「楽天トラベルやじゃらんに頼らず、自社サイトからの予約を増やしたい」

このような悩みを抱えるホテル経営者やマーケティング担当者は少なくありません。

日本旅館協会の調査によると、ホテル・旅館の予約経路はOTA(オンライン旅行代理店)経由が約45% を占めています。

一方で、公式サイトからの直接予約はわずか15%程度にとどまっているのが現状です。

OTA経由の予約には8〜15%の手数料が発生するため、利益率を圧迫する要因となっています。

この課題を解決する有効な手段が、ホテル公式サイトのSEO対策 です。

SEO対策を適切におこなうことで、検索エンジンからの流入を増やし、自社予約の比率を高められます。

本記事では、ホテル業界に特化したSEO対策のポイントを9つの施策に分けて解説します。

OTA依存から脱却し、収益性の高い直接予約を増やしたい方は、ぜひ最後までお読みください。

名古屋を拠点にWebコンサルティングを手がける株式会社エッコでは、ホテル・旅館向けのSEO支援も提供しています。

地域密着型の集客戦略でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

ホテル業界でSEO対策が重要な理由

ホテル業界において、SEO対策の重要性は年々高まっています。

多くの旅行者がスマートフォンやパソコンを使って宿泊先を検索する時代になりました。

検索結果の上位に表示されるかどうかが、集客力に大きく影響する のです。

しかし、単に検索順位を上げることだけが目的ではありません。

SEO対策を通じて、OTA依存からの脱却、収益率の向上、ブランド力の強化といった複合的なメリットを得られます。

ここでは、ホテル業界でSEO対策が重要とされる3つの理由を詳しく解説します。

  • OTA依存から脱却するための戦略として活用できる
  • 公式サイト経由の予約で収益率が向上する
  • ブランディングと信頼性の向上につながる

OTA依存から脱却するための戦略

多くのホテルが楽天トラベル、じゃらん、一休といったOTAに集客を依存しています。

OTAは多くの宿泊客の目に触れる機会を提供してくれる反面、予約1件あたり8〜15%の手数料 が発生します。

年間の売上が5,000万円のホテルであれば、400万円以上をOTAに支払っている計算になるのです。

SEO対策によって公式サイトの検索順位を高めれば、この手数料負担を軽減できます。

OTAに依存し続けることには、以下のようなリスクも存在します。

リスクの種類 具体的な内容
価格競争の激化 同エリアの他ホテルと横並びで比較され、値下げ圧力を受けやすい
手数料率の変動 OTAの方針変更により、手数料が引き上げられる可能性がある
顧客データの制限 OTA経由の予約では、顧客情報を十分に取得できない場合がある
ブランド埋没 OTAのフォーマット内では、自社の独自性をアピールしにくい

SEO対策は、こうしたリスクを回避するための中長期的な投資 といえます。

すぐに成果が出るものではありませんが、継続的に取り組むことで安定した集客基盤を構築できるでしょう。

公式サイト経由の予約で収益率が向上する

公式サイトからの直接予約には、OTA経由にはない大きなメリットがあります。

最大のメリットは、手数料が発生しないこと です。

OTAに支払っていた8〜15%の手数料がそのまま利益として残ります。

たとえば、1泊1万円の客室がOTA経由で100室予約された場合、80〜150万円の手数料が発生します。

これが公式サイト経由であれば、その分がすべて売上として計上されるのです。

直接予約を増やすことで得られる効果は、手数料削減だけではありません。

  • 顧客との直接的なコミュニケーションが可能になる
  • 予約時にアップセルやクロスセルを提案しやすくなる
  • 顧客データを蓄積してリピーター獲得につなげられる
  • 独自の特典やサービスを柔軟に設定できる

株式会社リョケンの調査によると、自社HP直予約の比率が30%を超える施設は、ベストレート保証を100%実施 していることがわかっています。

公式サイトならではの価値を提供することで、収益率の向上を実現できるのです。

ブランディングと信頼性の向上につながる

SEO対策を通じて検索上位を獲得することは、ホテルのブランド価値向上 にも貢献します。

検索結果の1ページ目に表示されるホテルは、ユーザーから「信頼できる施設」として認識されやすい傾向があります。

特に「地域名+高級ホテル」や「地域名+女子旅行+ホテル」といったキーワードで上位表示できれば、特定のイメージと紐づけて認知されます。

「〇〇市で女子旅行におすすめのホテルといえば〇〇ホテル」というポジションを確立できるのです。

公式サイトでは、OTAの統一フォーマットでは表現できない独自の世界観を伝えられます。

要素 OTAサイト 公式サイト
デザインの自由度 低い(テンプレート固定) 高い(オリジナルデザイン可能)
情報量 制限あり 制限なし
ブランド表現 他施設と横並び 独自の世界観を演出できる
動画・写真の活用 制限あり 自由に配置可能

ブランドイメージの確立は、価格競争から脱却するための重要な要素 です。

独自の魅力を伝える公式サイトを検索上位に表示させることで、長期的な競争優位性を築けます。

ホテルSEOの特徴と課題

ホテル業界のSEO対策には、他の業界とは異なる独自の特徴と課題があります。

最大の特徴は、大手OTAサイトが検索結果を独占している という点です。

「東京 ホテル」「京都 旅館」といった一般的な検索では、楽天トラベルやじゃらんが上位を占めています。

この環境の中で、個別のホテル公式サイトがどのように戦略を立てるべきかを理解することが重要です。

ホテルSEOの特徴と課題を正しく把握し、効果的な施策を展開していきましょう。

  • 大手OTAとの競争が激しい
  • 指名検索と一般検索の違いを理解する必要がある
  • ローカル検索への対応が欠かせない

大手OTAとの競争が激しい

ホテル業界のSEOにおいて、最大の壁となるのが大手OTAの存在です。

「横浜 ホテル」「大阪 ホテル おすすめ」といったキーワードで検索すると、検索結果の上位はほぼすべてOTAサイトが占めています

これは、Googleがユーザーの利便性を重視した検索結果を表示しているためです。

旅行者には「複数のホテルを一度に比較したい」というニーズがあります。

個別のホテルサイトよりも、多くの選択肢を提示できるOTAサイトのほうがユーザーにとって便利なのです。

この現実を踏まえると、一般的なキーワードでOTAに真っ向勝負を挑むのは得策ではありません。

キーワードの種類 上位表示の難易度 おすすめの対策
地域名+ホテル 非常に高い MEO対策で地図枠を狙う
ホテル名(指名検索) 低い 公式サイトの最適化
地域名+特徴+ホテル 中程度 コンテンツSEOで対策

OTAと競合しないキーワード領域を見つけ、そこに注力することが現実的な戦略 となります。

指名検索と一般検索の違い

ホテルSEOを理解するうえで欠かせないのが、指名検索と一般検索の違いです。

指名検索とは、「〇〇ホテル」のようにホテル名を直接入力して検索する行為 を指します。

一方、一般検索は「東京 ホテル 安い」のように、特定のホテルを決めずに検索することです。

重要なのは、ホテル公式サイトへの検索流入の8〜9割が指名検索 だという事実です。

指名検索をするユーザーは、すでにそのホテルの存在を知っています。

OTAやSNS、口コミサイトなどで情報を得たうえで、詳細を確認するために公式サイトを訪れるのです。

  • 指名検索ユーザーは予約意欲が高い
  • 公式サイトならではの詳細情報を求めている
  • 価格比較のために訪問するケースも多い

指名検索で確実に公式サイトへ誘導することが、ホテルSEOの最優先事項 といえます。

一般検索での上位表示は難しくても、指名検索で取りこぼさない対策は必ずおこなうべきです。

ローカル検索の重要性

ホテル業界において、ローカル検索(地域に特化した検索)への対応は非常に重要 です。

「新宿 ホテル」「京都駅 旅館」のように、地域名と組み合わせて検索するユーザーが大半を占めます。

Googleは位置情報を活用し、ユーザーの現在地や検索キーワードに基づいて地域性の高い結果を表示します。

特に注目すべきは、検索結果に表示される「マップ枠(ローカルパック)」です。

通常の検索結果よりも上部に表示されるため、OTAよりも目立つ位置に自社ホテルを表示させるチャンス があります。

ローカル検索の表示枠 特徴
マップ枠(ローカルパック) 検索結果上部に3施設が地図とともに表示される
通常の検索結果 OTAが上位を占めることが多い
ナレッジパネル ホテル名検索時に右側に詳細情報が表示される

ローカル検索で上位表示されるためには、Googleビジネスプロフィールの最適化が欠かせません。

次章で解説するMEO対策に取り組むことで、地域からの集客を強化できます。

ホテルが取り組むべきSEO施策9選

ここからは、ホテルが実践すべき具体的なSEO施策を9つに分けて解説します。

これらの施策は、すぐに実行できるものから中長期的に取り組むものまで幅広く含まれています。

自社の状況に合わせて優先順位をつけ、段階的に実施していくことが重要 です。

すべてを一度に完璧におこなう必要はありません。

まずは指名検索対策やMEO対策など、比較的取り組みやすい施策から始めてみましょう。

  • 指名検索から公式サイトへの導線を整備する
  • タイトルとメタディスクリプションを最適化する
  • キーワード戦略を立てる
  • MEO対策(Googleマップ対策)を強化する
  • ユーザビリティを向上させる
  • コンテンツSEOで潜在顧客を獲得する
  • 公式ベストレート保証を明示する
  • 構造化データを実装する
  • 多言語対応でインバウンド需要を取り込む

指名検索から公式サイトへの導線を整備する

ホテルSEOで最も優先すべきは、指名検索からの流入を確実に獲得すること です。

「〇〇ホテル」と検索したユーザーが、公式サイトではなくOTAサイトに流れてしまっては機会損失につながります。

指名検索で公式サイトを選んでもらうために、検索結果上での見え方を工夫しましょう。

最も効果的なのは、ページタイトルに「【公式】」という文言を入れる ことです。

「【公式】〇〇ホテル|東京都新宿区の高級ホテル」のように記載すれば、検索結果でひと目で公式サイトだとわかります。

OTAサイトやアフィリエイトサイトが並ぶ中で、公式サイトであることを明示する意義は大きいです。

対策項目 具体的な施策
タイトルへの【公式】表記 トップページだけでなく主要ページすべてに適用
サイト名の統一 検索結果に表示されるサイト名を正式名称に統一
ファビコンの設定 ホテルのロゴをファビコンに設定して視認性を高める
構造化データの実装 検索結果にリッチスニペットを表示させる

指名検索対策は、予約見込みの高いユーザーを取りこぼさないための基本施策 です。

まだ対応していない場合は、最優先で取り組むことをおすすめします。

タイトルとメタディスクリプションを最適化する

タイトルタグとメタディスクリプションは、SEOの基本かつ重要な要素です。

タイトルタグは、検索エンジンがページの内容を判断する最重要項目 のひとつとなっています。

上位表示を狙いたいキーワードをタイトルに含めることで、そのキーワードでの評価が高まります。

たとえば「京都駅 ホテル」で上位表示を狙う場合、以下のようなタイトルが効果的です。

良い例:【公式】〇〇ホテル|京都駅徒歩3分のシティホテル

悪い例:〇〇ホテル

メタディスクリプションは検索順位に直接影響しませんが、クリック率に大きく関わる要素 です。

検索結果に表示される説明文として、ユーザーの興味を引く文章を設定しましょう。

  • 対策キーワードを自然に含める
  • ホテルの特徴や強みを端的に伝える
  • 行動を促す文言を入れる(「ご予約はこちら」など)
  • 文字数は70〜120文字程度に収める

各ページごとにユニークなタイトルとメタディスクリプションを設定することが大切です。

キーワード戦略を立てる

効果的なSEO対策には、明確なキーワード戦略 が欠かせません。

どのキーワードで上位表示を狙うかを決め、それに基づいてコンテンツを設計していきます。

ホテル業界では、いきなりビッグキーワードを狙うのではなく、競合の少ないキーワードから攻めるのが定石です。

「地域名+ホテル」のような検索ボリュームの大きいキーワードは、OTAが独占しているため難易度が高くなります。

一方、より具体的な「ロングテールキーワード」であれば、上位表示の可能性が高まります。

キーワードの種類 競合度 コンバージョン率
ビッグキーワード 東京 ホテル 非常に高い 低い
ミドルキーワード 東京駅 ビジネスホテル 高い 中程度
ロングテールキーワード 東京駅 ホテル 朝食付き 安い 低い 高い

まずはロングテールキーワードで着実に上位を獲得し、徐々に範囲を広げていく のが効果的な戦略です。

地名+宿泊目的のロングテールキーワード

ロングテールキーワードの中でも、「地名+宿泊目的」の組み合わせは特に効果的 です。

宿泊目的が明確なユーザーは、ニーズに合ったホテルを探しているため、予約につながりやすい傾向があります。

具体的には、以下のようなキーワードが考えられます。

  • 東京駅 ホテル 出張
  • 大阪 ホテル カップル記念日
  • 箱根 旅館 子連れ
  • 京都 ホテル 女子旅
  • 沖縄 リゾートホテル 家族旅行

これらのキーワードは検索ボリュームこそ少ないものの、ニーズが具体的なため予約につながりやすい のが特徴です。

自社ホテルの強みと相性の良いキーワードを見つけ、対応するページやコンテンツを用意しましょう。

ホテルの特徴を活かしたキーワード選定

自社ホテルならではの特徴を活かしたキーワード も、上位表示を狙いやすい領域です。

たとえば、露天風呂付き客室が売りであれば「〇〇エリア 露天風呂付き客室」といったキーワードが有効です。

ペット同伴可能なホテルであれば「〇〇県 ペットと泊まれる ホテル」で検索するユーザーを取り込めます。

特徴的な設備やサービスを持つホテルは、それを活かしたキーワード選定をおこないましょう。

ホテルの特徴 対策キーワード例
屋上プール完備 〇〇市 ホテル プール付き
駐車場無料 〇〇駅周辺 ホテル 駐車場無料
朝食バイキングが人気 〇〇 ホテル 朝食がおいしい
温泉大浴場あり 〇〇 ビジネスホテル 温泉
ペット同伴可 〇〇県 犬と泊まれる宿

競合が少なく、自社の強みを活かせるキーワードこそ、優先的に対策すべき です。

Googleキーワードプランナーなどのツールを活用して、検索ボリュームと競合状況を確認しましょう。

MEO対策(Googleマップ対策)を強化する

MEO(Map Engine Optimization)対策は、ホテルにとって最も費用対効果の高いSEO施策のひとつ です。

「地域名+ホテル」で検索した際、通常の検索結果よりも上部に表示されるマップ枠(ローカルパック)に自社ホテルを表示させられます。

OTAが独占する通常の検索結果とは異なり、個別のホテルが上位表示されるチャンスがあるのです。

MEO対策の基本は、Googleビジネスプロフィールの最適化です。

情報を充実させ、口コミ対応を適切におこなうことで、マップ枠での表示順位が向上します。

MEO対策の効果 詳細
OTAより上部に表示 マップ枠は通常の検索結果よりも上に表示される
直接予約につながりやすい 電話番号やウェブサイトへのリンクが表示される
写真で魅力を伝えられる 施設写真が検索結果に表示される
口コミ評価が可視化される 星評価とレビュー数が表示される

MEO対策は無料で始められ、比較的短期間で効果を実感しやすい ため、優先的に取り組むことをおすすめします。

Googleビジネスプロフィールの最適化

MEO対策の第一歩は、Googleビジネスプロフィールの情報を正確かつ充実させること です。

まだ登録していない場合は、Googleビジネスプロフィールにホテルを登録し、オーナー確認を完了させましょう。

登録済みの場合も、情報が最新かどうか、漏れがないかを確認することが大切です。

特に重要な項目は以下のとおりです。

  • ホテル名(正式名称を使用)
  • 住所(Googleマップと一致させる)
  • 電話番号
  • 営業時間(チェックイン・チェックアウト時間)
  • ウェブサイトURL
  • ホテルの属性(Wi-Fi無料、駐車場ありなど)
  • 写真(外観、客室、ロビー、レストランなど)

写真は特に重要で、高品質な画像を複数枚登録することで、検索結果での訴求力が高まります

季節ごとに写真を更新したり、施設のリニューアル情報を反映させたりすることも効果的です。

口コミへの対応と評価向上

Googleビジネスプロフィールの口コミは、MEOの順位に直接影響する重要な要素 です。

Googleは公式に、口コミの数とスコアがローカル検索のランキングに影響すると明言しています。

良い口コミを増やし、評価を高めることで、マップ枠での上位表示につながります。

口コミを増やすための施策としては、以下のような方法があります。

施策 具体的な内容
チェックアウト時の声がけ フロントで口コミ投稿をお願いする
サンキューメール 宿泊後のフォローメールで口コミを依頼
客室内のPOP QRコード付きの案内を設置
特典の提供 口コミ投稿者に次回割引などを提供(規約に注意)

口コミへの返信も非常に重要 です。

良い口コミにも悪い口コミにも、丁寧かつ迅速に返信することで、ホテルの誠実さが伝わります。

特にネガティブな口コミには、具体的な改善策を示すなど真摯な対応を心がけましょう。

ユーザビリティを向上させる

ホテルのSEO対策において、サイトのユーザビリティ(使いやすさ)は検索順位に直結する要素 です。

Googleはユーザーにとって使いやすいサイトを高く評価する傾向があります。

特にホテルサイトでは、情報を探しやすく、スムーズに予約できることが求められます。

ユーザビリティが低いサイトでは、せっかく訪問したユーザーが離脱してしまう可能性が高くなります。

離脱率の高いサイトは、Googleから「ユーザーのニーズを満たしていない」と判断され、順位が下がる恐れがあります。

  • ページの読み込み速度を改善する
  • スマートフォンでの表示を最適化する
  • 予約までの導線をわかりやすくする
  • 必要な情報に素早くアクセスできるようにする

ユーザビリティの向上は、SEO効果だけでなく、予約率(CVR)の改善にも直結します

モバイル対応とページ速度改善

現在、スマートフォンでインターネットを利用する人は68%を超えている といわれています。

ホテルを検索するユーザーの多くがスマートフォンを使っているため、モバイル対応は必須です。

Googleも「モバイルファーストインデックス」を採用しており、モバイルページの評価が検索順位に直結します。

モバイル対応で重要なポイントは以下のとおりです。

項目 対策内容
レスポンシブデザイン 画面サイズに応じて自動でレイアウトが調整される
タップしやすいボタン 指でタップしやすいサイズと間隔を確保
読みやすい文字サイズ 拡大しなくても読める文字サイズに設定
ページ速度 3秒以内の表示を目標にする

ページ速度は特に重要で、表示に3秒以上かかると53%のユーザーが離脱する というデータもあります。

画像の圧縮、不要なスクリプトの削除、サーバーの最適化などで速度改善に取り組みましょう。

予約ボタンの配置最適化

ホテルサイトの最終目標は、ユーザーに予約してもらうこと です。

どれだけSEOで集客しても、予約ボタンがわかりにくければコンバージョンにつながりません。

予約ボタンの配置を最適化し、ユーザーがスムーズに予約できる導線を設計しましょう。

効果的な予約ボタンの配置には、以下のポイントがあります。

  • ファーストビュー(最初に表示される画面)に予約ボタンを配置
  • スクロールしても追従する固定ボタンを設置
  • 目立つ色で視認性を高める
  • 「予約する」「空室を確認」など行動を促す文言を使用
  • 客室紹介ページから予約ページへの導線を明確にする

「予約したい」と思ったタイミングで、すぐにボタンを見つけられる状態が理想 です。

ヒートマップツールなどを活用して、ユーザーの行動を分析しながら改善を進めましょう。

コンテンツSEOで潜在顧客を獲得する

コンテンツSEOは、まだホテルを決めていない潜在顧客にアプローチするための施策 です。

「〇〇観光 おすすめスポット」「〇〇駅周辺 グルメ」といった情報系キーワードで上位表示を狙います。

これらのキーワードで検索するユーザーは、旅行を計画中でホテルを探している可能性があります。

役立つコンテンツを提供し、自然な流れでホテルの予約へと誘導するのがコンテンツSEOの基本です。

コンテンツの種類 キーワード例 期待できる効果
観光情報 〇〇観光 モデルコース 旅行計画中のユーザーを獲得
グルメ情報 〇〇駅 ディナー おすすめ 地域への興味を喚起
イベント情報 〇〇市 花火大会 2024 特定時期の集客につなげる
アクセス情報 〇〇空港から〇〇駅 行き方 旅行者の実用的ニーズに応える

周辺の観光情報やグルメ情報を充実させることで、「この地域に詳しいホテル」というイメージも構築できます

コンテンツ制作には時間がかかりますが、中長期的に安定した集客基盤となります。

公式ベストレート保証を明示する

「公式サイトが最安値」であることを明示することは、直接予約を増やす最も効果的な方法のひとつ です。

株式会社リョケンの調査では、自社HP直予約比率30%以上の施設は、100%ベストレート保証を実施していました。

ユーザーがホテルを予約する際、最も重視するのは「価格」です。

公式サイトがOTAよりも安い、または同等であることがわかれば、直接予約を選ぶ理由になります。

ベストレート保証を効果的に伝えるには、以下のような配置がおすすめです。

  • トップページのファーストビューに表示
  • 予約ページに目立つバナーで掲載
  • 各客室紹介ページにも記載
  • メタディスクリプションにも含める

「公式サイト限定特典」を併せて提供すると、さらに効果的 です。

アーリーチェックインやレイトチェックアウト、ウェルカムドリンクなど、OTAでは得られない特典を用意しましょう。

構造化データを実装する

構造化データとは、Googleにページの内容を正確に伝えるためのコード(マークアップ) です。

適切に実装することで、検索結果にリッチスニペット(強調表示)が表示されるようになります。

ホテルの場合、料金、評価、空室状況などが検索結果に直接表示される可能性があります。

構造化データを実装することで、検索結果での視認性が高まり、クリック率の向上が期待できます。

構造化データの種類 表示される情報
Hotel ホテル名、住所、評価、写真
Review 口コミ評価、星の数
FAQPage よくある質問と回答
LocalBusiness 営業時間、電話番号、住所

構造化データの実装には技術的な知識が必要なため、Web制作会社やSEO専門会社に相談するのがおすすめ です。

Googleの「リッチリザルトテスト」ツールで、正しく実装できているか確認できます。

多言語対応でインバウンド需要を取り込む

訪日外国人旅行者の増加に伴い、インバウンド需要を取り込むための多言語対応 が重要になっています。

英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語などでサイトを用意することで、海外からの集客を強化できます。

多言語対応は単なる翻訳ではなく、ターゲット国のユーザーに最適化されたコンテンツ を提供することが大切です。

多言語サイトを構築する際のポイントは以下のとおりです。

  • hreflang タグで言語と地域を正しく指定する
  • 各言語専用のURLを設定する(サブディレクトリまたはサブドメイン)
  • 機械翻訳だけに頼らず、ネイティブチェックを入れる
  • ターゲット国で人気の決済方法に対応する
  • 現地の祝日やイベント情報を盛り込む

海外OTAとの競争もあるため、公式サイトならではの特典や詳細情報で差別化を図りましょう

多言語対応は初期投資がかかりますが、インバウンド需要を直接取り込める有効な施策です。

ホテルSEOで押さえるべきE-E-A-Tの観点

Googleは、コンテンツの品質を評価する基準としてE-E-A-T という概念を重視しています。

E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取ったものです。

ホテルサイトにおいても、E-E-A-Tを意識したコンテンツ設計が検索順位に影響します。

特に「YMYL(Your Money or Your Life)」に該当する予約・決済を伴うサイトでは、信頼性の担保が重要です。

  • 経験(Experience):実際のサービス提供者としての経験を示す
  • 専門性(Expertise):宿泊業に関する深い知識を発信する
  • 権威性(Authoritativeness):業界での認知度や受賞歴をアピールする
  • 信頼性(Trustworthiness):安心して予約できる仕組みを整える

経験(Experience)の示し方

E-E-A-Tの「Experience(経験)」は、実際にサービスを提供している当事者ならではの経験 を指します。

ホテルサイトでは、日々の運営を通じて得た知見やお客様との関わりを発信することで、経験を示せます。

OTAサイトには掲載できない、現場ならではの情報こそが差別化ポイントになるのです。

経験を示すコンテンツの例は以下のとおりです。

コンテンツの種類 具体例
スタッフブログ 料理長のこだわり、客室係のおもてなしエピソード
お客様の声 実際の宿泊体験に基づいた感想やレビュー
施設紹介動画 スタッフが案内するルームツアー
季節の情報 館内の季節装飾や限定メニューの紹介
地域情報 地元スタッフおすすめの観光スポット

「このホテルで働いているからこそ知っている情報」を発信することが、経験のアピールにつながります

写真や動画を活用し、臨場感のあるコンテンツを心がけましょう。

専門性(Expertise)をアピールする方法

専門性(Expertise)は、宿泊業に関する深い知識や技術 を示すことで高められます。

ホテルは宿泊のプロフェッショナルとして、旅行者に役立つ専門的な情報を発信できる立場にあります。

観光情報、アクセス案内、周辺グルメなど、旅行全般に関する知識を活かしたコンテンツが有効です。

専門性を高めるコンテンツのアイデアは以下のとおりです。

  • 地域の観光モデルコースを提案する記事
  • 季節ごとの旅行の楽しみ方ガイド
  • ビジネス出張者向けの周辺施設案内
  • 記念日旅行のプランニングアドバイス
  • 宿泊時の持ち物チェックリスト

読者にとって本当に役立つ情報を、専門家の視点で提供することがポイント です。

表面的な情報ではなく、実際に現地を知るホテルスタッフだからこそわかる深い情報を発信しましょう。

権威性(Authoritativeness)と信頼性(Trustworthiness)

権威性と信頼性は、ホテルとしての社会的な評価や信用度 を示す要素です。

受賞歴や認証、メディア掲載実績などを積極的に公開することで、権威性を高められます。

信頼性については、安全・安心に予約できる環境を整備することが重要です。

要素 具体的な対策
権威性 業界団体への加盟、受賞歴、メディア掲載実績の公開
権威性 観光協会や自治体サイトからの被リンク獲得
信頼性 運営会社情報の明記
信頼性 SSL証明書の導入(https化)
信頼性 プライバシーポリシー、キャンセルポリシーの明示
信頼性 安全な決済システムの導入

「このホテルなら安心して予約できる」と思ってもらえる情報開示が、信頼性の向上につながります

特に予約を伴うサイトでは、連絡先や運営者情報を明確に記載することが大切です。

ホテルSEOの効果測定と改善

SEO対策は、実施して終わりではありません。

効果を測定し、データに基づいて継続的に改善していくこと が成果を出すための鍵となります。

どの施策が効果を上げているのか、どこに課題があるのかを把握しなければ、適切な判断ができません。

Google アナリティクスやサーチコンソールなどの無料ツールを活用し、定期的にデータを確認しましょう。

ここでは、確認すべき指標と具体的な活用方法を解説します。

  • 確認すべき主要指標を理解する
  • Googleアナリティクスを活用する
  • PDCAサイクルを回す

確認すべき主要指標

ホテルSEOの効果を測定するには、適切な指標(KPI)を設定して定期的にモニタリングする ことが重要です。

すべての数値を追いかける必要はありませんが、最低限チェックすべき指標は把握しておきましょう。

主要な指標は以下のとおりです。

指標 確認ツール 意味
オーガニック流入数 Googleアナリティクス 検索エンジン経由の訪問者数
検索順位 サーチコンソール 対策キーワードでの表示順位
クリック率(CTR) サーチコンソール 検索結果からのクリック率
直帰率 Googleアナリティクス 1ページだけ見て離脱した割合
コンバージョン率 Googleアナリティクス 予約完了した訪問者の割合
ページ表示速度 PageSpeed Insights ページの読み込み時間

特に「オーガニック流入数」と「コンバージョン率」は、SEOの成果を測る最重要指標 です。

流入が増えても予約につながっていなければ、導線やコンテンツに課題がある可能性があります。

Googleアナリティクスの活用法

Googleアナリティクスは、サイトへの訪問者の行動を詳細に分析できる無料ツール です。

ホテルサイトのSEO効果測定には欠かせないツールなので、必ず導入しておきましょう。

Googleアナリティクスで確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 流入元別の訪問者数(オーガニック検索、直接流入、参照元など)
  • ユーザーの使用デバイス(パソコン、スマートフォン、タブレット)
  • ページごとの閲覧数と滞在時間
  • コンバージョン(予約完了)に至った経路
  • 離脱率の高いページの特定

定期的にデータを確認し、改善すべきポイントを見つけることが大切 です。

たとえば、特定のページで離脱率が高い場合、そのページのコンテンツや導線に問題がある可能性があります。

サーチコンソールと連携させることで、流入キーワードの分析もおこなえます。

PDCAサイクルの回し方

SEO対策で継続的に成果を出すには、PDCAサイクルを回して改善を続けること が不可欠です。

PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのプロセスを繰り返すことです。

ホテルSEOにおけるPDCAサイクルの例を見てみましょう。

プロセス 具体的な内容
Plan(計画) 対策キーワードの選定、コンテンツ制作計画の立案
Do(実行) ページの作成・公開、内部施策の実装
Check(評価) 順位変動、流入数、CVRの確認
Action(改善) 効果の低い施策の見直し、新たな施策の追加

少なくとも月に1回はデータを確認し、改善点を洗い出す習慣をつけましょう

SEOは即効性のある施策ではないため、3〜6か月単位で効果を評価することも大切です。

株式会社エッコでは、ホテル・旅館向けのSEO分析と改善提案もおこなっています。

自社での分析が難しい場合は、専門家のサポートを受けることも検討してみてください。

ホテルSEOの成功事例

ここでは、実際にSEO対策で成果を上げたホテルの事例を紹介します。

成功事例を参考にすることで、自社に取り入れられる施策のヒント が見つかるかもしれません。

どのような課題を抱え、どの施策で改善したのかを具体的に解説します。

  • MEO対策で直接予約が増加した旅館
  • コンテンツSEOで流入数を伸ばしたビジネスホテル

MEO対策で直接予約が増加した旅館

地方の温泉旅館A様は、OTA依存からの脱却を目指してMEO対策に注力 しました。

当初は直接予約の比率が10%程度でしたが、1年後には25%まで向上しています。

A旅館が実施した主な施策は以下のとおりです。

施策 内容 効果
Googleビジネスプロフィールの最適化 写真50枚追加、施設情報の充実 検索表示回数が2倍に
口コミ対応の強化 全口コミへの返信、投稿依頼の仕組み化 口コミ数が3倍、評価4.2→4.5
投稿機能の活用 週1回の最新情報投稿 エンゲージメント率の向上

特に効果が大きかったのは、口コミへの丁寧な返信 でした。

ネガティブな口コミにも具体的な改善策を示して返信したところ、誠実な対応が好評を得ました。

結果として、「口コミを見て公式サイトから予約した」というお客様が増加したそうです。

コンテンツSEOで流入数を伸ばしたビジネスホテル

都市部のビジネスホテルB様は、観光情報コンテンツの充実によってオーガニック流入を大幅に増加 させました。

周辺の飲食店やビジネス施設の情報を発信するブログを開設し、継続的にコンテンツを追加していきました。

B ホテルが実施した施策と成果は以下のとおりです。

  • 「〇〇駅周辺 ランチ おすすめ」で検索1位を獲得
  • 「〇〇展示場 アクセス」で検索3位を獲得
  • 周辺のイベント情報を定期的に更新
  • ブログ経由の予約が月間50件以上に

1年間で約50本の記事を公開し、オーガニック流入が開始前の3倍に増加 しました。

コンテンツSEOは即効性こそありませんが、一度上位表示を獲得すると安定した集客源になります。

「地域の情報に詳しいホテル」というブランドイメージも確立でき、リピーター獲得にもつながっています。

まとめ

本記事では、ホテルの公式サイトで実践すべきSEO対策を9つの施策に分けて解説しました。

OTAが検索上位を独占する中でも、適切な戦略を立てれば自社予約を増やすことは可能 です。

最後に、ホテルSEOで押さえるべきポイントを振り返りましょう。

  • 指名検索から公式サイトへの導線を整備する
  • タイトルとメタディスクリプションを最適化する
  • ロングテールキーワードを中心にキーワード戦略を立てる
  • MEO対策でGoogleマップからの集客を強化する
  • モバイル対応とページ速度改善でユーザビリティを向上させる
  • コンテンツSEOで潜在顧客にアプローチする
  • 公式ベストレート保証で直接予約を促進する
  • 構造化データで検索結果の視認性を高める
  • 多言語対応でインバウンド需要を取り込む

すべてを一度に実施する必要はありません

まずは指名検索対策やMEO対策など、比較的取り組みやすい施策から始めてみてください。

効果測定をおこないながらPDCAサイクルを回し、継続的に改善を重ねることが成功への近道です。

SEO対策は中長期的な取り組みが必要なため、専門家のサポートを受けることも有効な選択肢 です。

名古屋のWebコンサルティング会社・株式会社エッコでは、ホテル・旅館向けのSEO支援を提供しています。

「何から始めればいいかわからない」「自社だけでは対応が難しい」という方は、お気軽にご相談ください。

公式サイトからの直接予約を増やし、収益性の高いホテル運営を実現していきましょう。

詳しくはこちらから