情報と、経理が保有している顧客別の請求書情報など
複数の部署にまたがって管理していたデータをツールの中に一元管理しました。
一元管理をすることで、他部署へ足を運ぶ、担当者を探すといった手間を短縮することができ、
求めている情報を探す単純作業の時間を減らすことができました。
また、あちこちに分散していた情報を1箇所に集めることで、
セキュリティも強化され、情報漏えいのリスクを減らすことができました。
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【初級編】集中力の低下を阻止!電話代行サービス
限られたメンバーだけが電話をとっていて、社内に電話格差がありました。
また電話がかかってくることで、
手や頭を動かして作業をするクリエイティブメンバーの集中力の妨げになっていることが課題でした。
電話代行サービスを導入し、
電話発信者、宛先、内容をメッセージで知らせてもらえる設定をしました。
もともと営業電話が多く、
一度電話に出るとその電話に1分〜2分の時間を割いていましたが、
その時間を圧倒的に短くすることができました。
また、通知内容を社内の全員が見ることができるので、
仮にトラブルが発生している案件があったとしても、
fondeskを使っていれば担当者以外にも状況が見えます。
プロジェクトのブラックボックス化も防ぐことができました。
【中級編】プロジェクト管理を見える化!タスク管理ツール
経理部門における月次決算では、毎月非常に多くのタスクが同時に進行しており、
進捗状況やタスクの把握に課題がありました。
また、一連のタスクをメンバーが各自で管理しており、
「誰がどの業務に着手していて、どういった進捗なのか」が見えづらくて困る場面もありました。
Backlogは、タスク管理や進捗管理、チームコミュニケーションなど、
様々な機能を備えたタスク管理ツールです。
Backlogはプロジェクト・タスク管理に必要な機能を網羅しており、
メールやスプレッドシートを横断せずに一括管理でき、工数削減できます。
ルーティンで行う定型タスクをタスク管理ツールでタスクを一括登録し、
業務を見える化するようにしました。
ツール上でのタスク管理と進捗状況の見える化により、
プロジェクトの進捗を迅速に把握することができるようになり、
遅延やボトルネックの早期発見が可能となりました。
また、ツール上にタスクの流れを残してあるため、
どんな人でも業務をおこなえるようになり、属人化の脱却も進めることができました。
【中級編】成長を目指す会社の基盤作り 勤怠管理ツール
フレックスタイム制や時短勤務などの会社の働き方改革を実施した結果、
「時間外労働」や「不足時間」などの集計および、
給与計算に毎月多くの時間を割いていました。
freeeには、freee人事労務とfreee会計の2種類があります。
どちらも個人事業主から中小企業に対等しており、
複雑な労務管理や確定申告もまとめて効率化することができます。
「時間外労働」や「不足時間」などの集計や、給与計算を自動で行えるように
freee人事労務を導入しました。
正確性が求められる給与の管理の確認にかかる時間や、
ミスを大幅に減らすことに成功しました。
従業員を雇う事業所では、出勤簿を始め、労働者名簿・賃金台帳の3つの書類を整備しておく法的な義務があります。
freee人事労務では、給与計算ができるだけではなく、これらの書類の作成にも対応しており、
経理の業務は完成した書類を確認するだけになりました。
【上級編】帳簿管理をDX化 社内システムを連動させる仕組みを確立
経費精算時には伝票や領収証を経理に渡して、
経理担当が帳票やシステムに手動で入力して管理していました。
この方法は経理担当の負荷が大きいばかりか、
書類を取りに来るためだけに出社することもあり、テレワーク推進の障壁ともなりかねない状況でした。
Chatworkは無料で使える、使いやすいコミュニケーションツールです。
Chatworkと普段使っているサービスと連携して、対話型のボット機能や
各サービスとの通知情報をチャットに集約し、業務効率を高める連携をすることができます。
kintoneとは日々の業務課題を解消しながら、快適なコミュニケーションを実現してくれるツールです。
業種に限らず、幅広い使い方ができます。
詳しくは公式サイトをご確認ください。
もともと使用していた、
仕訳データの自動登録や、申請チェックなどの機能ができる
kintoneにChatworkを連携し、
以下のタイミングでChatworkの画面に通知が送られるようにしました。
・ある申請の承認者に設定されたとき
・自分の申請が承認されたとき
・申請にコメントがついたとき
kintoneを使うだけでも、経理担当・従業員の双方の経費精算に
かかる時間は削減できていましたが、
Chatworkの連携機能を使うと、通知が届いたタイミングでアプリを確認すればよく、
定期的にアプリをチェックする必要がなくなりました。
また申請チェックなどの機能も活用し、作業時間の大幅削減をすることができました。
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【まとめ】業務の効率化で経理部門に変革を!
①業務の洗い出しをする
②ECRSの法則を活用して業務改善の優先度を決める
③まずは電子化するところから始めてみる
業務を効率化することは、経営側にとっても従業員にとっても非常にメリットが大きく、
仕組みが変わることによって業務の改革を実現できます。
まずは簡単なところから電子化を始め、
さまざまな業務をラクにしていきましょう!