新卒で社会人になると、初めての給料「初任給」をもらうことになります。 大学を卒業して就職した場合、高校卒業後にすぐ就職した場合と比べて、その金額はどのくらい違うのでしょうか。 また、手取りの給料はいくらくらいになるのか、気になるところですよね。 この記事では、大卒と高卒の初任給の違いや、学歴以外の初任給の決め手について解説します。 初任給についてしっかり理解して、社会人生活をスタートさせましょう。

 

初任給とは

初任給とは文字通り、法人に入社して最初にもらう給料のことを指します。 給与明細に記載される支給額である「額面給与」と、実際に銀行口座に振り込まれる「手取り」の2つの表記があります。 どちらも「初任給」と呼ばれますが、その意味合いは少し異なります。

 

額面給与と手取りの違い

初任給の「額面給与」は、給与明細に記載されている支給額のことで、基本給に各種手当てや交通費などが含まれます。 一方、「手取り」は、額面給与から所得税や社会保険料などが差し引かれた後の、実際に銀行口座に振り込まれる金額を指します。 つまり、「額面給与-控除額=手取り」という計算式が成り立ちます。

初任給の7585%が手取りの目安

初任給の手取り額は、一般的に額面給与の7585%程度と言われています。 つまり、額面で20万円の初任給だった場合、手取りは1517万円程度になるという目安です。 ただし、この割合はあくまで平均的な数値なので、実際は個人の条件によって前後します。

 

初任給から差し引かれるお金

初任給から差し引かれるお金の内訳は、主に以下の項目です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

 

法人によっては、これ以外にも社宅費や積立金などが天引きされるケースもあります。 手取り額を正確に知るためには、入社後に支給される給与明細をしっかりチェックすることが大切ですね。

 

学歴別の初任給平均額

初任給の金額は、最終学歴によっても大きく異なります。 厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」の結果から、学歴別の初任給額の違いを見てみましょう。

高卒の初任給平均額は約18万円

2023年の高卒初任給の平均月額は、男女計で18万6,800円でした。 男女別に見ると、男性が18万9,000円、女性が18万3,200円と、若干の差が見られます。 高卒の初任給は、他の学歴と比べると全体的に低い傾向にあります。

 

大卒の初任給平均額は約23万円

大学卒の初任給平均は、高卒と比べるとかなり高くなります。 2023年の数値は、男女計で月額23万7,300円でした。 男性は24万300円、女性は23万4,300円と、高卒との差は4万円以上にもなります。 大卒の学歴を持つことで、初任給に大きなアドバンテージがあると言えるでしょう。

 

専門・短大・高専卒の初任給平均額は約22万円

専門学校、短大、高専卒の初任給は、高卒と大卒の中間に位置しています。 2023年の平均月額は、専門学校卒が21万4,500円、短大・高専卒が21万4,600円でした。 大卒には及ばないものの、高卒よりは高い水準にあると言えます。

 

大学院(修士)卒の初任給平均額は約26万円

最も高い初任給平均額を誇るのが、大学院(修士)卒です。 2023年の男女計平均は、月額27万6,000円と、かなり高い水準にあります。 男性は28万3,200円、女性は26万800円でした。 学歴が高くなるほど、専門性も増すため、初任給に大きな差がつく傾向があると言えそうです。

以上のように、学歴によって初任給の平均額には大きな開きがあることがわかります。 特に、大卒と院卒は、高卒や専門卒と比べてアドバンテージが大きいと言えるでしょう。 ただし、学歴だけでなく、業界や職種によっても初任給の水準は大きく変わってきます。 総合的に判断して、自分に合った進路を選択することが重要ですね。

 

産業(職業)別の初任給平均額

学歴だけでなく、就職する業界や職種によっても、初任給の平均額は大きく異なります。 特に高卒の場合、その差は顕著に表れる傾向があります。

高卒の場合、初任給が高い・低い業界がある

2022年の高卒初任給の平均月額を業界別に見ると、最も高いのは「情報通信業」の23万1,600円でした。 次いで、「不動産業・物品賃貸業」が23万700円、「学術研究・専門技術サービス業」が23万300円と続きます。 いずれも、専門性の高い業界で初任給が高い傾向が見られます。 一方、最も低いのは「宿泊業・飲食サービス業」の19万6,000円でした。 「生活関連サービス業・娯楽業」も19万9,400円と、サービス系の業界は総じて初任給が低い傾向にあります。

 

業界によって初任給に差がある理由

業界によって初任給に差が出る主な理由は、業界の売上規模や利益率の違いが挙げられます。 情報通信業や不動産業は、1件あたりの取引金額が大きく、利益率も高い傾向にあります。 その分、人材への投資も積極的に行われ、初任給に反映されやすいと言えるでしょう。 一方、飲食サービス業などは、個々の商品単価は安くても売上数が多いビジネスモデルが主流です。 利益率も低めのため、人件費を抑える傾向があり、初任給も相対的に低くなりがちです。 業界の構造的な特徴が、初任給の差に表れていると考えられます。

 

地域による初任給平均額の違い

初任給の平均額は、就職する地域によっても差が見られます。 特に、大都市圏とそれ以外の地域では、かなりの開きがあるのが実情です。

関東圏、愛知、大阪は平均額が特に高い

初任給が全国的に見ても高い地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県からなる首都圏です。 大学卒の初任給平均は、いずれも23万円前後と高水準にあります。 また、愛知県や大阪府も同様に、大卒初任給が23万円を超える高さを誇ります。 これらの地域には、大手企業の本社が集中していることが、高い初任給に繋がっていると考えられます。

 

栃木の平均額は月20.6万円

一方、地方の初任給は、全国平均と比べるとやや低くなる傾向があります。 例えば、栃木県の場合、大学卒の初任給平均は月20万6,500円にとどまります。 高校卒に至っては、わずか16万4,200円という水準です。 大都市圏との差は歴然としており、地域による初任給格差の実態がうかがえます。 ただし、物価水準など生活コストの違いを考慮すると、一概に地方の初任給が低いとは言い切れない面もあります。 自身のライフスタイルに合った地域を選ぶことも、重要な視点と言えるでしょう。

 

収入アップを目指すためのステップ

初任給をアップさせたい、将来的に収入を増やしたいという方のために、いくつかの具体的なステップを紹介します。

初任給が高い業界・都市部での就職を目指す

まず、初任給が高い業界を狙って就職活動を行うのも一つの方法です。 前述のとおり、情報通信業や不動産業などは、全体的に初任給が高い傾向にあります。 専門性を身につけ、これらの業界への就職を目指すのも良いでしょう。 また、東京や大阪などの大都市圏は、地方と比べて初任給が高くなる傾向があります。 都市部での就職を視野に入れるのも、収入アップにつながる可能性が高いと言えます。 ただし、物価の高さなど生活コストとのバランスも考慮する必要があります。

 

社内での昇進・昇給や手当のつく資格取得を目指す

入社後は、昇進・昇給が気になる方もいると思います。 自己研鹿に励み、周りからの評価を得ていくことが必要です。 また、業務に関連する資格を取得することで、手当がつく可能性もあります。 例えば、社会福祉士や精神保健福祉士、ファイナンシャルプランナーなどの資格は、 手当の対象となる法人があります。 資格取得を目指して学習することは、スキルアップと収入アップの両方につながるでしょう。

平均給与の高い法人・業界への転職や起業・独立を検討する

数年間の経験を積んだ後は、より条件の良い法人への転職を検討することも一つの手段です。 自分の経験やスキルからの市場価値を冷静に判断し、 給与面でのステップアップが望める転職先を探してみましょう。 また、ある程度のキャリアを積んだ後は、起業や独立という選択肢も視野に入ります。 法人に雇われるのではなく、自ら事業を興すことで、収入を飛躍的に伸ばせる可能性があります。 ただし、リスクも大きいため、綿密な準備と覚悟が必要不可欠です。

 

初任給が高いだけでは良い就職先とは限らない

初任給の高さは、就職先を選ぶ際の重要な判断材料の一つですが、 それだけが全てではないことにも注意が必要です。

労働環境や将来性なども総合的に判断する

初任給が高くても、長時間労働が常態化していたり、休暇が取りにくかったりする職場では、 長く働き続けるのは難しいでしょう。 ワークライフバランスを大切にできる環境かどうかは、重要なポイントです。 また、将来的なキャリアアップの可能性や、法人の成長性なども見据えて就職先を選ぶ必要があります。 初任給が低くても、将来的に飛躍できる可能性のある法人であれば、 長い目で見れば良い選択になるかもしれません。 目先の初任給だけでなく、労働環境や将来性など、トータルで判断することが大切です。 自分が納得して長く働き続けられる環境を選ぶことが、何よりも重要だと言えるでしょう。

 

大卒資格を手に入れるなら通信制大学もおすすめ

大学を卒業することは、初任給アップに大きく役立つことがわかってきました。 しかし、学校に通う時間的・経済的な余裕がない人にとっては、 大卒の学歴を取得するのはハードルが高いのが現実です。 そんな方におすすめなのが、通信制大学での大学卒業資格の取得です。 すき間時間にインターネットを使って学べるので、仕事や家事・育児などと学習の両立も可能です。 学習ペースも自分で決められるので、無理なく卒業を目指せるのが大きな魅力です。 日本福祉大学通信教育部では、通学不要で大卒資格の取得を目指すことができ、職場の課題解決や家庭の中で役立つ専門知識やスキルを身につけることができます。

まとめ

今回は、初任給にフォーカスして、大卒と高卒の違いや手取り額の目安について解説してきました。 ポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 初任給には、額面給与と手取りの2種類がある
  • 手取り額は、一般的に額面給与の75~85%程度
  • 学歴が上がるほど、初任給の平均額は高くなる傾向にある
  • 業界や職種、勤務地によっても、初任給の平均額は大きく異なる
  • 初任給アップや収入増加のためには、戦略的なキャリアプランが重要
  • ただし、初任給の高さだけが全てではなく、労働環境や将来性なども考慮する必要がある

初任給は、社会人としてのスタートラインに立つ上で重要な指標の一つです。 しかし、それだけが全てではありません。 自分の希望するライフスタイルや将来のビジョンを見据えて、 長く働き続けられる環境を選ぶことが何より大切だと言えるでしょう。 自分に合った働き方を見つけられるよう、しっかりと情報収集し、 納得のいく就職先を見つけていただければと思います。