「Google広告の運用をもっと効率化したい」「複数のキャンペーンを管理するのが大変」と感じていませんか。

そんな悩みを解決してくれるのが、Googleが提供する次世代キャンペーン「P-MAX」です。

P-MAXは2021年11月にリリースされて以降、多くの企業で導入が進んでいます。

1つのキャンペーンでGoogle広告のすべての配信面に広告を出せるという画期的な仕組みが、広告運用者から高い評価を得ています。

Googleの公式データによると、P-MAXを導入した広告主では、コンバージョン数が平均27%増加したという結果も出ています。

しかし「名前は聞いたことがあるけれど、実際どう使えばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、P-MAXの基礎知識から設定方法、運用のコツまでを徹底的に解説します。

これからP-MAXを始めたい方はもちろん、すでに運用中で成果を伸ばしたい方にも役立つ内容をお届けします。

ぜひ最後までお読みいただき、P-MAX攻略のヒントをつかんでください。

目次

P-MAXキャンペーンの基礎知識


P-MAXとは何か

P-MAXとは「Performance Max」の略称で、日本語では「パフォーマンス最大化キャンペーン」と呼ばれています。

Googleが持つすべての広告枠に1つのキャンペーンから配信できる点が最大の特徴です。

従来のGoogle広告では、検索広告やディスプレイ広告、YouTube広告などを出稿する際に、それぞれ別のキャンペーンを作成する必要がありました。

P-MAXでは、この手間を大幅に省くことができます。

設定した目標に向けて、GoogleのAI(機械学習)が自動で配信先やクリエイティブを最適化してくれる仕組みです。

広告主が準備するのは、テキストや画像、動画などの「アセット」と呼ばれる素材のみ。

あとはAIが最適な組み合わせを判断し、最適なタイミングで最適なユーザーに広告を届けます。

P-MAXが対応しているキャンペーン目標は以下のとおりです。

  • 販売促進
  • 見込み顧客の獲得
  • ウェブサイトのトラフィック
  • 来店数と店舗売上の向上
  • 目標を設定せずにキャンペーンを作成する

このように、コンバージョン獲得を重視するビジネスに適した目標設定が用意されています。

認知拡大よりも成果獲得を目的とした広告配信に向いているキャンペーンタイプといえるでしょう。

名古屋を拠点に活動する株式会社エッコでも、多くのクライアント様にP-MAXの導入をご提案し、成果向上のお手伝いをしています。

従来のキャンペーンとの違い

P-MAXと従来のキャンペーンには、いくつかの大きな違いがあります。

もっとも顕著な違いは、キャンペーンの構造そのものです。

従来のGoogle広告は「キャンペーン」「広告グループ」「広告」という3階層で構成されていました。

一方、P-MAXは「キャンペーン」「アセットグループ」という2階層のシンプルな構造になっています。

比較項目 従来のキャンペーン P-MAXキャンペーン
構造 キャンペーン→広告グループ→広告 キャンペーン→アセットグループ
配信面 キャンペーンごとに1種類 すべての配信面に一括配信
ターゲティング 手動で詳細設定が可能 AIが自動で最適化
入札調整 手動または自動入札を選択 自動入札のみ
キーワード設定 必要(検索広告の場合) 不要(検索テーマで補助的に設定可能)
除外設定 キャンペーン単位で柔軟に可能 一部制限あり

また、従来のキャンペーンでは広告運用者が細かく調整できる項目が多いのに対し、P-MAXでは多くの設定がAIに委ねられます。

これは「手間が省ける」というメリットである一方、「細かいコントロールができない」というデメリットにもなります。

さらに、レポートで確認できるデータにも違いがあります。

従来のキャンペーンではキーワードごとの成果やオーディエンス別の詳細データを確認できましたが、P-MAXではこれらの情報が限定的です。

このような特性を理解したうえで、自社の運用スタイルに合うかどうかを検討することが大切です。

P-MAXの配信面

P-MAXキャンペーンは、Googleが保有する多様な広告枠に横断的に配信される点が強みです。

1つのキャンペーンで複数のチャネルをカバーできるため、効率的にユーザーへアプローチできます。

配信面は大きく分けて、検索系、ディスプレイ系、そしてGoogleのサービス内広告に分類されます。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

検索・ディスプレイ・YouTube

P-MAXで配信される主要な広告面として、まずGoogle検索があります。

ユーザーが検索したキーワードに関連して、検索結果ページにテキスト広告が表示されます。

従来の検索広告と異なり、キーワードを個別に設定する必要がない点がP-MAXの特徴です。

AIがランディングページの内容や登録したアセットから、関連する検索語句を自動で判断して配信します。

  • Google検索:検索結果ページに表示されるテキスト広告
  • ディスプレイネットワーク:Webサイトやアプリに表示されるバナー広告
  • YouTube:動画の前後や途中に表示される動画広告

ディスプレイネットワークでは、Googleと提携する200万以上のWebサイトやアプリに広告を掲載できます。

画像やテキストを組み合わせたバナー広告が、ユーザーの興味関心に合わせて表示されます。

YouTubeでは、動画広告としてユーザーにリーチできます。

動画コンテンツを視聴するユーザーは、比較的長い時間画面に集中しているため、ブランドメッセージを効果的に伝えられるメリットがあります。

Gmail・Discover・マップ

検索やディスプレイ以外にも、P-MAXはGoogleの各種サービス内に広告を配信します。

Gmailでは、プロモーションタブに広告が表示されます。

メールを確認するタイミングでユーザーの目に触れるため、日常的な接点を作りやすいのが特徴です。

配信面 表示場所 広告形式
Gmail プロモーションタブ テキスト+画像
Discover Googleアプリのフィード 画像+テキスト
Googleマップ 検索結果や地図上 ローカル広告

Google Discoverは、Googleアプリやスマートフォンのホーム画面に表示されるフィードです。

ユーザーの興味関心にもとづいて、ニュースやおすすめコンテンツとともに広告が表示されます。

能動的に検索していないユーザーにもアプローチできる点が、Discover広告の強みといえるでしょう。

Googleマップでは、店舗やサービスを探しているユーザーに対してローカル広告を配信できます。

実店舗を持つビジネスにとっては、来店促進に直結する重要な配信面です。

このように、P-MAXは多様なタッチポイントでユーザーと接点を持てるキャンペーンです。

P-MAXのメリットとデメリット


P-MAXの主なメリット

P-MAXには、従来のキャンペーンにはない多くのメリットがあります。

特に運用効率の向上と成果の最大化という2つの観点で、大きな価値を発揮します。

広告運用に割けるリソースが限られている企業にとって、P-MAXは心強い選択肢となるでしょう。

ここでは、代表的な3つのメリットを詳しく解説します。

全配信面への一括出稿

P-MAXの最大のメリットは、1つのキャンペーンでGoogle広告のすべての配信面に出稿できることです。

従来であれば、検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告、ファインド広告と、それぞれ別々のキャンペーンを作成する必要がありました。

キャンペーンごとに予算を設定し、クリエイティブを用意し、成果を確認する作業は、非常に手間がかかります。

P-MAXを使えば、この煩雑な作業から解放されます。

  • 検索からディスプレイ、動画まで1キャンペーンで完結
  • 配信面をまたいだデータ学習が可能
  • 各チャネルでの機会損失を防げる

たとえば、動画キャンペーン単体ではコンバージョンを獲得しにくいケースがあります。

しかしP-MAXでは、検索やディスプレイで蓄積した学習データをもとに、YouTube面へも効率的に配信できます。

チャネルを横断してデータを共有できる点が、P-MAXならではの強みです。

AIによる自動最適化

P-MAXでは、Googleの高度なAI技術を活用した自動最適化が行われます。

入札単価、ターゲティング、クリエイティブの組み合わせなど、あらゆる要素をAIが自動で調整します。

従来は広告運用者が経験と勘に頼って調整していた部分を、機械学習が担ってくれるのです。

最適化項目 AIが行う処理
入札 コンバージョン確率に応じてリアルタイムで入札額を調整
ターゲティング 成果につながりやすいユーザーを自動で特定
クリエイティブ アセットの最適な組み合わせを選択
配信面 効果の高いチャネルに予算を自動配分

特に注目すべきは、**データドリブンアトリビューション(DDA)**という仕組みです。

これは、コンバージョンに至るまでの複数のタッチポイントを分析し、最適な広告配信パターンを見つけ出す技術です。

「どの広告がどのタイミングで表示されると成果につながりやすいか」をAIが学習し、配信に反映してくれます。

運用工数の削減

P-MAXを導入することで、広告運用にかかる工数を大幅に削減できます。

従来のキャンペーンでは、キーワードの追加・除外、入札調整、クリエイティブのA/Bテストなど、日々の細かな作業が必要でした。

P-MAXでは、これらの作業の多くが自動化されているため、運用者の負担が軽減されます。

  • キーワード設定が不要(検索テーマで補助的に設定可能)
  • 入札調整が自動化
  • クリエイティブの組み合わせ最適化が自動

空いた時間を戦略立案やクリエイティブ改善に充てられる点も、大きなメリットといえるでしょう。

特に、リソースが限られている中小企業やインハウス運用チームにとっては、効率化の恩恵を強く感じられるはずです。

株式会社エッコでは、P-MAXの運用代行を通じて、お客様の工数削減と成果向上の両立をサポートしています。

P-MAXのデメリット

P-MAXには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

万能なキャンペーンではないことを理解し、自社の状況に合わせて活用することが重要です。

ここでは、P-MAXの代表的な3つのデメリットについて解説します。

細かいコントロールができない

P-MAXの大きなデメリットは、広告運用者が細かく設定できる項目が限られている点です。

従来のキャンペーンでは、特定のキーワードに入札を強化したり、特定の年齢層だけに配信したりといった細かな調整が可能でした。

しかしP-MAXでは、多くの設定がAIに委ねられています。

  • 特定のキーワードだけを狙った配信ができない
  • 年齢や性別で配信対象を絞り込めない
  • 配信面ごとの予算配分を指定できない

たとえば「この商品は30代女性に人気があるから、その層に集中して配信したい」と思っても、P-MAXでは実現できません。

AIの判断に任せる部分が大きいため、運用者のノウハウを活かしにくいと感じる方もいるでしょう。

細かなコントロールを重視する場合は、従来のキャンペーンとの併用を検討することをおすすめします。

学習期間が必要

P-MAXは機械学習を活用するため、十分なデータが蓄積されるまで成果が安定しにくいという特性があります。

Googleは、P-MAXの学習期間として最低でも6週間を確保することを推奨しています。

この期間中は、パフォーマンスが上下することを想定しておく必要があります。

運用期間 想定される状況
1〜2週間 データ収集段階、成果は不安定
3〜4週間 学習が進み始める、改善の兆しが見える
5〜6週間 最適化が進む、成果が安定してくる
7週間以降 本格的なパフォーマンス評価が可能

短期間のスポット配信には向いていない点に注意が必要です。

1〜2ヶ月限定のキャンペーンや、期間限定セールの告知などには、従来のキャンペーンのほうが適している場合があります。

また、学習期間中に頻繁に設定を変更すると、学習がリセットされて最適化が遅れることがあります。

配信面の除外ができない

P-MAXでは、特定の配信面を除外する設定が制限されています。

「YouTubeには配信したくない」「ディスプレイ面は除外したい」といった要望があっても、キャンペーン単位での除外は基本的にできません。

  • 配信面ごとの除外設定が不可
  • 予算の配分先を指定できない
  • 意図しない面に配信される可能性がある

ただし、アカウント単位でのプレースメント除外は設定できます。

ブランドイメージに合わないWebサイトや、成果が著しく悪い配信先が見つかった場合は、個別に除外することが可能です。

また、ブランド除外設定を使えば、特定のブランド名を含む検索からの配信を除外できます。

自社ブランド名での検索を別のキャンペーンで運用している場合は、この設定を活用するとよいでしょう。

P-MAXに適した活用シーン


ECサイトや成果重視のビジネス

P-MAXがもっとも効果を発揮するのは、コンバージョン獲得を重視するビジネスです。

特にECサイトでは、P-MAXの導入によって売上が大きく伸びた事例が多数報告されています。

Google公式のデータによると、P-MAXを導入した小売業者では、コンバージョン数やコンバージョン値が平均27%増加しています。

  • 商品購入を目標としたECサイト
  • 資料請求や問い合わせ獲得を目指すBtoBビジネス
  • 会員登録や予約を促進したいサービス業

ECサイトの場合、Googleマーチャントセンターと連携することでショッピング広告としても配信できます。

商品フィードを登録しておけば、P-MAXが自動的に商品情報を活用して広告を配信してくれます。

成果を数値で測定しやすいビジネスであれば、P-MAXのAI最適化の恩恵を受けやすいでしょう。

ビジネスタイプ P-MAXとの相性 理由
ECサイト 非常に高い 購入CVが明確、商品フィード活用可能
BtoB(リード獲得) 高い 問い合わせ・資料請求をCV設定できる
店舗ビジネス 高い 来店促進とオンライン行動を組み合わせられる
認知拡大目的 やや低い CV最適化が前提のため

株式会社エッコでは、ECサイトを運営するお客様へのP-MAX導入支援を積極的に行っています。

検索広告との併用

P-MAXは、既存の検索広告キャンペーンと併用することでより高い効果を発揮します。

Googleは、P-MAXを「検索キャンペーンを補完するもの」として位置づけています。

検索広告で取りこぼしているユーザーに、P-MAXでアプローチするという使い方が効果的です。

  • 検索広告:購買意欲の高いユーザーに確実にリーチ
  • P-MAX:検索以外のタッチポイントで潜在層にもアプローチ

この組み合わせは「パワーペア」とも呼ばれ、Googleが公式に推奨している運用方法です。

たとえば、検索広告でキーワードを設定して配信している場合、P-MAXはそのキーワードでは検索広告が優先されます。

しかし、検索広告でカバーしきれない関連キーワードや、ディスプレイ・動画面ではP-MAXが補完的に配信を行います。

両方のキャンペーンを並行運用することで、ファネルの各段階でユーザーにリーチできるようになるのです。

十分なコンバージョン数がある場合

P-MAXの機械学習が効果的に機能するためには、一定量のコンバージョンデータが必要です。

Googleが推奨する目安は、1日あたり20〜30件のコンバージョンです。

現実的には、月間30〜50件以上のコンバージョンがあれば、P-MAXの導入を検討できるでしょう。

  • 月間CV数30件以上:P-MAX導入を検討可能
  • 月間CV数50件以上:より安定した学習が期待できる
  • 月間CV数100件以上:高い最適化効果が見込める

コンバージョン数が少ない場合、AIが学習するためのデータが不足し、最適化がうまく進まない可能性があります。

その場合は、マイクロコンバージョン(中間目標)を設定するという方法もあります。

たとえば、最終目標が「購入」であれば、「カート追加」や「商品詳細ページの閲覧」を中間目標として計測します。

CV数の目安 P-MAXの適性 対応策
月間10件未満 難しい まずは検索広告でCV数を増やす
月間10〜30件 要検討 マイクロCVの設定を検討
月間30〜50件 適している 標準的な運用が可能
月間50件以上 非常に適している 高い最適化効果を期待できる

自社のコンバージョン状況を確認し、P-MAXの導入タイミングを見極めることが大切です。

P-MAXキャンペーンの設定手順


キャンペーン目標の選択

P-MAXキャンペーンを作成する最初のステップは、キャンペーン目標の選択です。

Google広告の管理画面で「新しいキャンペーンを作成」をクリックすると、目標選択の画面が表示されます。

P-MAXで選択できる目標は限られているため、事前に確認しておきましょう。

目標 P-MAX対応 主な用途
販売促進 ECサイトの売上向上
見込み顧客の獲得 問い合わせ・資料請求の獲得
ウェブサイトのトラフィック サイト訪問者数の増加
来店数と店舗売上の向上 実店舗への集客
目標を設定せずに作成 柔軟な運用をしたい場合
ブランド認知度とリーチ × P-MAXでは選択不可
アプリのプロモーション × P-MAXでは選択不可

目標を選択したら、キャンペーンタイプで「パフォーマンスの最大化(P-MAX)」を選びます。

次に、コンバージョン目標を確認する画面が表示されます。

アカウントに設定されているコンバージョンアクションが自動で選択されるため、内容を確認しましょう。

このキャンペーンで計測したくない目標があれば、削除することも可能です。

コンバージョン設定は、P-MAXの最適化に直接影響する重要な要素です。

適切なコンバージョン計測ができていないと、AIが正しく学習できず、成果が出にくくなります。

予算と入札戦略の設定

キャンペーン目標を設定したら、次は予算と入札戦略の設定を行います。

予算は1日あたりの金額で設定します。

月間予算から逆算する場合は、月間予算を30で割った金額を目安にするとよいでしょう。

入札戦略は、P-MAXでは自動入札のみ利用できます。

手動での入札単価調整はできない点に注意が必要です。

コンバージョン数の最大化

もっとも基本的な入札戦略が「コンバージョン数の最大化」です。

この戦略を選択すると、設定した予算の範囲内でコンバージョン数が最大になるようにAIが入札を調整します。

  • 予算を使い切りながらCV数を増やしたい場合に最適
  • CPA(顧客獲得単価)の上限を設けない
  • 学習初期には特に推奨される戦略

まずは「コンバージョン数の最大化」で配信を開始し、データが蓄積してから目標CPAを設定するという流れがおすすめです。

予算設定の目安として、目標CPAの10倍以上の日予算を確保できると、学習がスムーズに進みます。

目標コンバージョン単価の設定

1件あたりのコンバージョン獲得にかけられる上限金額が決まっている場合は、目標コンバージョン単価(目標CPA)を設定できます。

「コンバージョン数の最大化」を選択した状態で、任意で目標CPAを入力します。

設定項目 内容 注意点
目標CPA 1CVあたりの目標獲得単価 低すぎると配信が抑制される
設定タイミング 学習完了後の調整時 初期は設定しないのが推奨
調整幅 現状CPAの±20%程度 急激な変更は学習に影響

目標CPAを設定すると、その金額を目安にコンバージョンを獲得しようとAIが調整します。

ただし、目標を低く設定しすぎると配信量が大幅に減少する可能性があるため、現実的な金額を設定することが重要です。

既存のキャンペーンでの実績CPAを参考に、達成可能な目標を設定しましょう。

目標広告費用対効果の設定

ECサイトなど、コンバージョンごとに価値(売上金額)が異なるビジネスでは、目標広告費用対効果(目標ROAS)の設定が効果的です。

目標ROASは、広告費に対してどれだけの売上を得たいかをパーセンテージで設定します。

  • 目標ROAS 400%:広告費1万円に対して4万円の売上を期待
  • 目標ROAS 200%:広告費1万円に対して2万円の売上を期待

この設定を使うためには、コンバージョン値(売上金額)の計測が必要です。

Google広告のコンバージョン設定で、各コンバージョンに価値を紐づけておきましょう。

商品単価の幅が広いECサイトでは、目標ROAS設定が特に有効です。

地域と言語の設定

予算設定の次は、広告を配信する地域と言語を設定します。

地域設定では、国単位、都道府県単位、市区町村単位など、さまざまな粒度で配信エリアを指定できます。

  • すべての国と地域:グローバルに展開する場合
  • 日本:国内全域に配信する場合
  • 別の地域を入力する:特定エリアに絞る場合

「別の地域を入力する」を選択すると、特定の住所を中心とした半径指定も可能です。

たとえば「名古屋市中区を中心に半径30km」といった設定ができます。

設定項目 選択肢 活用例
地域 国、都道府県、市区町村、半径指定 名古屋市のみに配信
言語 日本語、英語など 日本語ユーザーのみに配信
地域オプション 所在地、関心を示しているユーザー 旅行者も含めるかどうか

言語設定は、通常は「日本語」を選択すれば問題ありません。

地域密着型のビジネスでは、配信エリアを適切に絞り込むことで、無駄な広告費を削減できます。

アセットグループの作成方法


アセットグループの構造理解

P-MAXでは、従来の「広告グループ」に代わり「アセットグループ」という概念が使われています。

アセットグループは、広告の素材(アセット)をまとめて管理する単位です。

1つのP-MAXキャンペーンに、複数のアセットグループを作成できます。

従来のキャンペーン P-MAXキャンペーン
キャンペーン キャンペーン
広告グループ アセットグループ
広告(見出し、説明文など) アセット(画像、動画、テキストなど)
ターゲティング設定 オーディエンスシグナル

アセットグループには、テキスト、画像、動画などの素材を登録します。

AIがこれらの素材を自動で組み合わせ、配信面に応じた最適な広告を生成します。

たとえば、検索面ではテキストアセットを組み合わせてテキスト広告を作成し、ディスプレイ面では画像とテキストを組み合わせたバナー広告を作成します。

アセットグループを商品カテゴリやサービス内容ごとに分けることで、より関連性の高い広告配信が可能になります。

必要なアセットの準備

P-MAXを効果的に運用するためには、十分な種類と数のアセットを準備することが重要です。

Googleは、各アセットを最大数まで登録することを推奨しています。

アセットの種類が豊富であれば、AIがより多くの組み合わせを試すことができ、最適化の精度が向上します。

画像アセット

画像アセットは、ディスプレイ広告やDiscoverなどの配信面で使用されます。

最大20枚まで登録可能で、複数のサイズを用意することが推奨されています。

  • 横長画像(1.91:1):推奨1,200×628px、最小600×314px
  • スクエア画像(1:1):推奨1,200×1,200px、最小300×300px
  • 縦長画像(4:5):推奨960×1,200px、最小480×600px

横長とスクエアの画像は必須で、それぞれ最低1枚ずつ登録する必要があります。

縦長画像は任意ですが、スマートフォンでの表示に最適化された形式のため、用意しておくことをおすすめします。

ファイルサイズは最大5MBまでです。

動画アセット

動画アセットは、YouTube広告として配信されます。

YouTubeにアップロードした動画のみ使用可能で、直接アップロードはできません。

動画の向き 用途 推奨時間
横長(16:9) YouTube In-stream広告 10秒以上
スクエア(1:1) ディスプレイ、Discover 10秒以上
縦長(9:16) YouTubeショート、モバイル 10秒以上

Googleの公式データによると、動画アセットを1つ以上使用している広告主では、コンバージョン数が平均12%増加しています。

また、3つの向きの動画をすべて用意した場合、YouTubeでのコンバージョン数が20%増加したというデータもあります。

動画を用意していない場合、AIが画像とテキストから自動で動画を生成することがあります。

自動生成された動画の品質が気になる場合は、オリジナルの動画を準備することをおすすめします。

テキストアセット

テキストアセットは、すべての配信面で使用される重要な要素です。

広告見出し、長い広告見出し、説明文の3種類を準備します。

  • 広告見出し:最大15個、全角15文字(半角30文字)以内
  • 長い広告見出し:最大5個、全角45文字(半角90文字)以内
  • 説明文:最大5個、全角45文字(半角90文字)以内 ※短い説明文は全角30文字

それぞれの文字数制限内で、商品やサービスの魅力を端的に伝えるコピーを作成しましょう。

異なる訴求軸でバリエーションを持たせることで、AIがより効果的な組み合わせを見つけやすくなります。

オーディエンスシグナルの設定

オーディエンスシグナルは、P-MAXの学習を助けるためのヒントとなる情報です。

ターゲティング設定ではない点に注意が必要です。

AIはオーディエンスシグナルを参考にしながら、より成果につながりやすいユーザーを探していきます。

シグナルの種類 設定できる内容
自社データ 顧客リスト、サイト訪問者リスト
カスタムセグメント 興味関心キーワード、関連URL、アプリ
ユーザー属性 年齢、性別、世帯収入、子どもの有無
興味関心 購買意向の強いオーディエンス、アフィニティなど

特に効果的なのは、既存顧客のリストをシグナルとして登録する方法です。

購入実績のある顧客に似た特徴を持つユーザーをAIが見つけ出し、効率的にアプローチしてくれます。

オーディエンスシグナルは必須ではありませんが、設定することで学習期間の短縮が期待できます。

株式会社エッコでは、クライアント様のビジネス特性に合わせた最適なオーディエンスシグナルの設計をサポートしています。

P-MAX運用の注意点


学習期間中の対応

P-MAXを開始した直後は、AIが十分に学習できていないため、成果が不安定になりやすい時期です。

Googleは、最低でも6週間の学習期間を確保することを推奨しています。

この期間中は、焦って設定を変更しないことが重要です。

  • 学習期間の目安:4〜6週間
  • 推奨日予算:目標CPAの3〜10倍
  • 設定変更:最小限に抑える

頻繁にアセットを入れ替えたり、予算を大きく変更したりすると、学習がリセットされて最適化が遅れる可能性があります。

特に、予算の急激な増減は学習に悪影響を与えます。

変更する場合は、1回の調整幅を20%程度に抑えることをおすすめします。

期間 推奨される対応
1〜2週目 設定変更を控え、データ収集を優先
3〜4週目 配信状況を確認、大きな問題がなければ継続
5〜6週目 学習の進捗を確認、必要に応じて微調整
7週目以降 成果を評価、本格的な改善施策を実施

学習期間中は不安になることもありますが、AIを信じて待つ姿勢が大切です。

既存キャンペーンとの重複対策

P-MAXは複数の配信面に広告を出すため、既存のキャンペーンと配信が重複する可能性があります。

特に検索広告との関係は、正しく理解しておく必要があります。

同じアカウント内に検索キャンペーンとP-MAXが併存する場合、以下のルールで優先順位が決まります。

  • 完全一致キーワード:検索キャンペーンが優先
  • 検索キャンペーンにないキーワード:P-MAXが配信

つまり、検索キャンペーンで設定したキーワードはそちらが優先され、カバーしきれないキーワードをP-MAXが補完する形になります。

ショッピングキャンペーンとの関係はより複雑です。

同じ商品を扱うショッピングキャンペーンとP-MAXがある場合、P-MAXが優先されます。

この仕様により、ショッピングキャンペーンの配信量が減少することがあります。

除外キーワードの制限

P-MAXでは、キャンペーン単位での除外キーワード設定ができません。

これは、従来のキャンペーンに慣れている運用者にとって、大きな制約と感じられる点です。

除外したいキーワードがある場合は、アカウント単位で設定する必要があります。

  • アカウント単位の除外キーワード:P-MAXを含むすべてのキャンペーンに適用
  • ブランド除外:特定のブランド名を含む検索を除外
  • URL除外:特定のランディングページを配信対象から除外

アカウント単位での除外は、他のキャンペーンにも影響する点に注意が必要です。

P-MAXだけに適用したい除外設定がある場合は、代替手段を検討する必要があります。

除外方法 設定レベル P-MAXへの適用
除外キーワード アカウント単位 ○(他キャンペーンにも適用)
ブランド除外 キャンペーン単位
プレースメント除外 アカウント単位 ○(他キャンペーンにも適用)
URL除外 キャンペーン単位

動画アセットの自動生成

P-MAXでは、動画アセットを登録していない場合、AIが自動で動画を生成することがあります。

この自動生成動画は、登録した画像やテキストをもとに作成されます。

ただし、品質は必ずしも高いとは言えず、ブランドイメージに合わない可能性もあります。

  • 自動生成をオフにする設定はない
  • 意図しない動画が配信されるリスクがある
  • オリジナル動画を用意すれば自動生成は抑制される

ブランドイメージを大切にしたい企業は、必ずオリジナルの動画を用意することをおすすめします。

動画制作のリソースがない場合は、Google広告のアセットライブラリ内にある動画作成ツールを活用する方法もあります。

既存の画像を使って、簡易的な動画を作成できます。

効果測定と改善方法


確認すべき指標とレポート

P-MAXの成果を正しく評価するためには、適切な指標とレポートを確認することが重要です。

従来のキャンペーンと比べて確認できるデータが限定的なため、どの指標を見るべきかを理解しておきましょう。

アカウント全体での評価

P-MAXの効果測定で重要なのは、キャンペーン単体ではなくアカウント全体で評価するという視点です。

P-MAXはディスプレイやYouTubeなど、直接的なコンバージョンに至りにくい面にも配信されます。

これらの面での接触が、後の検索広告でのコンバージョンに貢献している可能性があります。

評価の視点 確認方法 ポイント
アカウント全体のCV数 アカウントサマリー P-MAX導入前後で比較
アカウント全体のCPA アカウントサマリー 総合的な獲得効率を確認
P-MAX単体のCV数 キャンペーンレポート 参考値として確認
検索広告への影響 検索キャンペーンの推移 共存状況を確認

P-MAX導入前の4週間と、導入後4〜6週間の成果を比較することで、導入効果を客観的に評価できます。

P-MAX単体の数値が良くなくても、アカウント全体で成果が向上していれば、導入は成功といえるでしょう。

プレースメントレポート

プレースメントレポートでは、P-MAXの広告がどこに表示されたかを確認できます。

Google広告の管理画面で「分析情報とレポート」から「レポートエディタ」を開き、「P-MAXキャンペーンのプレースメント」を選択します。

  • Googleにより所有および運営:YouTube、Gmail、Discoverなど
  • ディスプレイ面:Googleと提携するWebサイトやアプリ
  • 検索面:全体表示回数からディスプレイ・動画面を引いて算出

ブランドイメージに合わない配信先が見つかった場合は、アカウント単位でプレースメント除外を設定できます。

成果の悪い配信先を除外することで、予算の無駄を削減できます。

アセットのパフォーマンス評価

P-MAXでは、登録したアセットごとのパフォーマンスを確認できます。

各アセットは「最良」「良好」「低」の3段階で評価されます。

この評価をもとに、アセットの入れ替えや改善を行いましょう。

評価 意味 対応
最良 高いパフォーマンスを発揮 継続使用、類似アセットを追加
良好 平均的なパフォーマンス 様子を見つつ改善を検討
パフォーマンスが低い 差し替えを検討

「低」評価のアセットは、「最良」や「良好」のアセットの特徴を参考にして新しいものに差し替えます。

ただし、一度に大量のアセットを入れ替えると学習に影響する可能性があるため、段階的に行うことをおすすめします。

診断機能の活用

Google広告には、P-MAXキャンペーンの状態を診断する機能があります。

キャンペーン設定に問題がある場合、アラートや改善提案が表示されます。

  • 予算による制限:予算が足りず配信機会を逃している
  • アセット不足:推奨数に達していないアセットがある
  • コンバージョン設定の問題:計測に問題がある可能性

「予算による制限」が表示された場合は、予算の増額を検討しましょう。

この状態では、本来参加できたはずのオークションに予算不足で参加できていないことを示しています。

診断機能のアラートを定期的に確認し、問題があれば早めに対処することで、パフォーマンスの低下を防げます。

検索広告との併用戦略


キーワードターゲティングの優先順位


P-MAXと検索広告を併用する場合、
キーワードの優先順位ルールを理解しておくことが重要です。

同じアカウント内で両方のキャンペーンを運用していると、同じ検索語句に対してどちらの広告が表示されるか、という問題が発生します。

Googleは以下のルールを適用しています。

検索語句との関係 優先されるキャンペーン
完全一致キーワードと一致 検索キャンペーン
フレーズ一致・部分一致と一致 広告ランクが高いほう
検索キャンペーンにないキーワード P-MAX

完全一致キーワードで設定した語句については、検索キャンペーンが優先されます。

これにより、重要なキーワードは従来どおり検索広告でコントロールし、その他の関連キーワードはP-MAXに任せる、という運用が可能です。

効果的な併用戦略として、以下の方法が考えられます。

  • 成果実績のあるキーワード:検索キャンペーンで完全一致設定
  • 指名キーワード(ブランド名):検索キャンペーンで確保
  • ロングテールキーワード:P-MAXに任せる
  • 新規開拓:P-MAXで新しい検索語句を発見

ショッピング広告との関係

ECサイトを運営している場合、ショッピング広告との関係も重要です。

P-MAXとショッピングキャンペーンを併用すると、P-MAXが優先される仕様になっています。

同じ商品を扱う両方のキャンペーンがある場合、ショッピング枠ではP-MAXの広告が優先的に表示されます。

  • P-MAXの予算がショッピングより低くても優先される
  • ショッピングキャンペーンの配信量が減少する可能性
  • 結果的にアカウント全体の成果が変わる

この仕様を理解したうえで、運用方針を決める必要があります。

運用パターン メリット デメリット
P-MAXのみ 運用がシンプル 細かいコントロールができない
両方併用 比較検証が可能 管理が複雑になる
ショッピングのみ 細かい調整が可能 P-MAXの恩恵を受けられない

まずはP-MAXを導入して成果を確認し、必要に応じて従来のショッピングキャンペーンとの使い分けを検討するのがおすすめです。

株式会社エッコでは、お客様のビジネス状況に合わせた最適なキャンペーン構成をご提案しています。

まとめ


P-MAXキャンペーンは、Google広告の運用を大きく変える可能性を秘めた次世代型のキャンペーンです。

1つのキャンペーンですべての配信面に広告を出せる利便性と、AIによる自動最適化は、多くのビジネスにとって大きなメリットとなります。

本記事でご紹介した内容をおさらいしましょう。

  • P-MAXはGoogleのすべての広告枠に一括配信できる
  • 機械学習により入札やターゲティングが自動最適化される
  • 学習期間として最低6週間を確保することが推奨される
  • 検索広告との併用(パワーペア)で効果を最大化できる
  • アセットは種類と数を豊富に準備することが重要
  • 成果評価はアカウント全体で行うべき

一方で、細かなコントロールができない点や、学習期間が必要な点など、デメリットもあります。

自社のビジネス特性や運用スタイルに合うかどうかを見極めることが大切です。

P-MAXは、コンバージョン獲得を重視するビジネス、特にECサイトや見込み顧客の獲得を目指す企業に適しています。

月間30件以上のコンバージョンがあり、中長期的な運用が可能な状況であれば、導入を検討する価値は十分にあります。

「P-MAXを導入したいけれど、設定や運用に不安がある」という方は、ぜひ専門家に相談してみてください。

名古屋のWebコンサル会社である株式会社エッコでは、P-MAXキャンペーンの導入支援から運用代行まで、幅広くサポートしています。

お客様のビジネス目標に合わせた最適な広告戦略をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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