Google広告を運用するうえで、キーワードの「マッチタイプ」をどのように設定するかは、広告効果を大きく左右する重要なポイントです。
なかでもフレーズ一致は、広告配信の範囲をほどよくコントロールできるバランス型のマッチタイプとして、多くの広告運用者に活用されています。
しかし、2021年に行われた大きな仕様変更により、フレーズ一致の挙動は以前とは異なるものになりました。
「フレーズ一致って結局どんな検索語句に広告が出るの?」 「完全一致やインテントマッチとの違いがよくわからない」 「設定方法や効果的な使い方を知りたい」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Google広告のフレーズ一致について、基本的な定義から設定方法、効果的な活用シーンまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
また、Yahoo!広告での設定手順や、除外キーワードとの組み合わせ方など、実務で役立つ情報も詳しくお伝えします。
フレーズ一致を正しく理解して活用することで、限られた広告予算でも効率的に成果を上げることが可能になります。
ぜひ最後までお読みいただき、日々の広告運用にお役立てください。
目次
フレーズ一致とは
Google広告でキーワードを設定する際には、「マッチタイプ」と呼ばれる設定を選ぶ必要があります。
マッチタイプとは、登録したキーワードに対して、どのような検索語句で広告を表示させるかを決めるルールのことです。
フレーズ一致は、このマッチタイプのひとつであり、設定したキーワードと同じ意味を含む検索語句に対して広告を表示する仕組みになっています。
ここでは、フレーズ一致の基本的な定義から、2021年に行われた仕様変更のポイント、そして実際にどのような検索語句で広告が表示されるのかを詳しく見ていきましょう。
フレーズ一致の基本定義
フレーズ一致とは、登録したキーワードと同じ意味の内容を含む検索に対して広告を表示するマッチタイプです。
Googleの公式ヘルプによると、フレーズ一致では「文言に差があっても、同じ意味に解釈できる場合は一致とみなされる」と定義されています。
つまり、ユーザーが入力した検索語句の文言が登録キーワードと完全に一致していなくても、意味が同じであれば広告が表示されるという特徴があります。
たとえば、「テニス シューズ」というキーワードをフレーズ一致で登録した場合、「テニス用の靴」や「テニススニーカー」といった類義語を含む検索でも広告が表示されます。
フレーズ一致を設定する際には、キーワードを**二重引用符(””)**で囲んで入力します。
- “テニス シューズ”
- “パソコン 教室”
- “引越し 見積もり”
このように記号を使ってマッチタイプを指定することで、Google広告のシステムが適切な検索語句に広告を配信してくれます。
フレーズ一致は、完全一致よりも広い範囲に広告を表示でき、インテントマッチ(部分一致)よりも絞り込んだ配信が可能な、中間的な位置づけのマッチタイプといえるでしょう。
2021年以降の仕様変更ポイント
フレーズ一致は、2021年に大きな仕様変更が行われました。
この変更を理解していないと、意図した通りの広告配信ができなくなる可能性があるため、しっかりと把握しておくことが大切です。
2021年2月から7月にかけて、Googleは絞り込み部分一致の機能をフレーズ一致に統合するアップデートを実施しました。
| 変更前(2021年以前) | 変更後(2021年7月以降) |
| 登録キーワードと同じ語順の検索語句に表示 | 語順が異なっても意味が同じなら表示 |
| キーワードの間に別の語句が入ると非表示 | キーワードの間に語句が入っても表示 |
| 絞り込み部分一致が別に存在 | 絞り込み部分一致はフレーズ一致に統合 |
| 文字列の一致を重視 | 検索意図の一致を重視 |
この仕様変更により、フレーズ一致は以前よりも柔軟な配信ができるようになりました。
たとえば、「東京から神奈川 引越し」というキーワードを登録した場合、変更前は「東京から神奈川 引越し 安い」のように前後に語句が追加されたケースでしか表示されませんでした。
しかし変更後は、「引越しサービス 東京から神奈川まで」のように語順が入れ替わっても意味が同じであれば広告が表示されるようになっています。
ただし、語順によって意味が変わる場合は、システムが適切に判断して配信を制御します。
「東京から神奈川」と「神奈川から東京」では引越しの方向が逆になるため、後者の検索では広告は表示されません。
このように、2021年の仕様変更によって、フレーズ一致は検索意図をより重視した配信ができるマッチタイプへと進化しました。
広告が表示される検索語句の例
フレーズ一致で広告が表示される検索語句のパターンを具体的に見ていきましょう。
どのような検索に対して広告が表示されるのかを理解しておくことで、キーワード設定の精度を高めることができます。
登録キーワードを「一人旅 温泉」とした場合、以下のような検索語句で広告が表示される可能性があります。
- 「一人旅 温泉 おすすめ」:キーワードの後に語句が追加されたパターン
- 「関東 一人旅 温泉」:キーワードの前に語句が追加されたパターン
- 「ひとり旅 温泉 宿」:ひらがな表記への変換パターン
- 「温泉 一人旅 プラン」:語順が入れ替わったパターン
- 「ソロ旅行 温泉地」:類義語での検索パターン
これらの検索語句は、いずれも「一人旅 温泉」という登録キーワードと同じ意味を含んでいるとシステムが判断するため、広告表示の対象となります。
一方で、意味が異なる検索語句には広告は表示されません。
たとえば、「家族旅行 温泉」や「カップル 温泉宿」といった検索は、「一人旅」というキーワードの意図とは異なるため、表示対象外となります。
また、Googleは「類似パターン」と呼ばれる仕組みによって、表記のゆれや誤字脱字にも対応しています。
漢字とひらがなの違い(一人旅 / ひとり旅)、送り仮名の違い(引っ越し / 引越し)、軽微なタイプミスなどがあっても、同じ意味と判断されれば広告が表示されます。
このように、フレーズ一致はユーザーの検索意図を捉えた柔軟な配信が可能なマッチタイプです。
3つのマッチタイプの違いを比較
Google広告のマッチタイプは、現在「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ(部分一致)」の3種類が用意されています。
それぞれのマッチタイプには異なる特徴があり、広告配信の範囲や精度に違いがあります。
フレーズ一致を効果的に活用するためには、他のマッチタイプとの違いを正しく理解しておくことが欠かせません。
ここでは、完全一致とインテントマッチそれぞれとの違いを比較しながら、フレーズ一致が最適なケースについて解説していきます。
完全一致との違い
完全一致は、登録したキーワードとまったく同じ意味や意図を持つ検索にのみ広告を表示するマッチタイプです。
3つのマッチタイプの中で、最も配信範囲が狭く、ターゲットを絞り込んだ配信が可能になります。
完全一致のキーワードは、角かっこ([ ])で囲んで入力します。
| 比較項目 | 完全一致 | フレーズ一致 |
| 記号 | [キーワード] | “キーワード” |
| 配信範囲 | 最も狭い | 中間 |
| 前後への語句追加 | 表示されない | 表示される |
| 類義語への対応 | 同じ意味なら表示 | 同じ意味を含めば表示 |
| コントロール性 | 高い | 中程度 |
たとえば、「テニス シューズ」を完全一致で登録した場合、「テニス シューズ」や「テニス 靴」といった完全に同じ意味の検索にのみ広告が表示されます。
一方、フレーズ一致では「テニス シューズ 安い」や「赤い テニスシューズ」のように、キーワードの前後に語句が追加された検索にも広告が表示されます。
完全一致は配信範囲が狭いため、クリック率やコンバージョン率が高くなりやすい傾向があります。
しかし、表示回数が限られるため、網羅的にキーワードを登録しないと機会損失が発生する可能性があります。
フレーズ一致は完全一致よりも広い範囲に配信できるため、さまざまな検索パターンをカバーしながらも、ある程度のターゲティング精度を維持できるのが強みです。
インテントマッチ(部分一致)との違い
インテントマッチは、登録したキーワードに関連する幅広い検索に対して広告を表示するマッチタイプです。
以前は「部分一致」と呼ばれていましたが、2024年にGoogleが名称を「インテントマッチ」に変更しました。
インテントマッチは特別な記号を使わず、キーワードをそのまま入力するだけで設定できます。
- 「テニス シューズ」がインテントマッチ
- 「テニス シューズ」を含む関連検索に幅広く配信
- キーワードそのものを含まない検索にも表示される
インテントマッチの最大の特徴は、キーワードの語句が含まれていない検索にも広告が表示されるという点です。
たとえば、「テニス シューズ」をインテントマッチで登録すると、「スポーツ用の靴 おすすめ」や「ラケット競技 運動靴」といった、キーワードそのものは含まれないが関連性がある検索にも広告が配信される可能性があります。
| 比較項目 | フレーズ一致 | インテントマッチ |
| 記号 | “キーワード” | なし |
| 配信範囲 | 中間 | 最も広い |
| キーワードの有無 | 同じ意味を含む必要あり | 含まなくても配信される |
| 関連キーワードへの拡張 | 限定的 | 積極的に拡張 |
| 予算消化のスピード | 中程度 | 速い |
Googleは現在、インテントマッチとスマート自動入札の併用を推奨しています。
AIによる機械学習を活用することで、インテントマッチでも効果的な配信が可能になっているためです。
しかし、インテントマッチは配信範囲が広いため、意図しない検索語句に広告が表示されるリスクもあります。
フレーズ一致は、インテントマッチほど拡張されないため、配信先をある程度コントロールしながら運用したい場合に適しています。
フレーズ一致が最適なケース
フレーズ一致は、完全一致とインテントマッチの中間に位置するマッチタイプです。
そのため、両方のメリットをバランスよく活かしたい場面で特に効果を発揮します。
フレーズ一致が最適なケースとしては、以下のような状況が挙げられます。
- 広告配信を始めたばかりで、どの検索語句が効果的かわからない段階
- 予算が限られており、無駄なクリックを避けながら配信したい場合
- 特定の商品名やサービス名を含む検索に配信したい場合
- 地域名を含むローカルビジネスのキーワード設定
- BtoB商材など、検索ボリュームが限られるニッチな市場での配信
特に、固有名詞や地域キーワードとの相性がよいのがフレーズ一致の特徴です。
たとえば、「名古屋 ホームページ制作」というキーワードをフレーズ一致で登録すれば、「名古屋 ホームページ制作 安い」や「名古屋市 ホームページ制作会社」といった検索にも広告を表示できます。
完全一致ではこれらの検索をすべて個別に登録する必要がありますが、フレーズ一致ならひとつのキーワードで網羅的にカバーすることが可能です。
また、インテントマッチでは配信が広がりすぎてしまう商材や、コンバージョンデータが十分に蓄積されていない初期段階の運用でも、フレーズ一致は有効な選択肢となります。
名古屋のWebコンサル会社である株式会社エッコでは、お客様の商材や予算に応じた最適なマッチタイプの選定をサポートしています。
フレーズ一致のメリット
フレーズ一致には、広告運用において多くのメリットがあります。
完全一致とインテントマッチの良いところを両立できるバランス型のマッチタイプだからこそ、幅広い場面で活用されています。
ここでは、フレーズ一致を活用することで得られる3つの主要なメリットについて詳しく解説していきます。
購買意欲の高いユーザーにアプローチできる
フレーズ一致の大きなメリットのひとつは、購買意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできる点です。
インテントマッチでは、登録キーワードに関連する幅広い検索に広告が表示されます。
そのため、まだ情報収集段階のユーザーや、商品の購入を具体的に検討していないユーザーにも広告が配信される可能性があります。
一方、フレーズ一致ではキーワードと同じ意味を含む検索にのみ広告が表示されるため、より明確なニーズを持ったユーザーにリーチしやすくなります。
- 「パソコン 教室」で検索するユーザー → パソコン教室を探している
- 「引越し 見積もり」で検索するユーザー → 引越しの見積もりを取りたい
- 「脱毛サロン 名古屋」で検索するユーザー → 名古屋で脱毛サロンを探している
このように、具体的なアクションを起こそうとしているユーザーに広告を届けられるのがフレーズ一致の強みです。
購買意欲の高いユーザーに広告を表示できれば、クリック後のコンバージョン率も高くなる傾向があります。
限られた予算で効率よく成果を上げたい場合には、フレーズ一致が有効な選択肢となるでしょう。
広告配信範囲を適度に絞り込める
フレーズ一致を使えば、広告の配信範囲を適度にコントロールすることができます。
完全一致では配信範囲が狭すぎて表示回数が限られ、インテントマッチでは広すぎて意図しない検索にも配信されてしまいます。
フレーズ一致は、この両極端の中間に位置するバランス型のマッチタイプです。
| マッチタイプ | 配信範囲 | コントロール性 | 表示回数 |
| 完全一致 | 狭い | 高い | 少ない |
| フレーズ一致 | 中間 | 中程度 | 中程度 |
| インテントマッチ | 広い | 低い | 多い |
フレーズ一致では、登録したキーワードの意味を含む検索語句に限定して広告が配信されます。
そのため、キーワードとまったく関係のない検索への配信を防ぎながら、さまざまな検索パターンをカバーすることが可能です。
たとえば、「ホームページ 制作」をフレーズ一致で登録すれば、「ホームページ 制作 料金」や「中小企業 ホームページ制作」といった検索に広告を表示できます。
しかし、「ブログ 作成方法」のようなキーワードの意味から外れた検索には広告は表示されません。
このように、フレーズ一致を活用することで、必要な範囲に絞り込んだ効率的な配信が実現できます。
無駄なクリックを防止できる
フレーズ一致のもうひとつの重要なメリットは、無駄なクリックを防止できる点です。
Google広告は、ユーザーが広告をクリックした時点で費用が発生するクリック課金制を採用しています。
そのため、商品やサービスに関心のないユーザーからのクリックは、広告費の無駄遣いにつながってしまいます。
インテントマッチでは配信範囲が広いため、ターゲット外のユーザーにも広告が表示され、意図しないクリックが発生しやすくなります。
一方、フレーズ一致ではキーワードの意味に沿った検索に限定して配信されるため、関連性の低いクリックを減らすことができます。
- ターゲット層への配信精度が向上する
- 関連性の低いクリックが減少する
- クリック単価あたりの費用対効果が改善する
- 広告予算を効率的に活用できる
- コンバージョン率の向上が期待できる
特に、広告単価が高い業界や予算が限られている中小企業にとっては、無駄なクリックの削減は大きなメリットとなります。
フレーズ一致を上手に活用することで、限られた予算でも最大限の広告効果を引き出すことが可能になるでしょう。
フレーズ一致のデメリットと注意点
フレーズ一致には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
メリットだけでなくデメリットも把握しておくことで、より適切なマッチタイプの選択ができるようになります。
ここでは、フレーズ一致を使用する際に注意すべき2つのポイントについて解説していきます。
潜在顧客を取りこぼすリスク
フレーズ一致のデメリットのひとつは、潜在顧客を取りこぼす可能性があるという点です。
フレーズ一致は、登録したキーワードと同じ意味を含む検索にのみ広告を表示します。
そのため、インテントマッチで配信される関連性のある検索語句には、広告が表示されないケースが出てきます。
- 「テニス シューズ」をフレーズ一致で登録
- 「スポーツ用シューズ おすすめ」では広告が表示されない
- 本当はテニスシューズを探しているユーザーかもしれない
このように、将来的に顧客になる可能性のあるユーザーを逃してしまうリスクがあります。
インテントマッチでは、キーワードそのものが含まれていなくても、関連性があればシステムが判断して広告を配信します。
そのため、まだ具体的なキーワードで検索していない潜在層にもアプローチすることが可能です。
フレーズ一致は配信範囲を絞り込む分、このような潜在顧客への接触機会が少なくなる傾向があります。
| 観点 | フレーズ一致 | インテントマッチ |
| 顕在顧客へのリーチ | 得意 | 得意 |
| 潜在顧客へのリーチ | 苦手 | 得意 |
| 新規キーワードの発見 | 限定的 | 積極的 |
| ブランド認知の拡大 | 限定的 | 効果的 |
ブランドの認知度向上や新規顧客の開拓を重視する場合は、フレーズ一致だけでなく、インテントマッチとの併用も検討する必要があります。
商材の特性や広告の目的に応じて、最適なマッチタイプを選択することが大切です。
クリック単価が高くなる可能性
フレーズ一致を使用する際のもうひとつの注意点は、クリック単価が高くなる可能性があるということです。
フレーズ一致では、インテントマッチよりも配信範囲が狭くなります。
そのため、同じキーワードで広告を出稿している競合他社との競争が激しくなる傾向があります。
リスティング広告のクリック単価は、オークション形式で決定されます。
同じ検索語句に対して複数の広告主が入札すると、入札単価が上昇し、結果としてクリック単価も高くなります。
- フレーズ一致や完全一致は配信先が絞られる
- 絞られた配信先に競合が集中しやすい
- 競争が激化するとクリック単価が上昇する
- 同じ予算でもクリック数が減少する可能性がある
- 費用対効果が悪化するケースもある
特に、人気のあるキーワードや競合が多い業界では、この傾向が顕著に現れることがあります。
一方で、インテントマッチは配信範囲が広いため、競合の少ない検索語句にも広告が表示されます。
そのため、フレーズ一致よりも低いクリック単価でクリックを獲得できるケースもあります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、実際のクリック単価は業界や商材、キーワードによって大きく異なります。
フレーズ一致を使用する際は、検索語句レポートを定期的に確認し、費用対効果を分析しながら運用することが重要です。
フレーズ一致の設定方法
フレーズ一致の概要とメリット・デメリットを理解したところで、次は実際の設定方法について見ていきましょう。
Google広告とYahoo!広告では、フレーズ一致の設定手順が若干異なります。
また、大量のキーワードを効率よく登録するためのエディターの活用方法についても解説します。
Google広告での設定手順
Google広告でフレーズ一致を設定する方法は、大きく分けて2つあります。
ひとつは二重引用符(””)を使って直接入力する方法、もうひとつは管理画面のメニューから設定する方法です。
どちらの方法でも同じ結果になりますので、使いやすい方を選んでください。
二重引用符(””)での記号設定
Google広告でフレーズ一致を設定する最もシンプルな方法は、キーワードを二重引用符で囲んで入力することです。
この方法は、キーワードの追加画面でそのまま使用できるため、慣れてしまえば非常にスピーディに設定できます。
| マッチタイプ | 記号 | 入力例 |
| 完全一致 | [ ] | [テニス シューズ] |
| フレーズ一致 | ” “ | “テニス シューズ” |
| インテントマッチ | なし | テニス シューズ |
フレーズ一致を設定する際は、半角の二重引用符を使用することに注意してください。
全角の「”」や「”」を使うと、正しく認識されない可能性があります。
複数のキーワードをまとめて登録する場合は、以下のように1行に1キーワードずつ入力します。
- “テニス シューズ”
- “テニス ラケット”
- “テニス ウェア”
このように記号を使い分けることで、同じキーワード追加画面から異なるマッチタイプを一括登録することも可能です。
管理画面からの登録方法
記号を使わずに、管理画面のメニューからフレーズ一致を設定することもできます。
この方法は、マッチタイプの記号を覚えていなくても設定できるため、初心者の方にもわかりやすい手順です。
- Google広告にログインする
- 左側メニューから「キーワード」を選択する
- 画面上部の「+」ボタンをクリックする
- キャンペーンと広告グループを選択する
- キーワードを入力する
- マッチタイプのプルダウンから「フレーズ一致」を選択する
- 「保存」をクリックして完了
この方法では、キーワードを入力した後にドロップダウンメニューからマッチタイプを選択できます。
記号を入力しなくても、視覚的にマッチタイプを確認しながら設定できるのがメリットです。
また、すでに登録済みのキーワードのマッチタイプを後から変更することも可能です。
キーワード一覧画面で該当キーワードを選択し、マッチタイプの列をクリックすれば変更画面が表示されます。
Yahoo!広告での設定手順
Yahoo!広告でも、フレーズ一致を設定することができます。
ただし、Google広告とは設定方法が若干異なる点に注意が必要です。
Yahoo!広告では、二重引用符を使わずに、管理画面のタブからマッチタイプを選択する方式を採用しています。
| 手順 | 操作内容 |
| 1 | Yahoo!広告の管理画面にログイン |
| 2 | キャンペーンを選択 |
| 3 | 「キーワード」タブをクリック |
| 4 | 「+キーワード追加」ボタンをクリック |
| 5 | 広告グループを選択 |
| 6 | キーワードを入力 |
| 7 | マッチタイプを「フレーズ一致」に変更 |
| 8 | 「作成」をクリックして完了 |
Yahoo!広告のキーワード登録画面では、デフォルトのマッチタイプが**部分一致(インテントマッチ)**に設定されています。
そのため、フレーズ一致で登録したい場合は、必ずマッチタイプを変更してから保存する必要があります。
セレクトボックスをクリックすると、「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」の3つの選択肢が表示されます。
「フレーズ一致」を選択してから「キーワードを追加」をクリックすれば、正しいマッチタイプで登録されます。
Google広告と異なり、Yahoo!広告では記号を入力してもマッチタイプは変わりません。
「”キーワード”」と入力しても、フレーズ一致として認識されるわけではないため注意してください。
エディターを使った一括設定
大量のキーワードを効率よく登録したい場合は、Google広告エディターを活用するのがおすすめです。
Google広告エディターは、無料でダウンロードできるデスクトップアプリケーションです。
管理画面から1つずつ登録するよりも、大幅に作業時間を短縮することができます。
- Excelやスプレッドシートでキーワードリストを作成する
- マッチタイプの列を追加し、「Phrase」と記入する
- Google広告エディターにインポートする
- 内容を確認してアカウントにアップロードする
- 管理画面で正しく登録されているか確認する
エディターでは、キーワードのマッチタイプを**「Exact」「Phrase」「Broad」**という英語表記で指定します。
フレーズ一致の場合は「Phrase」と入力すれば、正しく認識されます。
また、既存のキーワードのマッチタイプを一括で変更することも可能です。
変更したいキーワードを複数選択し、マッチタイプの項目をまとめて編集すれば、効率よく変更作業を進められます。
Yahoo!広告にも「キャンペーンエディター」という同様のツールがあり、大量のキーワード管理に活用できます。
日常的な運用作業を効率化するためにも、エディターの使い方をマスターしておくことをおすすめします。
フレーズ一致の効果的な活用シーン
フレーズ一致の設定方法を理解したところで、次はどのような場面で活用すると効果的かを見ていきましょう。
フレーズ一致はさまざまなシーンで活用できますが、特に効果を発揮しやすい3つのケースについて解説します。
予算が限られている場合の運用
フレーズ一致は、広告予算が限られている場合に特に効果を発揮するマッチタイプです。
中小企業や個人事業主の方など、月間の広告予算が10万円以下といったケースでは、いかに無駄なクリックを減らして効率よく配信するかが重要になります。
インテントマッチは配信範囲が広いため、短期間で予算を消化してしまうリスクがあります。
一方、フレーズ一致はキーワードの意味に沿った検索に限定して配信されるため、予算を効率的に使うことができます。
| 予算規模 | おすすめの運用方針 |
| 月10万円以下 | フレーズ一致を中心に、厳選したキーワードで配信 |
| 月10〜30万円 | フレーズ一致+除外キーワードで効率化 |
| 月30〜100万円 | フレーズ一致とインテントマッチを併用 |
| 月100万円以上 | インテントマッチ中心に幅広くデータ収集 |
予算が少ない段階では、確度の高いキーワードに絞って配信することが大切です。
フレーズ一致を使えば、購買意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできます。
ある程度データが蓄積されてきたら、検索語句レポートを分析して効果の高いキーワードを追加していくとよいでしょう。
競合他社への除外依頼時の活用
フレーズ一致は、競合他社への除外依頼を行う際にも活用されます。
自社の商品名やサービス名で検索した際に、競合他社のリスティング広告が表示されることがあります。
このような場合、競合他社に連絡を取り、該当キーワードの除外設定を依頼することができます。
- 自社商品名:「エッコホームページ制作」
- 競合の広告が表示されている
- 競合に除外依頼を送る
- 「”エッコホームページ制作”をフレーズ一致で除外してください」
- 自社商品名を含む検索で競合広告が表示されなくなる
除外依頼の際には、**「フレーズ一致で除外してください」**と具体的に伝えることがポイントです。
フレーズ一致で除外設定をしてもらえれば、「エッコホームページ制作 料金」や「エッコホームページ制作 評判」といった派生キーワードでも競合広告が表示されなくなります。
完全一致での除外では、完全に同じ検索語句にしか適用されないため、網羅的な対策ができません。
フレーズ一致を指定することで、より広い範囲で自社ブランドを保護することが可能になります。
ネガティブキーワード対策
フレーズ一致は、自社にとってマイナスになる検索語句への対策にも効果的です。
ユーザーの中には、「〇〇 解約」「〇〇 退会」「〇〇 悪評」といったネガティブなキーワードで検索する人もいます。
このような検索に広告を表示しても、コンバージョンにつながる可能性は極めて低いといえます。
むしろ、無駄なクリック費用が発生するだけでなく、広告のクリック率が下がることで品質スコアにも悪影響を及ぼす可能性があります。
- 「解約」をフレーズ一致で除外設定
- 「〇〇 解約方法」「〇〇 解約 電話」などで広告が非表示に
- 「退会」をフレーズ一致で除外設定
- 「〇〇 退会」「〇〇 退会したい」などで広告が非表示に
- 「無料」をフレーズ一致で除外設定
- 有料サービスへの無料目的のクリックを防止
このように、ネガティブキーワードをフレーズ一致で除外しておくことで、関連するさまざまな検索パターンを一括でブロックできます。
完全一致で除外すると、「〇〇 解約」は除外されても「〇〇 解約方法」は除外されないため、網羅的な対策ができません。
フレーズ一致を活用することで、効率的にネガティブワード対策を行うことが可能になります。
フレーズ一致と除外キーワードの組み合わせ
フレーズ一致を効果的に活用するためには、除外キーワードとの組み合わせが欠かせません。
どれだけ適切なマッチタイプを選んでも、意図しない検索に広告が表示されることはあります。
除外キーワードを適切に設定することで、広告の費用対効果をさらに高めることができます。
除外設定の重要性
除外キーワードとは、特定の検索語句で広告を表示させないようにする設定です。
フレーズ一致を使っていても、登録したキーワードの意味を含む検索すべてが、自社のターゲットとは限りません。
たとえば、「ホームページ 制作」をフレーズ一致で登録した場合、以下のような検索にも広告が表示される可能性があります。
| 検索語句 | ターゲットかどうか |
| ホームページ 制作 料金 | ターゲット |
| ホームページ 制作 会社 | ターゲット |
| ホームページ 制作 無料 | ターゲット外の可能性 |
| ホームページ 制作 自分で | ターゲット外の可能性 |
| ホームページ 制作 求人 | ターゲット外 |
| ホームページ 制作 バイト | ターゲット外 |
「求人」や「バイト」といった検索は、ホームページ制作サービスを探しているユーザーではなく、仕事を探している人の可能性が高いです。
このような検索に広告を表示しても、コンバージョンにつながることはほとんどありません。
除外キーワードを設定することで、ターゲット外の検索への無駄な配信を防ぐことができます。
フレーズ一致と除外キーワードを組み合わせることで、配信範囲をさらに最適化し、広告の費用対効果を向上させることが可能になります。
効果的な除外キーワードの選び方
除外キーワードを効果的に設定するためには、検索語句レポートの分析が欠かせません。
検索語句レポートには、実際にユーザーが検索した語句と、それに対する広告のパフォーマンスデータが記録されています。
このレポートを定期的に確認し、コンバージョンにつながっていない検索語句を除外キーワードに追加していきましょう。
- 検索語句レポートを確認する
- クリックはあるがコンバージョンがない語句をピックアップ
- 自社商材と関連性が低い語句を特定する
- フレーズ一致または完全一致で除外キーワードに追加
- 定期的に(週1回〜月1回)繰り返し実施
除外キーワードのマッチタイプも、通常のキーワードと同様に3種類から選べます。
ただし、除外キーワードのマッチタイプは、通常のキーワードとは挙動が異なる点に注意が必要です。
除外キーワードのフレーズ一致では、登録した語句が同じ語順で含まれている場合に広告が非表示になります。
通常のキーワードのように、意味が同じであれば除外されるわけではありません。
そのため、除外キーワードを設定する際は、さまざまな表記パターンを網羅しておくことをおすすめします。
たとえば、「無料」を除外したい場合は、「無料」「0円」「タダ」など、類義語も併せて除外設定しておくとより確実です。
株式会社エッコでは、お客様の検索語句レポートを定期的に分析し、除外キーワードの最適化を含めたトータルな広告運用サポートを提供しています。
まとめ
この記事では、Google広告のフレーズ一致について、基本的な定義から設定方法、効果的な活用シーンまで詳しく解説してきました。
フレーズ一致は、登録したキーワードと同じ意味を含む検索語句に対して広告を表示するマッチタイプです。
2021年の仕様変更により、以前よりも柔軟な配信ができるようになり、語順が異なっても意味が同じであれば広告が表示されるようになりました。
- フレーズ一致は完全一致とインテントマッチの中間に位置するバランス型
- 購買意欲の高いユーザーに効率よくアプローチできる
- 広告配信範囲を適度にコントロールできる
- 無駄なクリックを防止して費用対効果を高められる
- 予算が限られている場合に特に効果を発揮する
- 除外キーワードと組み合わせることでさらに精度が向上する
一方で、潜在顧客を取りこぼすリスクやクリック単価が高くなる可能性といったデメリットもあります。
Googleは現在、インテントマッチとスマート自動入札の併用を推奨していますが、商材の特性や予算状況によっては、フレーズ一致の方が適している場合もあります。
大切なのは、それぞれのマッチタイプの特徴を正しく理解し、自社の状況に合った選択をすることです。
フレーズ一致を効果的に活用し、除外キーワードと組み合わせることで、限られた予算でも最大限の広告効果を得ることができます。
もし、マッチタイプの選定や広告運用全般でお悩みでしたら、名古屋のWebコンサル会社である株式会社エッコにお気軽にご相談ください。
お客様の商材や目標に合わせた最適な広告戦略をご提案いたします。

