「開業したものの、思うように相談件数が増えない」 「紹介だけに頼る集客に限界を感じている」
このような悩みを抱える弁護士の先生は、決して少なくありません。
日本弁護士連合会の統計によると、弁護士数は2000年の約1万7,000人から2020年には約4万2,000人へと増加しました。
わずか20年で2倍以上に膨れ上がった弁護士数は、業界内の競争を激化させています。
かつては「待っていれば依頼が来る」という時代もありましたが、現在はそうした受け身の姿勢では生き残れません。
とりわけインターネットの普及により、依頼者が弁護士を比較検討する手段は大きく変わりました。
本記事では、弁護士が相談件数を増やすための効果的な集客方法10選を詳しく解説します。
オンライン施策7つとオフライン施策3つを組み合わせることで、安定した集客基盤を構築できるでしょう。
名古屋を拠点にWebコンサルティングを手がける株式会社エッコの知見も交えながら、実践的なノウハウをお伝えします。
集客に課題を感じている先生は、ぜひ最後までお読みください。
目次
弁護士業界における集客の現状と課題
弁護士業界を取り巻く環境は、ここ20年で劇的に変化しました。
かつての「先生商売」という認識は過去のものとなり、積極的なマーケティング活動が求められる時代へと移行しています。
この章では、弁護士が集客に苦戦する背景にある3つの課題について詳しく見ていきましょう。
現状を正しく把握することが、効果的な集客戦略を立てる第一歩となります。
弁護士数増加による競争激化
弁護士業界における最大の構造的変化は、弁護士数の急激な増加です。
司法制度改革の影響により、法曹人口は右肩上がりで増え続けてきました。
日本弁護士連合会が公表している統計データを確認すると、その変化の大きさがよくわかります。
| 年度 | 弁護士数 | 増加率(2000年比) |
| 2000年 | 約17,000人 | 基準年 |
| 2010年 | 約28,000人 | 約1.6倍 |
| 2020年 | 約42,000人 | 約2.5倍 |
| 2023年 | 約45,000人 | 約2.6倍 |
この数字が示すとおり、弁護士一人あたりの潜在的な顧客数は大幅に減少しています。
とくに都市部においては、同じエリアに複数の法律事務所がひしめき合う状況が生まれました。
大手法律事務所やいわゆる「新興系事務所」は、豊富な資金力を背景に大規模な広告展開をおこなっています。
その結果、個人事務所や小規模事務所は、従来どおりの方法では集客が困難になっているのです。
競争環境の激化は、弁護士が能動的に集客施策へ取り組む必要性を高めています。
「良い仕事をしていれば自然と依頼が来る」という考え方だけでは、事務所経営を維持することが難しい時代になったといえるでしょう。
従来の紹介・口コミ集客の限界
長年にわたり、弁護士の主要な集客経路は「紹介」と「口コミ」でした。
既存の依頼者からの紹介や、同業者・隣接士業からの案件引き継ぎは、今でも重要な集客源です。
しかしながら、紹介だけに頼る集客には明確な限界があります。
- 紹介元との関係性に依存するため、安定性に欠ける
- 新規開業の弁護士は紹介ネットワークが未構築
- 紹介者の減少や高齢化により、案件数が徐々に減る
- 特定の分野に偏りやすく、専門性の幅が広がりにくい
- 自分でコントロールできる要素が少ない
紹介による集客は、「待ちの営業」の典型といえます。
いつ、どのくらいの案件が来るかを予測しづらいため、事務所経営の計画を立てにくいという問題があります。
また、弁護士数の増加により、紹介案件の奪い合いも発生しています。
かつては「この分野なら〇〇先生」と紹介されていた案件が、複数の弁護士に分散するケースも珍しくありません。
紹介・口コミは引き続き大切にしながらも、それ以外の集客経路を確保する必要性が高まっているのです。
Web集客が必須となっている理由
現代において、Web集客は弁護士にとって避けて通れない施策となりました。
その背景には、依頼者の行動パターンの変化があります。
内閣官房法曹養成制度改革推進室が公表した調査によると、弁護士を探す方法として**「インターネット検索」を挙げた人は21.7%**に達しています。
これは「知り合いに聞く」の35.9%に次いで2番目に多い数字です。
| 弁護士の探し方 | 割合 |
| 知り合いに聞いて探す | 35.9% |
| インターネットの情報を基に探す | 21.7% |
| 弁護士会の法律相談を利用する | 15.2% |
| 市区町村の法律相談を利用する | 12.8% |
| その他 | 14.4% |
この調査は2015年時点のものであり、2025年現在ではインターネット検索の割合はさらに増加していると考えられます。
スマートフォンの普及により、「困ったことがあればまず検索する」という行動が当たり前になりました。
法律問題を抱えた人の多くは、弁護士に相談する前にネットで情報収集をおこないます。
「離婚 弁護士 費用」「交通事故 慰謝料 相場」といったキーワードで検索し、解決策や弁護士の選び方を調べるのです。
このとき、検索結果に表示される法律事務所は、依頼先の候補として認識されます。
逆にいえば、Webでの存在感がない事務所は、依頼者の選択肢にすら入らないという厳しい現実があります。
Web集客に取り組むことは、現代の弁護士にとって経営上の必須課題なのです。
弁護士に効果的なオンライン集客7選
Web集客にはさまざまな手法がありますが、すべてを同時に始める必要はありません。
自身の事務所の状況や得意分野、予算に応じて優先順位をつけることが大切です。
この章では、弁護士に効果的なオンライン集客の方法を7つ厳選して解説します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、自事務所に合った施策を選びましょう。
SEO対策による自然検索からの流入
SEO対策は、弁護士のWeb集客において最も費用対効果の高い施策の一つです。
SEOとは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化を意味します。
GoogleやYahoo!の検索結果で上位表示されることにより、広告費をかけずに見込み客を獲得できます。
| 項目 | 内容 |
| 効果が出るまでの期間 | 6ヶ月〜1年程度 |
| 効果の持続性 | 高い(上位表示されれば長期的に集客可能) |
| 外注時の費用相場 | 月額10万〜50万円程度 |
| 適したターゲット | 顕在層・潜在層の両方 |
SEO対策の最大のメリットは、一度上位表示されると継続的な集客が見込める点です。
リスティング広告のように毎月の広告費がかかり続けることがありません。
コンテンツが蓄積されるほどサイトの評価が高まり、集客力も強化されていきます。
一方で、効果が出るまでに時間がかかるというデメリットもあります。
即効性を求める場合は、後述するリスティング広告と併用するとよいでしょう。
名古屋のWebコンサルティング会社である株式会社エッコでは、法律事務所向けのSEO対策支援も手がけています。
専門性の高い業界だからこそ、業界特性を理解したパートナー選びが成功の鍵となります。
法律事務所向けキーワード選定
SEO対策で成果を出すためには、適切なキーワード選定が欠かせません。
どのようなキーワードで上位表示を狙うかによって、集客できる顧客層が大きく変わります。
法律事務所のキーワード選定では、以下の観点を意識することが重要です。
- 「地域名+弁護士」(例:名古屋 弁護士、横浜 離婚弁護士)
- 「悩み+解決方法」(例:残業代 請求方法、相続 手続き)
- 「費用・相場系」(例:弁護士費用 相場、離婚調停 費用)
- 「比較・選び方系」(例:弁護士 選び方、法律事務所 比較)
- 「緊急性の高いキーワード」(例:逮捕 弁護士、交通事故 示談)
地域名を含むキーワードは、実際に依頼につながりやすい傾向があります。
「名古屋 相続 弁護士」で検索する人は、名古屋で相続問題を抱えており、弁護士への依頼を検討している可能性が高いからです。
一方、「相続とは」のような情報収集段階のキーワードは、検索ボリュームは大きいものの、すぐに依頼につながりにくい特徴があります。
自事務所の得意分野と地域を掛け合わせたキーワードから優先的に対策を進めましょう。
キーワード選定に迷った場合は、Webマーケティングの専門家に相談することをおすすめします。
専門性を示すコンテンツ作成のポイント
検索上位を獲得するためには、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成する必要があります。
とりわけ法律分野では、専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T) がGoogleの評価において重視されます。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取ったものです。
| E-E-A-Tの要素 | 法律事務所での実践例 |
| Experience(経験) | 実際に扱った事例や解決実績の紹介 |
| Expertise(専門性) | 特定分野に特化した詳細な解説記事 |
| Authoritativeness(権威性) | 弁護士資格・所属弁護士会の明記 |
| Trustworthiness(信頼性) | 事務所情報・連絡先の明確な掲載 |
コンテンツを作成する際は、読者の悩みを深く理解することが出発点となります。
「離婚を考えている人は何を知りたいのか」「交通事故の被害者はどんな不安を抱えているのか」を徹底的に考えましょう。
その上で、顕在ニーズだけでなく潜在ニーズまで網羅した記事を作成します。
たとえば「離婚の手続き方法」を検索する人は、手続きの流れだけでなく「費用はいくらかかるのか」「子どもの親権はどうなるのか」といった疑問も抱えています。
一つの記事で読者の疑問を解消できる構成を心がけることで、ユーザー満足度が高まり、結果としてSEO評価も向上します。
リスティング広告の活用方法
リスティング広告は、即効性のある集客手法として多くの法律事務所で活用されています。
Google検索の結果画面上部に「広告」として表示される枠を購入し、見込み客を自社サイトへ誘導する仕組みです。
指定したキーワードで検索したユーザーに広告を表示できるため、ニーズが明確な顕在層へアプローチできます。
- クリック課金制のため、広告が表示されるだけでは費用が発生しない
- 予算やキーワードを細かく設定できる
- 地域や時間帯を絞った配信が可能
- 効果測定がしやすく、PDCAを回しやすい
- 広告を停止すると集客も止まる
リスティング広告の費用は、キーワードの競争率によって大きく異なります。
「交通事故 弁護士」「債務整理」などの人気キーワードは、1クリックあたり数千円になることも珍しくありません。
1件の問い合わせを獲得するために、1万円〜5万円程度の広告費がかかるケースが一般的です。
そのため、費用対効果を意識した運用が不可欠となります。
広告費と受任率、顧客単価のバランスを常に確認しながら、採算の取れる範囲で運用しましょう。
リスティング広告の運用ノウハウがない場合は、広告代理店やWebコンサルティング会社への依頼を検討してください。
Googleビジネスプロフィールの最適化
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、地域密着型の集客に効果的な無料ツールです。
「地域名+弁護士」で検索した際に、Googleマップとともに表示される事務所情報を管理できます。
| 設定項目 | 最適化のポイント |
| 事務所名 | 正式名称を正確に記載 |
| 住所・電話番号 | ホームページと表記を統一 |
| 営業時間 | 実際の対応可能時間を正確に |
| カテゴリ | 「弁護士事務所」「法律事務所」を設定 |
| 写真 | 事務所外観・内観・スタッフ写真を掲載 |
| 口コミ | 依頼者に投稿を依頼し、丁寧に返信 |
Googleビジネスプロフィールで上位表示されるための施策は、MEO(Map Engine Optimization)対策と呼ばれます。
SEO対策と比較して取り組みやすく、費用もほとんどかからないため、まず着手すべき施策の一つです。
とくに重要なのが口コミの獲得と管理です。
口コミの数と評価は、検索順位だけでなく、ユーザーが事務所を選ぶ際の判断材料にもなります。
依頼が完了した際には、満足度の高い依頼者に口コミ投稿をお願いしましょう。
投稿された口コミには必ず返信し、事務所の誠実な姿勢を示すことが大切です。
法律系ポータルサイトへの登録
法律系ポータルサイトへの登録は、手軽に始められる集客方法として人気があります。
ポータルサイトとは、複数の法律事務所の情報をまとめて掲載し、ユーザーが比較検討できるプラットフォームです。
代表的なサービスとして「弁護士ドットコム」や各種専門分野別のサイトがあります。
- 登録後すぐに掲載が開始される
- SEOに強いサイトが多く、検索経由のアクセスを得やすい
- 弁護士を探している顕在層にアプローチできる
- 事務所の認知度が低くても露出を確保できる
- 分野ごとの登録で、得意分野の案件を獲得しやすい
ポータルサイトは、独立開業直後の弁護士にとって有効な選択肢です。
自社サイトのSEO対策が軌道に乗るまでの間、集客経路を確保する役割を果たします。
ただし、多くの弁護士が登録しているため、他事務所との差別化が課題となります。
プロフィールや解決実績を充実させ、自事務所の強みが伝わるよう工夫しましょう。
また、ポータルサイトのみに依存すると、掲載料の値上げやルール変更の影響を受けやすくなります。
自社サイトでの集客力を並行して強化し、リスク分散を図ることが重要です。
SNSによる認知拡大と信頼構築
SNSは、弁護士個人のブランディングや認知拡大に効果的なツールです。
X(旧Twitter)、Facebook、Instagramなど、各プラットフォームにはそれぞれ特徴があります。
| SNS | 主なユーザー層 | 弁護士の活用ポイント |
| X(旧Twitter) | 20〜40代、情報感度が高い層 | 法律知識の発信、時事ネタへのコメント |
| 30〜60代、ビジネス層 | 企業法務・相続案件の獲得、人脈形成 | |
| 20〜40代、女性比率高め | 事務所の雰囲気発信、親しみやすさの演出 |
SNSの最大の強みは、情報の拡散力です。
有益な投稿がリツイートやシェアされることで、フォロワー以外にも情報が届きます。
継続的に発信することで「この分野ならこの先生」という認知を獲得できる可能性があります。
一方で、SNSには炎上リスクがあることも忘れてはなりません。
不用意な発言や不適切な投稿は、弁護士としての信用を損なう恐れがあります。
投稿内容には細心の注意を払い、弁護士としての品位を保った発信を心がけましょう。
SNS単体での集客は難しいため、他の施策と組み合わせて運用することをおすすめします。
YouTube・動画コンテンツの活用
YouTube動画は、弁護士の人柄や専門性を効果的に伝える手段として注目されています。
文章だけでは伝わりにくい「話しやすそう」「信頼できそう」といった印象を、動画なら直接届けられます。
総務省の調査によると、YouTubeの利用率は全年代で85%を超えており、幅広い層へのアプローチが可能です。
- 弁護士の人柄や話し方を伝えられる
- 複雑な法律問題をわかりやすく解説できる
- 一度投稿した動画は資産として蓄積される
- チャンネル登録者が増えると継続的な視聴が見込める
- 検索結果にも動画が表示されるようになっている
法律系YouTuberとして活躍する弁護士も増えており、数十万人の登録者を持つチャンネルも存在します。
動画のテーマとしては、「よくある法律相談への回答」「時事ニュースの法的解説」「弁護士の日常」などが人気です。
ただし、動画制作には台本作成・撮影・編集といった多大な労力がかかります。
継続的に投稿するためには、外注も含めた体制づくりが必要になるでしょう。
効果が出るまでに半年〜1年程度かかることも考慮し、長期的な視点で取り組むことが大切です。
ホームページの改善とCV率向上
どれほど多くのアクセスを集めても、問い合わせにつながらなければ意味がありません。
ホームページの改善によってCV(コンバージョン)率を高めることは、集客効率を上げる重要な施策です。
CVとは、サイト訪問者が問い合わせや相談予約といった目標行動を取ることを指します。
| 改善ポイント | 具体的な施策 |
| ファーストビュー | 強みと問い合わせボタンを目立たせる |
| 信頼性の訴求 | 弁護士資格・所属会・実績を明記 |
| 料金の明示 | 費用の目安を具体的に記載 |
| 相談ハードルの低減 | 初回無料相談の案内を強調 |
| 導線の最適化 | すべてのページに問い合わせへの動線を設置 |
| スマホ対応 | モバイルでの見やすさ・操作性を確保 |
とくに重要なのが、初回相談のハードルを下げる工夫です。
内閣官房の調査によると、弁護士への依頼にためらいを感じる人は約26.5%にのぼります。
「費用が高そう」「近寄りがたい」というイメージを払拭するために、親しみやすい写真や丁寧な説明を心がけましょう。
株式会社エッコでは、法律事務所のホームページ制作・改善についてもサポートしています。
ユーザー目線でのサイト診断を受けることで、改善すべきポイントが明確になります。
弁護士に効果的なオフライン集客3選
オンライン集客が主流となった現在でも、オフラインの施策は依然として有効です。
とくに地域に根ざした事務所経営を目指す場合、対面での信頼構築は欠かせません。
ここでは、弁護士に効果的なオフライン集客を3つ紹介します。
オンラインとオフラインを組み合わせることで、より強固な集客基盤を築けるでしょう。
セミナー・勉強会の開催
セミナーや勉強会の開催は、専門性をアピールしながら見込み客と接点を持てる効果的な方法です。
参加者に対して有益な情報を提供することで、「この分野に詳しい先生」という印象を与えられます。
一対多のコミュニケーションであるため、効率的に認知を広げられる点もメリットです。
- 相続・事業承継に関するセミナー
- 企業向けハラスメント防止研修
- 離婚問題に関する無料相談会
- 創業者向けの契約書作成講座
- 不動産オーナー向けトラブル対策セミナー
セミナーでは、参加者の悩みに寄り添った内容を心がけることが重要です。
一方的な法律解説ではなく、「参加者が何を知りたいか」を起点に構成を考えましょう。
終了後には名刺交換や個別相談の時間を設け、具体的な案件につなげる導線を用意します。
オンラインセミナー(ウェビナー)を活用すれば、地理的な制約なく参加者を集めることも可能です。
集客にはSNSやメールマガジン、ホームページでの告知を活用しましょう。
異業種交流会での人脈構築
異業種交流会への参加は、紹介ネットワークを広げる有効な手段です。
税理士、司法書士、社会保険労務士などの隣接士業や、企業経営者との関係構築が期待できます。
隣接士業からは、法的紛争に発展した案件を紹介してもらえる可能性があります。
| 交流会の種類 | 特徴 |
| 商工会議所・青年会議所(JC) | 地域の経営者と幅広く交流できる |
| BNI・ライオンズクラブ | 継続的な関係構築を重視した組織 |
| 士業向け交流会 | 隣接士業との案件紹介につながりやすい |
| 業界特化型の交流会 | 特定分野の案件獲得に効果的 |
交流会で成果を出すためには、継続的に参加して顔を覚えてもらうことが大切です。
一度の参加で案件を獲得できることは稀であり、信頼関係を築くには時間がかかります。
また、「案件をもらおう」という姿勢ではなく、まず相手に価値を提供する姿勢が重要です。
相手の困りごとに対してアドバイスを提供したり、自分の知り合いを紹介したりすることで、自然と紹介が返ってくるようになります。
人付き合いが得意な方にとっては、非常に効果的な集客方法となるでしょう。
紹介制度の仕組み化
紹介による集客は、最も受任率が高い経路の一つです。
既存の依頼者や知人からの紹介は、すでに一定の信頼がある状態でのファーストコンタクトとなります。
この紹介を偶発的なものではなく、仕組みとして構築することが重要です。
- 依頼完了時に紹介をお願いする習慣をつける
- 紹介カードやパンフレットを用意する
- 紹介してくれた方へのお礼を徹底する
- 隣接士業との定期的な情報交換の場を設ける
- 過去の依頼者向けにニュースレターを発行する
紹介を依頼する際のポイントは、具体的にお願いすることです。
「お知り合いで困っている方がいたらご紹介ください」という漠然としたお願いより、「相続でお困りの方がいらっしゃったら」と具体的に伝えた方が紹介につながりやすくなります。
また、紹介してくれた方への感謝の伝え方も大切です。
弁護士法の規定により金銭的な謝礼は禁止されていますが、丁寧なお礼状や報告は欠かさないようにしましょう。
紹介制度を仕組み化することで、安定した案件獲得の基盤を築けます。
弁護士が集客で成功するためのポイント
集客施策を実行するだけでは、期待どおりの成果は得られません。
戦略的な視点を持って取り組むことが、集客成功の鍵となります。
この章では、弁護士が集客で成功するために押さえておくべき4つのポイントを解説します。
これらを意識することで、施策の効果を最大化できるでしょう。
専門分野の明確化とブランディング
弁護士の集客において、専門分野の明確化は最も重要な戦略の一つです。
「なんでもできます」という姿勢では、競合との差別化が図れません。
特定の分野に特化することで、「この問題ならこの先生」という明確なポジションを築けます。
| 専門分野の例 | ターゲット顧客 |
| 交通事故 | 事故被害者、保険会社 |
| 離婚・男女問題 | 離婚を検討している方 |
| 相続・遺言 | 高齢者、相続人 |
| 労働問題 | 不当解雇・残業代請求の被害者 |
| 企業法務 | 中小企業経営者 |
| 債務整理 | 借金問題を抱える方 |
専門分野を決める際は、自身の経験や関心を基準にすることをおすすめします。
過去に多く扱った分野や、深く研究してきたテーマがあれば、それを軸にブランディングを構築しましょう。
地域性を掛け合わせることも効果的です。
「名古屋で交通事故に強い弁護士」「横浜の相続専門弁護士」のように、地域×専門分野で第一人者を目指すことで、競合との差別化が図れます。
E-E-A-Tを意識した信頼性の構築
前述のとおり、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性) はGoogleがWebサイトを評価する重要な指標です。
とくに法律分野は「YMYL(Your Money or Your Life)」に該当し、人々の生活や財産に大きな影響を与える領域として、厳格な評価基準が適用されます。
E-E-A-Tを高めるための具体的な施策を実践しましょう。
- 弁護士資格・登録番号・所属弁護士会を明記する
- 詳細なプロフィールと経歴を掲載する
- 解決実績や取り扱い件数を具体的に示す
- 専門分野に関する深い知識を示す記事を投稿する
- メディア出演や著書などの実績をアピールする
- 事務所の連絡先・所在地を明確に掲載する
「この弁護士は本当に専門家である」とGoogleに認識されることが、検索上位表示への近道です。
また、E-E-A-Tの向上は検索順位だけでなく、サイト訪問者からの信頼獲得にも直結します。
ユーザーが安心して問い合わせできるサイトを目指しましょう。
ターゲット層に合わせた施策選定
集客施策は、狙うターゲット層によって最適な方法が異なります。
すべての施策に手を出すのではなく、自事務所のターゲットに効果的なものを優先的に実行すべきです。
ターゲット層と相性の良い施策の組み合わせを考えましょう。
| ターゲット層 | 相性の良い施策 |
| 個人(離婚・相続など) | SEO、ポータルサイト、YouTube |
| 企業経営者 | Facebook、セミナー、紹介 |
| 若年層(労働問題など) | X(Twitter)、Instagram、TikTok |
| 高齢者 | MEO、セミナー、チラシ |
| 地域住民全般 | Googleビジネスプロフィール、地域イベント |
たとえば、企業法務を得意とする事務所がInstagramに注力しても、期待する成果は得にくいでしょう。
逆に、離婚問題を扱う事務所であれば、検索からの流入を重視したSEO対策が効果的です。
限られたリソースを有効活用するためにも、ターゲットを明確にしてから施策を選定することが大切です。
問い合わせから受任までの導線設計
集客施策によってアクセスを集めても、受任につながらなければ意味がありません。
問い合わせから受任までの導線を最適化し、離脱を防ぐ仕組みを構築しましょう。
ユーザーの行動フローに沿って改善ポイントを洗い出すことが重要です。
- 問い合わせフォームは入力項目を最小限にする
- 電話番号は目立つ位置に大きく表示する
- 24時間受付可能なメールフォームを用意する
- 相談予約システムを導入して利便性を高める
- 問い合わせへの返信は可能な限り迅速におこなう
- 初回相談時に事務所の強みを明確に伝える
レスポンスの速さは受任率に大きく影響します。
法律問題を抱える人は不安な状態にあり、すぐに対応してくれる事務所に信頼を寄せる傾向があります。
可能であれば、問い合わせから24時間以内に連絡を取ることを目指しましょう。
株式会社エッコでは、こうした導線設計の最適化を含めた総合的なWebコンサルティングを提供しています。
集客だけでなく、受任率の向上まで一貫してサポートを受けられる点が強みです。
弁護士がやってはいけない集客方法
集客に力を入れることは大切ですが、やり方を間違えると逆効果になることがあります。
とくに弁護士は、法令や規程による制約があり、一般的なマーケティング手法をそのまま適用できない場面があります。
この章では、弁護士が避けるべき集客方法について解説します。
リスクを理解し、適切な範囲で集客活動をおこないましょう。
弁護士法・職務基本規程に違反する広告
弁護士の広告活動には、弁護士法や弁護士職務基本規程による制約があります。
日本弁護士連合会が定める「弁護士等の業務広告に関する規程」を遵守しなければなりません。
違反した場合、懲戒処分の対象となる可能性があります。
| 禁止されている広告の種類 | 具体例 |
| 事実に合致しない広告 | 虚偽の実績や資格の記載 |
| 誤認を招く広告 | 他事務所と比較して優位性を誇張 |
| 品位を損なう広告 | 過度に扇情的な表現 |
| 訴訟の勝訴率の表示 | 「勝訴率90%」などの記載 |
| 依頼者情報の無断掲載 | 同意なく実名や事例を公開 |
とくに注意すべきは、面識のない人への訪問営業や電話営業が禁止されている点です。
これは依頼者保護の観点から設けられた規制であり、違反すると重大な問題になります。
広告表現に迷った場合は、所属弁護士会に確認することをおすすめします。
規程の解釈には曖昧な部分もあるため、グレーゾーンの表現は避けた方が無難です。
誇大広告や不正確な表現
弁護士の集客において、誇大広告や不正確な表現は信頼を損なう原因となります。
一時的に注目を集められたとしても、長期的には事務所のブランド価値を毀損します。
とくに注意すべき表現を確認しておきましょう。
- 「絶対に勝てます」「必ず解決します」などの断定表現
- 他の弁護士や事務所を名指しで批判する内容
- 根拠のない「地域No.1」「実績トップクラス」などの表現
- 実際の費用よりも安く見せるような記載
- 解決までの期間を過度に短く見積もる記載
依頼者の期待値と実際のサービスにギャップが生じると、トラブルの原因になります。
クレームや悪い口コミにつながれば、集客施策全体に悪影響を及ぼしかねません。
正確で誠実な情報発信を心がけ、信頼を積み重ねていくことが大切です。
費用対効果の低い施策への依存
集客施策に投資する際は、費用対効果を常に意識する必要があります。
高額な広告費をかけ続けても、それに見合う受任がなければ経営を圧迫します。
とくに独立開業直後は、資金繰りに余裕がない場合が多いでしょう。
- リスティング広告のみに依存し、毎月数十万円を支出し続ける
- 効果測定をせずに広告を出稿し続ける
- 高額なコンサル費用を払っているが成果が出ない
- ポータルサイトに複数登録し、固定費が膨らんでいる
- 成果につながらない施策を惰性で続けている
広告費や外注費は「投資」であり、リターンが見込めなければ見直すべきです。
定期的に費用対効果を検証し、成果の出ていない施策は縮小または撤退を検討しましょう。
とくにリスティング広告やポータルサイトは、集客力が蓄積しないという特性があります。
支払いを止めると集客も止まるため、SEOやコンテンツマーケティングなど資産性のある施策と組み合わせることをおすすめします。
まとめ
本記事では、弁護士が相談件数を増やすための集客方法について詳しく解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返っておきましょう。
- 弁護士数の増加により、競争環境は年々厳しくなっている
- 従来の紹介・口コミだけに頼る集客には限界がある
- インターネット検索で弁護士を探す人が増えており、Web集客は必須
- オンライン集客には、SEO、リスティング広告、MEO、ポータルサイト、SNS、YouTube、ホームページ改善の7つがある
- オフライン集客には、セミナー、交流会、紹介制度の仕組み化の3つがある
- 専門分野の明確化とE-E-A-Tを意識した信頼構築が成功の鍵
- 弁護士法・広告規程を遵守し、誇大広告を避けることが重要
- 費用対効果を検証し、資産性のある施策にも投資する
集客は一朝一夕で成果が出るものではありません。
しかし、正しい方向性で継続的に取り組めば、安定した相談件数を確保できるようになります。
まずは自事務所の状況を分析し、優先すべき施策から着手してみてください。
名古屋を拠点にWebコンサルティングを手がける株式会社エッコでは、法律事務所向けの集客支援を提供しています。
SEO対策やホームページ改善、広告運用など、幅広いサポートが可能です。
「何から始めればいいかわからない」「専門家の意見を聞きたい」という先生は、ぜひお気軽にご相談ください。

