「新しいお客様がなかなか来ない」「一度来店しても、リピートにつながらない」
このような悩みを抱える美容室のオーナーや店長は、決して少なくありません。
厚生労働省の調査によると、全国の美容室数は約27万軒を超え、コンビニエンスストアの総数を上回る状況となっています。
さらに、帝国データバンクの調査では、2024年1月から8月までの美容室の倒産件数が139件に達し、前年同期比で約1.5倍という過去最多ペースで推移していることが報告されました。
このような厳しい競争環境のなかで、美容室が生き残っていくためには、効果的な集客方法を理解し、実践することが欠かせません。
本記事では、美容室の集客が難しい理由を明らかにしたうえで、新規顧客の獲得からリピーターの育成まで、13の具体的な集客方法をご紹介します。
Web集客とオフライン施策をバランスよく組み合わせることで、安定した経営基盤を築くためのヒントをお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
美容室の集客が難しい理由と現状分析
美容室の集客に苦戦している方は多いものの、その根本的な原因を正しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
効果的な集客戦略を立てるためには、まず美容業界が置かれている現状を把握することが大切です。
ここでは、美容室の集客が難しいとされる3つの主な理由について、データを交えながら解説していきます。
現状を正しく認識することで、自店が取るべき対策の方向性が見えてくるはずです。
- 店舗数の急増による競争激化
- リピート率の低さがもたらす経営への影響
- 価格競争のワナに陥るリスク
これらの課題を一つひとつ確認していきましょう。
店舗数27万軒超えの競争激化
日本国内における美容室の数は、年々増加の一途をたどっています。
厚生労働省が発表した「令和5年度衛生行政報告例」によると、2023年末時点での美容室数は約27万施設に達しました。
この数字は前年から約4,100施設も増加しており、全国のコンビニエンスストア数(約5万6,000店舗)を大きく上回っています。
つまり、街を歩けばコンビニよりも美容室のほうが多く目に入る、という状況なのです。
美容業界では、スタイリストが経験を積んだのちに独立開業するという流れが一般的になっています。
毎年新しい美容師が誕生し、その多くが将来的な独立を目指すため、店舗数の増加に歯止めがかかりにくい構造となっているのです。
| 項目 | 数値 |
| 全国の美容室数(2023年末) | 約27万施設 |
| 前年からの増加数 | 約4,100施設 |
| 全国のコンビニ数 | 約5万6,000店舗 |
| 美容室の3年以内閉店率 | 約90% |
これほど多くの美容室が存在するなかで、お客様に選んでもらうことは容易ではありません。
特に駅前や商業施設の周辺では、数十メートル歩くごとに美容室が目に入るエリアも珍しくないでしょう。
競合が多い環境で勝ち残るためには、他店との明確な差別化が必要不可欠です。
単に「技術が良い」「接客が丁寧」というだけでは、お客様に自店を選んでもらう決め手にはなりにくくなっています。
このような状況下では、積極的な集客活動を行わなければ、新規のお客様を獲得することが困難になってきているのです。
リピート率30%の壁と顧客定着の課題
美容室の経営を安定させるうえで、新規顧客の獲得と同じくらい重要なのが、リピーターの確保です。
しかし、多くの美容室がリピート率の低さに悩まされているのが現実です。
業界の調査によると、美容室の平均的なリピート率は**90日間で約30%**にとどまっています。
これは言い換えると、初めて来店したお客様のうち約7割が再来店していないという厳しい状況を意味しています。
なぜこれほどまでにリピート率が低いのでしょうか。
その背景には、お客様の選択肢が増えたことによる「浮気しやすさ」があります。
スマートフォンで簡単に美容室を検索・比較できる現代では、お客様は気軽に新しいお店を試すことができます。
初回割引クーポンを利用して複数の美容室を渡り歩く、いわゆる「クーポンジプシー」と呼ばれるお客様も少なくありません。
- 施術や接客に特別な印象が残らなかった
- 次回来店のきっかけがなかった
- より魅力的な割引を見つけた
- 引っ越しや生活環境の変化があった
- 担当スタイリストとの相性が合わなかった
このような理由から、せっかく来店してくれたお客様が離れていってしまうのです。
リピート率を高めることは、集客コストの削減にも直結します。
マーケティングの世界では「1:5の法則」と呼ばれる考え方があり、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの約5倍かかると言われています。
リピーターを増やすことで、広告費などの集客コストを抑えながら、安定した売上を確保できるようになるのです。
価格競争に巻き込まれるリスク
競争が激化するなかで、多くの美容室が陥りがちなのが価格競争のワナです。
「周りのお店より安くしないとお客様が来ない」という焦りから、必要以上に価格を下げてしまうケースが後を絶ちません。
確かに、安さを武器にすれば一時的に集客数を増やすことはできるでしょう。
しかし、価格を下げることには大きなリスクが伴います。
| 価格競争のデメリット | 具体的な影響 |
| 利益率の低下 | 同じ労力でも手元に残る利益が減少する |
| サービス品質の低下 | 材料費や人件費を削らざるを得なくなる |
| ブランド価値の毀損 | 「安い店」というイメージが定着する |
| リピート率の低下 | 価格目当てのお客様は定着しにくい |
| スタッフの疲弊 | 回転率を上げる必要があり負担が増す |
一度価格を下げてしまうと、元の水準に戻すことは非常に困難です。
「前は安かったのに」という不満を抱えたお客様が離れていってしまう可能性があるからです。
本当に目指すべきは、価格以外の価値でお客様に選ばれることです。
技術力、接客、居心地の良さ、カウンセリングの丁寧さなど、価格以外で他店と差別化できるポイントを見つけ、それを強みとして打ち出していくことが重要になります。
価格競争から抜け出すためには、まず自店の強みを明確にし、その価値を適切に伝えていく集客戦略が欠かせません。
集客戦略を立てる前の重要ステップ
具体的な集客方法を実践する前に、まず取り組むべきことがあります。
それは、自店の方向性を明確にし、誰に何を届けたいのかを整理するという作業です。
この土台がしっかりしていないと、どれだけ集客施策を実行しても、思うような成果が得られない可能性があります。
ここでは、集客戦略を立てる前に確認しておきたい3つのステップをご紹介します。
- 自店のコンセプト・強みの明確化
- ターゲット顧客像の設定
- 新規顧客とリピーターのバランス設計
これらを丁寧に行うことで、集客施策の効果を最大化することができます。
自店のコンセプト・強みの明確化
効果的な集客を行うための第一歩は、自店のコンセプトと強みを明確にすることです。
「なんとなく」ではなく、言葉にして説明できるレベルまで整理することが大切です。
なぜなら、数多くの美容室のなかからお客様に選んでもらうためには、「このお店に行く理由」を明確に伝える必要があるからです。
コンセプトとは、お店の世界観や大切にしている価値観のことを指します。
たとえば、「大人の女性がゆっくりくつろげる隠れ家サロン」「最新トレンドを取り入れたスタイルを提案する美容室」「髪質改善に特化した専門店」など、さまざまな方向性が考えられます。
強みについては、以下のような観点から洗い出してみましょう。
- 得意な施術メニュー(カラー、パーマ、縮毛矯正など)
- スタッフの経歴や保有資格
- 使用している薬剤やシャンプーのこだわり
- 店内の雰囲気やインテリア
- 立地や営業時間の利便性
- 価格帯やメニュー構成
強みを明確にする際には、お客様の視点から考えることがポイントです。
自分たちが「強み」だと思っていても、それがお客様にとって魅力的でなければ意味がありません。
実際に来店されたお客様に「なぜこのお店を選んだのか」「どこが良かったか」を聞いてみると、自分たちでは気づかなかった強みが見つかることもあります。
コンセプトと強みが明確になれば、ホームページの文章やSNSの投稿内容にも一貫性が生まれ、お客様に伝わりやすいメッセージを発信できるようになります。
ターゲット顧客像の設定
コンセプトと強みが明確になったら、次はどのようなお客様に来てほしいのかを具体的にイメージしましょう。
これをマーケティング用語で「ペルソナ設定」と呼びます。
「20代から60代の女性」のような幅広いターゲット設定では、誰にも響かないメッセージになってしまいがちです。
より具体的に、理想のお客様像を描くことが大切です。
| 設定項目 | 具体例 |
| 年齢・性別 | 35歳・女性 |
| 職業 | 事務職(正社員) |
| 居住エリア | 店舗から電車で30分圏内 |
| 来店頻度 | 2〜3か月に1回 |
| 悩み | 髪のパサつき、白髪が気になり始めた |
| 求めること | 落ち着いた空間でゆっくり過ごしたい |
| 情報収集方法 | Instagram、ホットペッパービューティー |
| 価値観 | 流行よりも自分に似合うスタイルを重視 |
このように具体的なペルソナを設定することで、そのお客様に響く言葉やアプローチ方法が見えてきます。
たとえば、上記のペルソナであれば、「最新トレンド」よりも「あなたに似合うスタイル」という表現のほうが響くでしょう。
また、Instagramでの情報発信に力を入れることが効果的だとわかります。
ペルソナは一つだけでなく、複数設定しても構いません。
ただし、あまりにもターゲットがバラバラになると、発信するメッセージに一貫性がなくなってしまうため、2〜3パターン程度に絞ることをおすすめします。
新規顧客とリピーターのバランス設計
美容室の集客を考えるうえで見落としがちなのが、新規顧客とリピーターのバランスです。
どちらか一方に偏った集客戦略では、安定した経営を実現することは難しいでしょう。
新規顧客の獲得ばかりに注力していると、集客コストがかさむ一方で、売上の安定性が確保できません。
逆に、リピーター頼みになりすぎると、お客様の自然な離脱に対応できず、徐々に売上が減少していきます。
理想的なのは、新規顧客を継続的に獲得しながら、その多くをリピーターへと育てていく仕組みを作ることです。
- 新規顧客向けの施策:広告、SNS、ポータルサイト、チラシなど
- リピーター向けの施策:LINE配信、次回予約促進、会員特典など
- 共通の施策:接客品質の向上、口コミ促進など
集客予算の配分についても、自店の状況に応じて検討する必要があります。
たとえば、開業間もない美容室であれば、まず認知を広げるために新規集客に比重を置くことが合理的です。
一方、ある程度の顧客基盤ができている美容室であれば、リピート率の向上に力を入れることで、より効率的に売上を伸ばせる可能性があります。
自店の現状を客観的に分析し、新規とリピーターのバランスを意識した集客戦略を立てることが、持続的な成長につながります。
新規顧客を獲得するWeb集客方法
現代の美容室集客において、Web施策は欠かせない存在となっています。
多くのお客様がスマートフォンを使って美容室を検索し、比較検討したうえで来店を決めています。
ここでは、新規顧客を獲得するための効果的なWeb集客方法を5つご紹介します。
- ポータルサイトの活用
- MEO対策とGoogleビジネスプロフィール
- 自社ホームページ・ブログの運用
- Instagramによるビジュアルマーケティング
- TikTok・YouTubeでの動画発信
それぞれの特徴と実践方法を見ていきましょう。
ホットペッパービューティー等ポータルサイト活用
美容室の集客において、ポータルサイトは即効性の高い集客チャネルとして多くの店舗で活用されています。
代表的なポータルサイトとしては、ホットペッパービューティー、楽天ビューティー、minimo(ミニモ)などが挙げられます。
これらのサイトは、美容室を探しているユーザーが多数利用しているため、上手に活用すれば効率的に新規顧客を獲得することができます。
| サイト名 | 特徴 |
| ホットペッパービューティー | 国内最大級の集客力、予約機能が充実 |
| 楽天ビューティー | 楽天ポイントが貯まる、楽天ユーザーにリーチ |
| minimo | スタイリスト個人で集客可能、若年層に強い |
| EPARKビューティー | 当日予約に対応、空き時間の活用に便利 |
ポータルサイトのメリットは、すでに美容室を探しているユーザーにアプローチできる点です。
認知度ゼロの状態から自力で集客するよりも、はるかに効率的に新規顧客と出会える可能性があります。
一方で、掲載料がかかることや、価格競争に巻き込まれやすいというデメリットもあります。
ポータルサイトを効果的に活用するためには、クーポン設計と掲載内容の最適化が重要です。
クーポン設計のポイント
ポータルサイトで成果を出すうえで、クーポンの設計は非常に重要な要素です。
ただ安くするだけでは、価格目当てのお客様ばかりが集まり、リピートにつながりにくくなってしまいます。
クーポン設計で意識したいポイントは以下のとおりです。
- 割引率は控えめに設定し、通常価格との差を小さくする
- 「初回限定」と明記し、2回目以降は通常料金であることを伝える
- 単純な値引きではなく、付加価値をつける形にする
- お店の強みや得意メニューを体験できるクーポンを用意する
- 来店してほしい曜日や時間帯に限定したクーポンも検討する
たとえば、「カット50%オフ」よりも「カット+トリートメント10%オフ」のほうが、客単価を維持しながらお店の価値を体験してもらえます。
大幅な割引で集客しても、通常価格になった途端に来店しなくなるお客様が増えてしまうことを念頭に置きましょう。
リピートにつながるお客様を集めるためには、適切な価格設定とクーポン内容の工夫が欠かせません。
掲載内容の最適化
ポータルサイトに掲載する内容は、お客様がお店を選ぶ際の判断材料となります。
同じエリアには多くの競合店舗が掲載されているため、自店の魅力がしっかり伝わる内容にすることが大切です。
特に注意したいポイントを以下にまとめました。
| 項目 | 最適化のポイント |
| 写真 | プロに撮影を依頼する、明るく清潔感のある写真を選ぶ |
| キャッチコピー | 自店の強みを一言で伝える、ターゲットに響く言葉を使う |
| メニュー説明 | 専門用語を避け、効果やメリットをわかりやすく説明する |
| スタッフ紹介 | 顔写真と人柄が伝わるプロフィールを掲載する |
| 口コミ対応 | すべての口コミに丁寧に返信する |
写真のクオリティは、お客様の印象を大きく左右します。
スマートフォンで撮影した暗い写真よりも、プロのカメラマンに依頼した明るく魅力的な写真のほうが、クリック率や予約率が高まる傾向にあります。
また、口コミへの返信は意外と見られているポイントです。
ネガティブな口コミにも真摯に対応することで、お店の誠実さが伝わり、信頼感につながります。
掲載内容を定期的に見直し、改善を続けることで、ポータルサイトからの集客効果を高めることができます。
MEO対策とGoogleビジネスプロフィール
MEO(Map Engine Optimization)対策とは、Googleマップ上で自店を上位表示させるための施策です。
「地域名+美容室」で検索した際に、マップ上で目立つ位置に表示されることで、新規顧客の来店につながります。
MEO対策の基本となるのが、Googleビジネスプロフィールの活用です。
これはGoogleが提供する無料のサービスで、店舗情報をGoogleマップや検索結果に表示させることができます。
Googleビジネスプロフィールで設定・管理できる主な項目は以下のとおりです。
- 店舗名、住所、電話番号、営業時間
- 提供サービスやメニューの説明
- 店内や施術例の写真・動画
- お客様からの口コミと返信
- 最新情報の投稿(キャンペーン、お知らせなど)
口コミの数と評価は、MEOの表示順位に大きく影響します。
そのため、来店されたお客様に口コミ投稿をお願いすることも重要な施策となります。
「Googleで『〇〇美容室』と検索して、口コミを書いていただけると嬉しいです」など、具体的な方法をお伝えすると、投稿率が上がります。
また、投稿された口コミには必ず返信しましょう。
ポジティブな口コミにはお礼を、ネガティブな口コミには真摯な謝罪と改善の姿勢を示すことで、お店の信頼性が高まります。
MEO対策は継続的に取り組むことで効果が蓄積されていくため、毎週の情報更新や写真追加を習慣化することをおすすめします。
自社ホームページ・ブログの運用
ポータルサイトやSNSだけでなく、自社のホームページを持つことも重要です。
ホームページは、お店の情報を自由にデザインし、発信できる「自社メディア」としての役割を果たします。
ポータルサイトでお店を見つけたお客様が、より詳しい情報を求めてホームページを訪れるケースも少なくありません。
ホームページに掲載しておきたい情報は以下のとおりです。
| ページ | 掲載内容 |
| トップページ | お店のコンセプト、キャッチコピー、雰囲気がわかる写真 |
| メニュー・料金 | すべてのメニューと価格を明確に表示 |
| スタッフ紹介 | 顔写真、経歴、得意な施術、人柄がわかる紹介文 |
| アクセス | 住所、地図、最寄駅からの道順、駐車場情報 |
| 予約方法 | ネット予約への導線、電話番号 |
| ブログ | スタイル紹介、ヘアケア情報、お店の日常など |
特にブログの更新は、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも効果的です。
「〇〇駅 美容室 パーマ」などのキーワードで検索した際に、ブログ記事が上位表示されれば、新規顧客の獲得につながります。
ブログでは、施術事例の紹介、ヘアケアのコツ、スタイリストの日常など、お客様が興味を持ちそうなコンテンツを発信しましょう。
ただし、ホームページやブログの制作・運用には、一定の専門知識が必要です。
自分で対応するのが難しい場合は、Web集客に強い専門会社に相談することも選択肢の一つです。
名古屋を拠点に活動する株式会社エッコでは、美容室をはじめとした店舗向けのホームページ制作やWeb集客支援を行っています。
「何から始めればいいかわからない」という方は、まず専門家に相談してみることをおすすめします。
Instagram活用とビジュアルマーケティング
美容室の集客において、Instagramは最も相性の良いSNSといっても過言ではありません。
写真や動画を中心としたプラットフォームであるため、施術のビフォーアフターや店内の雰囲気を視覚的に伝えることができます。
総務省の調査によると、Instagramの利用率は10代から30代で特に高く、女性ユーザーの割合が多いことが特徴です。
若年層から30代の女性をターゲットとする美容室であれば、Instagramでの発信は欠かせない施策といえます。
Instagramで効果的に発信するためのポイントは以下のとおりです。
- 統一感のあるフィードを作る(色味、構図、フィルターなど)
- ビフォーアフター写真で技術力をアピールする
- リールやストーリーズで日常や施術風景を発信する
- ハッシュタグを活用して検索されやすくする
- プロフィールに予約導線を設置する
ハッシュタグは、お客様に見つけてもらうための重要な要素です。
「#〇〇駅美容室」「#ショートヘア」「#髪質改善」など、ターゲットが検索しそうなキーワードをつけて投稿しましょう。
また、ストーリーズのハイライト機能を活用して、メニュー紹介、アクセス情報、お客様の声などを整理しておくと、初めてプロフィールを訪れた方にも情報が伝わりやすくなります。
投稿の頻度は、最低でも週に2〜3回を目安に継続することが大切です。
TikTok・YouTube動画での認知拡大
近年、動画コンテンツによる集客も注目を集めています。
特にTikTokは、若年層を中心に爆発的な人気を誇り、美容室の認知拡大に活用する店舗も増えてきました。
動画の魅力は、写真だけでは伝わりにくい「動き」や「過程」を見せられる点にあります。
- カットやカラーの施術過程
- スタイリングのビフォーアフター
- 簡単にできるヘアアレンジの紹介
- スタイリストの人柄が伝わる日常風景
このようなコンテンツは、視聴者の興味を引きやすく、拡散されやすい傾向があります。
| プラットフォーム | 特徴 | 向いているコンテンツ |
| TikTok | 短尺動画、拡散力が高い、若年層に強い | ビフォーアフター、施術動画、トレンド系 |
| YouTube | 長尺も可能、検索からの流入、資産になる | ヘアケア解説、詳しい施術紹介 |
| Instagramリール | Instagram内で完結、既存フォロワーへ届きやすい | ショート動画全般 |
TikTokは「バズる」可能性がある反面、継続的な投稿が求められます。
一方、YouTubeは検索から動画を見つけてもらえるため、一度投稿した動画が長期間にわたって集客に貢献してくれるというメリットがあります。
動画制作に不慣れな場合は、まずはInstagramリールから始めてみるのがおすすめです。
15秒から30秒程度の短い動画であれば、スマートフォンだけで手軽に作成できます。
動画コンテンツは、美容室の雰囲気やスタッフの人柄を伝えるうえで、非常に効果的なツールです。
リピーターを増やすための施策
新規顧客を獲得することも大切ですが、リピーターを増やすことはそれ以上に重要です。
先述のとおり、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの約5倍かかると言われています。
せっかく来店してくれたお客様を、一度きりで終わらせないための施策を実践しましょう。
- LINE公式アカウントでの関係構築
- 次回予約の促進テクニック
- 顧客管理とパーソナライズ接客
- ポイントカード・会員制度の活用
これらの施策を組み合わせることで、リピート率の向上を目指します。
LINE公式アカウントでの関係構築
LINE公式アカウントは、リピーター育成において非常に効果的なツールです。
日本国内でのLINE利用率は非常に高く、幅広い年代のお客様にアプローチすることができます。
メールマガジンと比較して、LINEメッセージは開封率が圧倒的に高いことが特徴です。
送った情報がお客様の目に留まりやすく、来店促進につなげやすいのです。
LINE公式アカウントで活用できる主な機能は以下のとおりです。
- メッセージの一斉配信
- 個別チャットでのやりとり
- クーポンの配信
- ショップカード(デジタルポイントカード)
- リッチメニュー(画面下部に固定表示されるメニュー)
特に効果的なのが、お客様との個別コミュニケーションです。
「その後、髪の調子はいかがですか?」「スタイリングで困ったことはありませんか?」といったフォローメッセージを送ることで、お客様は「気にかけてもらえている」と感じます。
このような丁寧なコミュニケーションが、お店への愛着と信頼につながり、リピート率の向上に寄与します。
また、来店から一定期間が経過したタイミングで「そろそろカットの時期ですね」といったリマインドメッセージを送ることも効果的です。
LINE公式アカウントは無料から始められるため、まだ導入していない美容室は、ぜひ検討してみてください。
次回予約の促進テクニック
リピート率を高めるための最もシンプルで効果的な方法は、施術終了時に次回予約を取ることです。
「次回はいつ頃がいいですか?」とお声がけするだけで、次回予約率は大きく変わります。
なぜ次回予約が重要なのでしょうか。
それは、お客様が帰宅してしまうと、次の予約を入れるハードルが上がるからです。
「また今度予約しよう」と思っても、日々の忙しさのなかで後回しになり、そのまま別の美容室を試してしまう、というケースも少なくありません。
次回予約を促進するためのテクニックを紹介します。
| テクニック | 具体的な方法 |
| お声がけの習慣化 | 施術終了時に必ず次回予約について触れる |
| 早期予約特典 | 次回予約を当日に入れると割引やサービスを付与 |
| 最適な来店周期の提案 | 髪質やスタイルに合わせた次回来店の目安を伝える |
| 予約の取りやすさ改善 | ネット予約やLINE予約を導入する |
| リマインド連絡 | 予約日の数日前に確認の連絡を入れる |
お客様に「次回予約を取ったほうがお得」と感じてもらう仕組みを作ることがポイントです。
「次回予約をいただくと、トリートメントを500円オフにさせていただきます」など、具体的なメリットを提示すると、予約率が向上します。
また、「〇〇さんの髪質だと、6週間後くらいがベストなタイミングです」とプロの視点からアドバイスすることで、お客様は次回予約に納得感を持つことができます。
顧客管理とパーソナライズ接客
顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズ接客は、リピート率を高めるうえで非常に重要です。
「前回と同じスタイルで」「いつもの担当の方で」と言ったときに、スムーズに対応できる美容室は、お客様にとって安心感があります。
パーソナライズ接客を実現するためには、顧客情報をしっかり管理・活用することが欠かせません。
記録しておきたい顧客情報の例を挙げます。
- 施術履歴(カラーの色、パーマの薬剤など)
- 髪質や頭皮の状態
- 会話で聞いた好みや悩み
- 使用したホームケア商品
- 趣味や仕事、家族構成など
このような情報を蓄積し、次回来店時に活かすことで、「自分のことを覚えていてくれる」という特別感をお客様に提供できます。
たとえば、「前回お話しされていた旅行、いかがでしたか?」と会話を始められると、お客様との距離がぐっと縮まります。
顧客管理には、専用のシステムや顧客管理ソフトを活用すると効率的です。
紙のカルテで管理している場合も、情報を体系的に記録し、スタッフ間で共有できる仕組みを作っておきましょう。
お客様一人ひとりを大切にする姿勢が、リピーター獲得の鍵となります。
ポイントカード・会員制度の活用
ポイントカードや会員制度も、リピート率を高めるための定番施策です。
来店するたびにポイントが貯まり、一定ポイントで特典が受けられる仕組みは、お客様にとって再来店のモチベーションになります。
従来の紙のスタンプカードに加えて、最近ではデジタルのポイントカードも普及しています。
LINE公式アカウントのショップカード機能を使えば、無料でデジタルポイントカードを発行することができます。
- 紙のカードを持ち歩く必要がない
- 忘れた・なくしたという事態を防げる
- 来店履歴をデータで管理できる
- プッシュ通知で来店を促せる
会員制度を導入する場合は、会員ならではの特典を用意することが重要です。
| 会員特典の例 | 内容 |
| 会員限定価格 | メニュー料金が通常より5〜10%オフ |
| 誕生日特典 | 誕生日月にトリートメント無料など |
| 先行予約 | 人気スタイリストの予約を優先的に取れる |
| 来店回数特典 | 5回来店でヘッドスパ無料など |
| 紹介特典 | 友人を紹介すると双方に特典付与 |
会員になるメリットを明確に伝え、「このお店に通い続けたい」と思ってもらうことがポイントです。
ポイントカードや会員制度は、一度仕組みを作ってしまえば、自動的にリピートを促進してくれる強力なツールになります。
オフライン集客で地域密着を強化する方法
Web集客が主流となった現代でも、オフラインの集客方法は依然として有効です。
特に、地域に根ざした美容室にとっては、地元のお客様との直接的なつながりを築くことが、長期的な繁栄につながります。
ここでは、地域密着型の美容室におすすめのオフライン集客方法をご紹介します。
- 紹介キャンペーンの設計
- チラシ・ショップカードの効果的な配布
- 地域イベント・コラボ企画への参加
Web施策と組み合わせて、集客チャネルを多様化させましょう。
紹介キャンペーンの設計
お客様からの紹介は、最も信頼性の高い集客方法です。
友人や家族から「あの美容室いいよ」とすすめられると、初めてのお店でも安心して来店できます。
紹介で来店されたお客様は、最初から信頼感を持っているため、リピーターになりやすい傾向があります。
紹介を増やすためには、お客様が「紹介したくなる」仕組みを作ることが大切です。
| 設計のポイント | 具体例 |
| 紹介者への特典 | 次回施術1,000円オフ、トリートメント無料など |
| 紹介された方への特典 | 初回カット20%オフ、ヘッドスパ無料など |
| 双方にメリットがある設計 | 両者に特典があることを明記する |
| 紹介しやすい仕組み | 紹介カードの配布、LINEでの紹介機能など |
| 紹介制度の周知 | 店内掲示、SNS、LINE配信で告知する |
紹介制度があることを、まずお客様に知ってもらうことが重要です。
「お友達をご紹介いただくと、〇〇さんにもお友達にも特典があります」と施術中や会計時にお伝えしましょう。
紹介カードを用意しておくと、お客様が友人に渡しやすくなります。
カードには、紹介者の名前を記入する欄と、紹介された方向けの特典内容を明記しておきましょう。
紹介によるお客様は、広告費をかけずに獲得できる上、リピート率も高いため、費用対効果の面で非常に優れた集客方法といえます。
チラシ・ショップカードの効果的な配布
チラシやショップカードは、デジタルに不慣れな層や、偶然の出会いによる集客に効果を発揮します。
特に、40代以上のお客様や、ポータルサイトをあまり使わない層にリーチするには有効な手段です。
チラシを配布する際に意識したいポイントは以下のとおりです。
- ターゲットが多く住むエリアを選んでポスティングする
- 店舗の強みやコンセプトを簡潔に伝える
- 初回限定クーポンをつけて来店のハードルを下げる
- QRコードを掲載し、予約ページへ誘導する
- 写真やデザインでお店の雰囲気を伝える
闘雲に大量配布するのではなく、ターゲットを意識して配布エリアを絞ることが重要です。
たとえば、20代〜30代の女性をターゲットとするなら、若い単身者が多いマンションやアパートに絞って配布するのが効果的です。
ショップカードは、近隣の店舗(カフェ、雑貨店、ネイルサロンなど)に置かせてもらうことで、新たな顧客層との接点を作れます。
相互送客の協力関係を築ける店舗があれば、お互いにメリットがあります。
チラシやショップカードの効果は、すぐには現れないこともありますが、継続的に取り組むことで認知度が徐々に高まっていきます。
地域イベント・コラボ企画への参加
地域のイベントや他業種とのコラボ企画に参加することも、認知度アップに効果的です。
地域に密着した美容室として認知されることで、「地元で信頼できる美容室」というポジションを確立できます。
地域イベントへの参加方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 地域のお祭りやマルシェにブースを出店する
- 商店街のイベントに協賛・参加する
- 地元の学校やPTAとの連携企画を行う
- 近隣店舗との合同キャンペーンを実施する
- 地域の美容関連イベントでセミナーを開催する
たとえば、地域のお祭りに出店し、簡単なヘアアレンジ体験を提供すれば、多くの方にお店の存在を知ってもらえます。
他業種とのコラボ企画も、新しい顧客層との出会いを生み出すきっかけになります。
近隣のカフェやアパレルショップ、エステサロンなど、ターゲット層が近い店舗と協力して、相互紹介や合同イベントを行うのも良いでしょう。
「〇〇カフェでランチをした方は、当店のカット500円オフ」のような形で連携すれば、お互いのお客様を送り合うことができます。
地域との関わりを大切にすることで、長く愛される美容室としての地位を築いていくことができます。
集客に成功している美容室7つの共通点
集客に成功している美容室には、いくつかの共通する特徴があります。
単に集客方法を実践するだけでなく、経営全体を俯瞰して取り組んでいることが、成功の要因といえるでしょう。
ここでは、繁盛している美容室に見られる7つの共通点をご紹介します。
- 顧客との信頼関係構築を重視している
- 客単価と来店サイクルを最適化している
- スタッフの技術・接客力向上に投資している
- コンセプトが明確で、一貫したメッセージを発信している
- 新規集客とリピーター施策をバランスよく実践している
- データを活用して改善を続けている
- 必要に応じて専門家の力を借りている
この中から、特に重要な3つのポイントを詳しく解説します。
顧客との信頼関係構築を重視
集客に成功している美容室は、目先の売上よりも顧客との信頼関係を大切にしています。
「このお店なら安心」「この人に任せれば間違いない」と思ってもらえる関係性を築くことに注力しているのです。
信頼関係を築くために実践していることを挙げます。
- 施術前のカウンセリングを丁寧に行う
- お客様の要望をしっかり聞き、イメージを共有する
- 無理な押し売りをしない
- 施術後のアフターフォローを欠かさない
- 約束した時間を守る
- 失敗したときは誠実に対応する
信頼は一朝一夕では築けませんが、一度築いた信頼は、お客様をずっとつなぎとめる力を持っています。
「ちょっと遠いけど、あの美容室に通い続けている」というお客様がいるなら、それはスタッフとの信頼関係が成立している証拠です。
技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション力や誠実さを高めることが、長期的な集客成功につながります。
信頼される美容室になるために、日々の接客を振り返り、改善を続けていきましょう。
客単価と来店サイクルの最適化
繁盛している美容室は、客単価と来店サイクルの両方を意識した経営を行っています。
売上は「客数×客単価×来店頻度」で決まるため、これらの要素を最適化することが重要です。
| 要素 | 最適化のアプローチ |
| 客数 | 新規集客施策の強化、紹介促進 |
| 客単価 | メニューの追加提案、セットメニューの導入 |
| 来店頻度 | 次回予約の促進、リマインド連絡、適切な来店周期の提案 |
客単価を上げるためには、お客様に付加価値を感じてもらえる提案が必要です。
「今日のカラーをより長持ちさせるために、このトリートメントがおすすめです」といった提案は、お客様のためになるアドバイスであり、同時に客単価アップにもつながります。
押し売りにならないよう、あくまでもお客様のメリットを第一に考えた提案を心がけましょう。
来店頻度については、適切な来店周期をお客様に伝えることが大切です。
「次は8週間後くらいがベストです」と伝えることで、お客様は来店のタイミングを把握でき、結果として来店頻度が安定します。
客数を増やすことだけに注力するのではなく、既存のお客様からの売上を最大化する視点も忘れずに持ちましょう。
スタッフの技術・接客力向上への投資
成功している美容室は、スタッフの成長に対して積極的に投資しています。
美容室の価値は、最終的にはスタッフの技術力と接客力によって決まるからです。
どれだけ集客施策を頑張っても、来店したお客様が満足しなければ、リピートにはつながりません。
スタッフの成長を促すための取り組み例を紹介します。
- 定期的な技術研修やセミナーへの参加
- 外部講師を招いたトレーニングの実施
- スタッフ同士の練習会やロールプレイング
- 接客マニュアルの整備と共有
- お客様アンケートを活用したフィードバック
- 個人目標の設定と振り返り
技術と接客の両面でスキルアップを図ることが、お客様満足度の向上に直結します。
また、スタッフが成長を実感できる環境を作ることは、スタッフの定着率向上にもつながります。
スタッフが頻繁に入れ替わる美容室は、お客様にとっても不安要素となります。
長く働き続けるスタッフが多い美容室は、それだけで信頼感があり、お客様に安心して来店してもらえます。
スタッフへの投資は、中長期的な集客力を高めるための重要な経営判断です。
まとめ
本記事では、美容室の集客方法について、新規顧客の獲得からリピーターの育成まで、13の具体的な施策をご紹介してきました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 全国の美容室数は約27万軒を超え、競争は激化している
- リピート率は約30%にとどまり、7割のお客様が再来店していない
- 価格競争に巻き込まれず、自店の強みで差別化することが重要
- 集客戦略を立てる前に、コンセプト・ターゲット・バランスを明確にする
- Web集客(ポータルサイト、MEO、SNS、ホームページ)を活用して新規顧客を獲得する
- LINE公式アカウントや次回予約促進でリピーターを増やす
- オフライン施策(紹介、チラシ、地域イベント)で地域密着を強化する
- 成功している美容室は、信頼関係・客単価最適化・スタッフ育成を重視している
美容室の集客に「これだけやれば絶対成功する」という魔法の方法はありません。
しかし、自店の強みを活かし、ターゲットに合った施策を継続的に実践していくことで、着実に成果を積み上げていくことは可能です。
すべての施策を一度に始める必要はありません。
まずは自店に合いそうなものから取り組み、効果を検証しながら改善を続けていきましょう。
もし「どこから手をつければいいかわからない」「Web集客に専門的なサポートが欲しい」とお感じであれば、専門家に相談することも一つの選択肢です。
名古屋のWebコンサルティング会社・株式会社エッコでは、美容室をはじめとした店舗向けのWeb集客支援を行っています。
ホームページ制作、MEO対策、SNS運用など、集客に関するお悩みをトータルでサポートしていますので、お気軽にご相談ください。
本記事が、皆様の美容室経営の一助となれば幸いです。

