「最近、Google広告のクリック単価が上がっている気がする」 「競合他社の広告が自社より上に表示されていることが増えた」
このような悩みを抱えている広告運用担当者の方は多いのではないでしょうか。
Google広告の成果が思うように伸びない原因のひとつに、競合他社の動向を把握できていないという問題があります。 実際に検索して競合の広告をチェックしても、表示される広告はタイミングや場所によって変わるため、正確な状況を把握するのは困難です。
そこで活用したいのが、Google広告の管理画面から無料で利用できる「オークション分析」機能です。 この機能を使えば、同じオークションに参加している競合他社との掲載結果を数値で比較できます。
本記事では、オークション分析の基本的な見方から具体的な活用方法まで、実践的なノウハウを詳しく解説します。 競合に負けない広告運用を実現するための決定版ガイドとして、ぜひ最後までお読みください。
なお、名古屋を拠点とするWebコンサル会社「株式会社エッコ」では、Google広告の運用代行や改善提案を行っています。 オークション分析を活用した競合対策でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
目次
Google広告のオークション分析とは
Google広告を効果的に運用するためには、自社の広告パフォーマンスだけでなく、競合他社の状況も把握することが重要です。 オークション分析は、まさにその競合状況を可視化するための強力なツールといえます。
ここでは、オークション分析の基本的な概要から、利用できるキャンペーンタイプ、確認可能な階層について詳しく説明していきます。
オークション分析の概要と目的
オークション分析とは、同じ広告オークションに参加している競合他社と自社の掲載結果を比較できる機能です。 Google広告の管理画面から無料で利用でき、特別な設定なしで競合の出稿状況を確認できます。
この機能の主な目的は、広告運用における意思決定の精度を高めることにあります。 たとえば、クリック単価が上昇した原因が競合の入札強化によるものなのか、自社の品質スコア低下によるものなのかを判断する材料として活用できるのです。
オークション分析で把握できる情報をまとめると、以下のようになります。
- 自社広告がどの程度表示されているか(インプレッションシェア)
- 競合他社と同時に広告が表示される頻度(重複率)
- 自社広告が競合より上位に表示されている割合(優位表示シェア)
- 検索結果ページの上部や最上部に表示される割合
- 特定の競合に対して劣位になっている割合
これらの数値を定期的にチェックすることで、競合環境の変化にいち早く気づき、適切な対策を講じることが可能になります。 広告運用の現場では、感覚的な判断に頼りがちですが、オークション分析を活用すれば、データに基づいた戦略立案ができるようになります。
利用可能なキャンペーンタイプ
オークション分析は、すべてのGoogle広告キャンペーンで利用できるわけではありません。 現在、この機能に対応しているのは検索キャンペーン、ショッピングキャンペーン、P-MAXキャンペーンの3種類です。
それぞれのキャンペーンタイプによって、確認できる指標に違いがあります。 以下の表で、キャンペーンタイプごとの対応状況を確認してみましょう。
| キャンペーンタイプ | 対応状況 | 確認できる指標数 | 備考 |
| 検索キャンペーン | 対応 | 6種類 | 全指標を確認可能 |
| ショッピングキャンペーン | 対応 | 3種類 | 上位掲載率などは非対応 |
| P-MAXキャンペーン | 対応 | 6種類(検索面のみ) | 2021年11月以降のデータ |
| ディスプレイキャンペーン | 非対応 | – | オークション分析対象外 |
| 動画キャンペーン | 非対応 | – | オークション分析対象外 |
検索キャンペーンでは、6種類すべての指標を確認できるため、最も詳細な競合分析が可能です。 ショッピングキャンペーンでは、インプレッションシェア、広告の重複率、優位表示シェアの3種類のみ確認できます。
P-MAXキャンペーンのオークション分析は、検索ネットワークで配信された広告のデータのみが対象となる点に注意が必要です。 ディスプレイ面やYouTube面での競合状況は確認できないため、P-MAXを運用している場合はこの制約を理解しておきましょう。
確認できる階層(キャンペーン・広告グループ・キーワード)
オークション分析は、複数の階層でデータを確認できます。 キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位の3つの階層から、目的に応じた粒度で分析することが可能です。
ただし、キャンペーンタイプによって確認できる階層が異なります。 どの階層でオークション分析を確認できるかは、以下の表を参考にしてください。
| 階層 | 検索キャンペーン | ショッピングキャンペーン | P-MAXキャンペーン |
| キャンペーン単位 | 確認可能 | 確認可能 | 確認可能 |
| 広告グループ単位 | 確認可能 | 確認可能 | 確認不可 |
| キーワード単位 | 確認可能 | 確認不可 | 確認不可 |
検索キャンペーンでは、すべての階層でオークション分析を確認できます。 特にキーワード単位での分析は、どのキーワードで競合と激しく競り合っているかを特定できるため、非常に有用です。
一方、P-MAXキャンペーンではキャンペーン単位でしか確認できません。 このため、P-MAXよりも検索キャンペーンのほうが、より詳細な競合分析に適しているといえます。
実務では、まずキャンペーン単位で全体傾向を把握し、気になる部分があれば広告グループやキーワード単位で深掘りするという流れがおすすめです。
オークション分析で確認できる6つの指標
オークション分析レポートでは、競合との掲載状況を比較するための指標が用意されています。 検索キャンペーンでは6種類の指標を確認でき、それぞれが異なる観点から競合状況を数値化しています。
各指標の意味を正しく理解することで、より効果的な競合分析と改善施策の立案が可能になります。 ここでは、6つの指標について詳しく解説していきます。
インプレッションシェア
インプレッションシェアは、広告が表示される可能性があった回数のうち、実際に表示された回数の割合を示す指標です。 この数値が高いほど、表示機会を逃さずに広告を届けられていることを意味します。
計算式は以下のとおりです。
- インプレッションシェア(%)= 実際の表示回数 ÷ 表示可能だった回数(推定値)× 100
たとえば、表示機会が1,000回あり、実際に広告が表示されたのが600回だった場合、インプレッションシェアは60%となります。 残りの40%は、予算不足や広告ランクの低さなど、何らかの理由で表示されなかったことを示しています。
オークション分析では、自社だけでなく競合他社のインプレッションシェアも確認できるのが大きな特徴です。 競合がインプレッションシェア80%を獲得しているのに対し、自社が40%しか取れていない場合、改善の余地があることがわかります。
ただし、競合のインプレッションシェアは、競合のターゲット設定が考慮されていない点に注意が必要です。 競合が特定の地域のみに配信している場合でも、自社と同じ条件のように表示されることがあります。
広告の重複率
広告の重複率は、自社の広告と競合他社の広告が同時にインプレッションを獲得した割合を表します。 この数値が高い競合ほど、自社と同じユーザーに対してアプローチしていることになります。
重複率が60%の競合がいる場合、自社広告が表示された10回のうち6回は、その競合の広告も一緒に表示されていたということです。
- 重複率が高い競合 → ユーザーに比較されやすい存在
- 重複率が低い競合 → ターゲットや配信タイミングが異なる可能性
重複率の高い競合は、いわば「直接的なライバル」といえます。 このような競合に対しては、広告文やランディングページで差別化を図ることが重要です。
重複率が高い競合の広告内容をチェックし、自社の訴求ポイントを見直すきっかけにしましょう。 競合が価格訴求をしているなら品質やサービスで勝負する、といった戦略的な対応が可能になります。
上位掲載率
上位掲載率は、自社と競合の広告が同時に表示されたとき、競合の広告が自社より上位に掲載された割合です。 この指標は検索キャンペーンでのみ確認できます。
上位掲載率が40%の競合がいる場合、自社と同時に表示された100回のうち40回は、その競合が自社より上に表示されていたことを意味します。
- 上位掲載率が高い競合 → 自社より広告ランクが高い可能性
- 上位掲載率が低い競合 → 自社のほうが優位に表示されている
この数値が上昇傾向にある場合は、競合が入札を強化したか、広告品質を改善した可能性があります。 逆に、自社の広告品質が低下している可能性も考えられるため、両面から原因を分析することが大切です。
上位掲載率は、競合との相対的な立ち位置を把握するのに役立つ指標です。 定期的にモニタリングして、競合環境の変化を見逃さないようにしましょう。
ページ上部表示率
ページ上部表示率は、自社の広告がオーガニック検索結果より上部に表示された割合を示します。 検索結果ページの上部には最大4つの広告枠があり、そのいずれかに表示された場合にカウントされます。
- 表示回数1,000回のうち、上部に500回表示 → ページ上部表示率50%
ページ上部に表示される広告は、ユーザーの目に留まりやすく、クリックされる確率が高い傾向にあります。 ページ下部に表示された広告と比較すると、クリック率に大きな差が出ることがあります。
競合のページ上部表示率と自社を比較することで、広告の掲載位置における競争力を把握できます。 競合が90%の上部表示率を維持しているのに対し、自社が50%程度であれば、入札戦略や品質改善の余地があると判断できます。
デバイスによって広告枠の数や表示形式が異なるため、パソコンとスマートフォンで分けて分析することをおすすめします。
ページ最上部表示率
ページ最上部表示率は、自社の広告が検索結果ページの1番上に表示された割合です。 ページ上部表示率が上部4枠のいずれかを対象にしているのに対し、最上部表示率は1位のみを対象としています。
検索広告において、掲載順位は成果に大きな影響を与えます。 海外の調査会社First Page Sageのデータによると、検索広告のクリック率は掲載順位によって以下のように変わります。
| 掲載順位 | 平均クリック率 |
| 1位(最上部) | 約2.1% |
| 2位 | 約1.4% |
| 3位 | 約1.3% |
このように、1位と2位ではクリック率に約1.5倍の差があります。 緊急性の高い商材(水道修理、鍵開けなど)では、この差がさらに顕著になることがあります。
ページ最上部表示率を高めるためには、入札単価の引き上げだけでなく、広告の品質スコア向上も重要です。 競合の最上部表示率が急上昇している場合は、競合が何らかの対策を講じた可能性が高いといえます。
優位表示シェア
優位表示シェアは、自社の広告が競合より上位に表示された割合、または自社のみが表示された割合を示す指標です。 この数値が高いほど、競合に対して優位な状態で広告を配信できていることになります。
優位表示シェアがカウントされる条件は以下のとおりです。
- 自社の広告が競合より上位に表示された場合
- 自社の広告のみが表示され、競合が表示されなかった場合
優位表示シェアは、競合との相対的な強さを示す総合的な指標といえます。 インプレッションシェアや上位掲載率とあわせて確認することで、競合との力関係をより正確に把握できます。
時系列で優位表示シェアの変化を追うと、競合環境の変化を捉えやすくなります。 先月まで70%だった優位表示シェアが今月50%に低下していれば、競合が入札を強化した可能性が高いと判断できます。
オークション分析レポートの確認方法
オークション分析の指標を理解したら、実際にレポートを確認する方法を覚えましょう。 Google広告の管理画面からかんたんにアクセスでき、複数の切り口でデータを分析することが可能です。
ここでは、基本的なアクセス手順から、データ分割やカスタム設定の方法まで解説します。
管理画面からのアクセス手順
オークション分析レポートは、Google広告の管理画面から数クリックで確認できます。 キャンペーン、広告グループ、キーワードのどの階層からでもアクセス可能です。
キャンペーン単位でオークション分析を確認する手順は以下のとおりです。
- Google広告の管理画面にログインする
- 左メニューの「キャンペーン」アイコンをクリック
- 「キャンペーン」タブを選択
- 分析したいキャンペーンにチェックを入れる
- 上部に表示される「オークション分析」をクリック
広告グループ単位で確認する場合は、手順3で「広告グループ」タブを選択します。 キーワード単位の場合は、「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」から「検索キーワード」を選びます。
複数のキャンペーンや広告グループを選択して、まとめてオークション分析を確認することも可能です。 まずは全体傾向を把握し、気になる部分を深掘りするという流れで分析を進めると効率的です。
なお、オークション分析レポートはリアルタイムでは更新されません。 当日分のデータは確認できないため、前日までのデータを分析対象としましょう。
期間やデバイスによるデータ分割
オークション分析レポートでは、データを複数の切り口で分割して確認できます。 期間やデバイスで分割することで、より詳細な競合分析が可能になります。
分割できる主な項目は以下のとおりです。
| 分割項目 | 選択肢 | 活用シーン |
| 期間 | 日別、週別、月別、四半期、年 | トレンド把握、施策効果測定 |
| デバイス | パソコン、モバイル、タブレット | デバイス別の競合状況分析 |
期間で分割すると、競合の動向変化を時系列で追うことができます。 たとえば、週別で3か月分のデータを見れば、いつから競合が配信を強化したかを特定できます。
デバイス別の分割は、パソコンとスマートフォンで異なる競合状況を把握するのに役立ちます。 モバイルでは強いが、パソコンでは弱いという競合もいるため、デバイスごとに異なる戦略を立てることも検討できます。
分割機能を活用するには、レポート画面上部の「分類」ボタンから設定します。 分析の目的に応じて、適切な切り口を選択しましょう。
レポートエディタでのカスタム設定
より高度な分析を行いたい場合は、レポートエディタを活用してカスタムレポートを作成できます。 グラフや表を組み合わせたビジュアルなレポートで、競合状況を把握しやすくなります。
レポートエディタでオークション分析データを活用する手順は以下のとおりです。
- 管理画面の上部メニューから「レポート」を選択
- 「レポートエディタ」をクリック
- 新規レポートを作成
- ディメンションに「表示URLドメイン」を追加
- 指標にオークション分析の項目(インプレッションシェアなど)を追加
レポートエディタを使えば、折れ線グラフで競合のインプレッションシェア推移を可視化したり、複数の競合を同時に比較するチャートを作成したりできます。
定期的にチェックしたい競合がいる場合は、カスタムレポートを保存しておくと便利です。 週次や月次のレビュー時に、同じ条件でデータを確認できるようになります。
P-MAXキャンペーンのオークション分析データも、レポートエディタで確認可能です。 複数のキャンペーンタイプを横断して分析したい場合に活用しましょう。
オークション分析の活用方法
オークション分析の見方を理解したら、実際の広告運用にどう活かすかが重要です。 単にデータを眺めるだけでなく、具体的なアクションにつなげることで初めて価値が生まれます。
ここでは、オークション分析を活用する4つの主要なシーンについて詳しく解説します。
自社広告のパフォーマンス把握
オークション分析を活用する第一歩は、自社広告の現状を客観的に把握することです。 競合と比較する前に、まず自社がどの程度の表示機会を獲得できているかを確認しましょう。
自社広告のパフォーマンスを把握するためのチェックポイントをまとめます。
- インプレッションシェアが何%か(表示機会をどれだけ活かせているか)
- ページ上部表示率がどの程度か(上部枠に表示できているか)
- ページ最上部表示率はいくらか(1位を獲得できているか)
- 過去と比較して数値が改善しているか、悪化しているか
たとえば、インプレッションシェアが30%しかない場合、表示機会の70%を逃していることになります。 予算不足なのか、広告ランクの問題なのかを切り分けて、適切な対策を検討する必要があります。
インプレッションシェアの損失理由は、管理画面の表示項目で確認できます。 「予算による損失」と「広告ランクによる損失」に分けて表示されるため、原因の特定に役立ちます。
自社の現状を正確に把握することで、どこに改善の余地があるかが明確になります。
競合他社の動向分析
オークション分析の最大の価値は、競合他社の出稿状況を数値で把握できる点にあります。 実際に検索して確認するよりも正確で、継続的なモニタリングが可能です。
競合分析で注目すべきポイントは以下のとおりです。
| チェック項目 | 確認すべき変化 | 考えられる要因 |
| インプレッションシェア | 急上昇している競合 | 予算増額、入札強化 |
| 上位掲載率 | 上昇傾向の競合 | 入札単価アップ、品質改善 |
| 重複率 | 高い競合 | 同じターゲットを狙っている |
| 新規参入 | 新しいドメインの出現 | 新規競合の参入 |
週次や月次で競合の数値を追跡することで、市場環境の変化に気づけるようになります。 特定の競合が急に数値を伸ばしている場合は、何らかのキャンペーンや施策を実施している可能性があります。
競合の広告内容を確認したい場合は、オークション分析だけでは不十分です。 後述する「広告プレビューと診断ツール」を併用して、クリエイティブの内容も確認しましょう。
クリック単価上昇の要因特定
広告運用をしていると、「急にクリック単価が上がった」という状況に直面することがあります。 オークション分析を活用すれば、その原因が競合の影響かどうかを判断できます。
クリック単価が上昇した際の分析手順を説明します。
- クリック単価が上昇した期間を特定する
- 同じ期間のオークション分析を確認する
- 競合のインプレッションシェアや上位掲載率が上昇していないかチェック
- 新しい競合が参入していないか確認する
競合のインプレッションシェアが先週より20%上昇しているような場合、その競合が入札を強化したと推測できます。 複数の競合が同時に強化していれば、市場全体で競争が激化していると判断できるでしょう。
一方、競合の数値に変化がなければ、自社側の問題(品質スコアの低下など)が原因の可能性があります。 このように、オークション分析は原因の切り分けに役立つツールです。
クリック単価上昇の要因を特定できれば、適切な対策を講じることができます。 競合の影響であれば入札戦略の見直し、自社の問題であれば品質改善に注力する、といった判断が可能になります。
入札戦略の見直し材料として
オークション分析のデータは、入札戦略を見直す際の重要な判断材料となります。 競合状況を踏まえて、入札単価や入札方式を最適化することで、より効率的な広告運用が可能になります。
入札戦略の見直しを検討すべきケースをまとめます。
- インプレッションシェアが低く、表示機会を逃している場合
- 競合の上位掲載率が上昇し、自社が押し下げられている場合
- ページ最上部表示率が目標に届いていない場合
- 特定の競合に対して常に劣位になっている場合
たとえば、重要なキーワードでインプレッションシェアが50%しかなく、広告ランクによる損失が大きい場合は、入札単価の引き上げを検討します。 逆に、インプレッションシェアが90%を超えているのにコンバージョンが増えていなければ、入札単価を抑えて効率を高める選択肢もあります。
自動入札を利用している場合でも、オークション分析は参考になります。 目標インプレッションシェアを設定する際に、競合の水準を参考にして適切な目標値を決められます。
株式会社エッコでは、オークション分析を活用した入札戦略の最適化もサポートしています。 競合状況を踏まえた戦略立案でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。
オークション分析を活用した改善施策
オークション分析で課題が見つかったら、具体的な改善施策を実行することが重要です。 データを見るだけで終わらせず、アクションにつなげることで成果向上が実現します。
ここでは、オークション分析を活用した4つの主要な改善施策について解説します。
入札単価の調整判断
オークション分析の結果をもとに、入札単価を適切に調整することで掲載状況を改善できます。 ただし、単純に入札を上げれば良いというわけではなく、費用対効果を考慮した判断が必要です。
入札単価を上げるべきケースと現状維持すべきケースを整理します。
| 状況 | 推奨アクション | 理由 |
| 重要キーワードで上位掲載率が高い競合がいる | 入札引き上げを検討 | 表示機会を確保するため |
| インプレッションシェア損失(ランク)が大きい | 入札引き上げまたは品質改善 | 広告ランク向上のため |
| すでにインプレッションシェア80%以上 | 現状維持または他施策を優先 | 追加効果が限定的 |
| クリック単価がCPA目標を超えている | 入札引き下げを検討 | 費用対効果の悪化を防ぐ |
入札単価を上げる際は、予算も同時に調整することを忘れないでください。 入札を上げても予算が足りなければ、配信が途中で止まってしまいます。
個別クリック単価制を利用している場合は、キーワードごとに細かく調整できます。 オークション分析でキーワード単位の競合状況を確認し、重要度に応じてメリハリをつけた入札調整を行いましょう。
キーワード選定の見直し
オークション分析の結果は、キーワード選定を見直す際の判断材料としても活用できます。 競合が激しすぎるキーワードから撤退したり、新たなキーワードを開拓したりする際に役立ちます。
キーワード見直しの判断ポイントを以下に示します。
- 重複率が非常に高いキーワード → 競合との差別化が困難な可能性
- 上位掲載率が極端に高い競合がいるキーワード → コスト効率が悪化しやすい
- インプレッションシェアが著しく低いキーワード → 予算配分の見直しを検討
- オークション分析に表示されないキーワード → データ量が不足している
特定のキーワードで競合が圧倒的に強い場合は、無理に争わない選択も賢明です。 そのキーワードの入札を抑え、代わりに競合が少ない関連キーワードに予算を振り分ける戦略もあります。
逆に、オークション分析で競合が少ないキーワードが見つかれば、積極的に攻める価値があります。 競合環境はキーワードによって大きく異なるため、定期的な見直しが重要です。
広告文の改善ポイント発見
競合との重複率が高い場合、広告文で差別化を図ることがクリック率向上のカギになります。 オークション分析で競合を特定したら、その競合の広告内容を確認し、自社の広告文を改善しましょう。
広告文改善のアプローチをまとめます。
- 競合が価格を訴求 → 品質やサービスの強みを強調
- 競合が実績を訴求 → 独自の特徴や差別化ポイントを打ち出す
- 競合がキャンペーンを実施 → 自社も対抗施策を検討
- 競合が見出しにキーワードを含める → より具体的な数字や事実を追加
重複率が60%を超える競合がいる場合、多くのユーザーが自社と競合の広告を同時に目にしています。 並べて比較されることを前提に、選ばれる広告文を作成することが重要です。
具体的な数字(「実績1,000件以上」「満足度98%」など)を入れると、信頼性が高まります。 また、ユーザーの行動を促すコールトゥアクション(「今すぐ相談」「無料見積もり」など)も効果的です。
広告文の改善は、入札単価を上げなくても広告ランクを向上させる手段として有効です。
品質スコア向上への活用
オークション分析で競合に劣位な状況が続いている場合、品質スコアの改善が根本的な解決策となることがあります。 品質スコアが向上すれば、同じ入札単価でも上位に表示されやすくなります。
品質スコアを構成する3つの要素と改善ポイントは以下のとおりです。
| 構成要素 | 改善ポイント | 期待される効果 |
| 推定クリック率 | 魅力的な広告文の作成、広告表示オプションの活用 | クリック率向上 |
| 広告の関連性 | キーワードと広告文の一致度を高める | 広告ランク向上 |
| ランディングページの利便性 | ページ速度の改善、コンテンツの充実 | コンバージョン率向上 |
オークション分析で競合のインプレッションシェアが高く、自社のインプレッションシェア損失(ランク)が大きい場合は、品質スコアの問題を疑うべきです。 入札単価を上げる前に、品質スコアの改善に取り組むことで、コスト効率よく成果を向上させられます。
品質スコアの確認は、キーワード一覧画面で列を追加することで可能です。 「平均より下」と表示されている構成要素から優先的に改善していきましょう。
オークション分析の注意点と限界
オークション分析は競合分析に役立つ強力なツールですが、万能ではありません。 確認できない情報や、データの解釈に注意が必要な点がいくつかあります。
ここでは、オークション分析を活用する際に知っておくべき注意点と限界について解説します。
確認できない情報
オークション分析では競合の掲載状況を把握できますが、すべての競合情報が見えるわけではありません。 確認できる情報と確認できない情報を正しく理解しておくことが重要です。
オークション分析で確認できない情報をまとめます。
- 競合の広告クリエイティブ(広告見出しや説明文の内容)
- 競合が入札しているキーワードの一覧
- 競合の入札単価や予算設定
- 競合のターゲティング設定(地域、デバイス、オーディエンスなど)
- 競合のコンバージョン数や費用対効果
オークション分析で見えるのは、あくまで「表示URLドメイン」と「掲載状況の指標」のみです。 競合がどのような広告を出しているかは、別の方法で確認する必要があります。
また、表示される競合は、表示率が一定以上の広告主に限られます。 表示率が低い競合は、オークション分析に表示されないことがあるため、すべての競合を把握できているわけではない点にも注意しましょう。
広告プレビューと診断ツールとの併用
競合の広告クリエイティブを確認したい場合は、「広告プレビューと診断」ツールを活用しましょう。 オークション分析と組み合わせることで、より詳細な競合分析が可能になります。
広告プレビューと診断ツールでできることは以下のとおりです。
- 指定したキーワードで表示される広告を確認できる
- 地域やデバイスを指定して検索結果をシミュレーションできる
- 自社広告が表示されない場合、その理由を診断できる
- 実際に検索することなく、広告の表示状況を確認できる
ツールへのアクセス手順は、管理画面の「ツール」から「トラブルシューティング」を選び、「広告プレビューと診断」をクリックします。
オークション分析で重複率の高い競合を特定したら、広告プレビューツールでその競合の広告内容を確認しましょう。 競合がどのような訴求をしているかを把握することで、自社の差別化ポイントが見えてきます。
ただし、広告プレビューツールは自社広告が表示されていない場合、検索結果のプレビューができない制約があります。 その場合は、シークレットモードのブラウザで実際に検索して確認することも検討してください。
データが表示されない場合の対処法
オークション分析を確認しようとしても、データが表示されないケースがあります。 これは、分析に必要なデータ量が不足していることが原因です。
データが表示されない場合の対処法を以下に示します。
| 対処法 | 具体的なアクション | 効果 |
| 期間を広げる | 直近7日間→過去30日間に変更 | データ量が増える |
| 階層を変更 | キーワード単位→広告グループ単位に変更 | 集計対象が広がる |
| 複数選択 | 複数のキーワードや広告グループをまとめて選択 | データが合算される |
| 配信量を増やす | 予算や入札を見直して表示回数を増やす | 将来的にデータが蓄積 |
オークション分析のデータは、インプレッションシェアが10%を超えないと表示されない場合があります。 配信量が少ないキーワードや広告グループでは、データが不足しやすい点を理解しておきましょう。
P-MAXキャンペーンでは、検索ネットワーク以外の配信面が多いため、オークション分析のデータが蓄積されにくいことがあります。 その場合は、検索キャンペーンと併用して運用することで、競合分析の精度を補完できます。
データが表示されない状況が続く場合は、広告運用の専門家に相談することをおすすめします。 株式会社エッコでは、オークション分析を含めた広告アカウントの診断も行っていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、Google広告のオークション分析について、基本的な見方から具体的な活用方法まで詳しく解説しました。
オークション分析は、競合他社との掲載状況を数値で把握できる唯一の公式機能です。 感覚的な判断に頼らず、データに基づいた広告運用を実現するために、ぜひ活用してください。
本記事のポイントを振り返ります。
- オークション分析は検索、ショッピング、P-MAXキャンペーンで利用可能
- 確認できる指標は6種類(検索キャンペーンの場合)
- キャンペーン、広告グループ、キーワードの階層で分析できる
- 競合の動向把握やクリック単価上昇の原因特定に活用できる
- 入札調整、キーワード見直し、広告文改善などの施策に役立つ
- 広告プレビューツールとの併用でより詳細な競合分析が可能
オークション分析を定期的にチェックすることで、競合環境の変化にいち早く気づき、適切な対策を講じることができます。 週次や月次でのモニタリングを習慣化することをおすすめします。
ただし、競合より上位に表示させることだけが目的ではありません。 ビジネスの目標に照らして、費用対効果を考慮した運用判断を心がけましょう。
オークション分析を活用した競合対策やGoogle広告の運用改善でお困りの方は、株式会社エッコにお任せください。 名古屋を拠点に、多くの企業様のWeb集客を支援してきた実績とノウハウで、貴社の広告運用をサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。

