「広告費をかけているのに、なかなか成果につながらない」 「関係のない検索語句でクリックされて、予算がムダになっている気がする」

Google広告を運用していると、こうした悩みを抱える方は少なくありません。 実は、この問題を解決するカギとなるのが除外キーワードの設定です。

除外キーワードとは、特定の検索語句に対して広告を表示させないようにする機能のこと。 適切に設定すれば、無関係なユーザーへの広告表示を防ぎ、費用対効果を大幅に改善できます。

しかし、除外キーワードには独自のマッチタイプがあり、配信キーワードとは仕様が異なります。 この違いを理解せずに設定すると、「除外したはずなのに広告が表示されている」という事態が起こりかねません。

本記事では、除外キーワードの基本的な役割から、マッチタイプの特性、具体的な選定方法、そして実際の設定手順まで網羅的に解説します。 初心者の方でもすぐに実践できるよう、スクリーンショットや具体例を交えながら丁寧に説明していきます。

名古屋を拠点にWebコンサルティングを手がける株式会社エッコでは、数多くのGoogle広告アカウントの運用改善を支援してきました。 その知見をもとに、除外キーワードを使いこなすためのノウハウをお伝えします。

この記事を読み終えるころには、あなたも除外キーワードの設定に自信を持てるようになるでしょう。 ぜひ最後までお読みいただき、広告運用の改善にお役立てください。

目次

除外キーワードとは


除外キーワードは、Google広告において欠かせない機能のひとつです。 この機能を正しく理解し活用することで、広告のパフォーマンスを大きく向上させることができます。 まずは、除外キーワードの基本的な概念について確認していきましょう。

除外キーワードの役割と目的

除外キーワードとは、特定の検索語句に対して広告を表示させないようにする機能です。 Google広告では、登録したキーワードに関連する検索に対して広告が配信されます。 しかし、すべての関連検索が自社のビジネスに適しているとは限りません。

たとえば、高級腕時計を販売している会社がリスティング広告を出稿しているとします。 「腕時計」というキーワードで広告を配信した場合、「腕時計 修理」や「腕時計 電池交換」といった検索にも広告が表示される可能性があります。 これらの検索をしているユーザーは、新しい腕時計の購入を考えているわけではありません。 こうした検索語句に対して広告が表示されクリックされると、広告費がムダになってしまいます。

除外キーワードの主な目的は以下のとおりです。

  • 自社の商品やサービスと関連性の低い検索語句への広告表示を防ぐ
  • 購買意欲の低いユーザーへのリーチを避ける
  • 広告予算を本当に見込みのあるユーザーに集中させる
  • 広告のクリック率やコンバージョン率を向上させる
  • 費用対効果を最大化する

除外キーワードを適切に設定することで、ターゲットとするユーザーにのみ広告を届けられるようになります。 結果として、広告主とユーザーの双方にメリットをもたらす機能といえるでしょう。

費用対効果改善への効果

除外キーワードの設定は、広告の費用対効果(ROI)を改善するうえで非常に重要な役割を果たします。 なぜなら、関連性の低い検索語句からの不要なクリックを減らせるからです。

Google広告はクリック課金制を採用しているため、広告がクリックされるたびに費用が発生します。 自社の商品に興味のないユーザーにクリックされた場合、そのクリック費用は実質的にムダになります。 除外キーワードを設定すれば、こうした不要なクリックを事前に防ぐことが可能です。

費用対効果の改善効果を具体的に見てみましょう。

項目 除外キーワード設定前 除外キーワード設定後
月間クリック数 1,000回 800回
無関係なクリック 200回 20回
クリック単価 100円 100円
月間広告費 100,000円 80,000円
コンバージョン数 10件 10件
コンバージョン単価 10,000円 8,000円

上記の例では、除外キーワードの設定により、コンバージョン数を維持しながら広告費を2万円削減できています。 コンバージョン単価が20%も改善されており、同じ成果をより少ない予算で達成できるようになりました。

また、クリック率(CTR)の向上も期待できます。 関連性の低い検索語句での表示が減ることで、広告が表示される回数に対するクリック数の割合が高まるためです。

品質スコアへの影響

除外キーワードの適切な設定は、広告の品質スコアにも好影響を与える可能性があります。 品質スコアとは、Googleが広告の品質を評価する指標のことです。 1から10の数値で表され、スコアが高いほど広告の掲載順位が上がりやすくなり、クリック単価も抑えられます。

品質スコアは主に以下の3つの要素で決まります。

  • 推定クリック率(広告がクリックされる可能性)
  • 広告の関連性(検索語句と広告の一致度)
  • ランディングページの利便性(ユーザー体験の質)

除外キーワードを設定すると、関連性の高い検索語句にのみ広告が表示されるようになります。 その結果、広告とユーザーの検索意図の一致度が高まり、クリック率の向上につながります。 クリック率が向上すれば、品質スコアの改善も期待できるのです。

品質スコアが向上することで得られるメリットは以下のとおりです。

  • クリック単価の低下
  • 広告の掲載順位の向上
  • 同じ予算でより多くのクリックを獲得できる
  • 競合他社に対する優位性の確保

ただし、品質スコアへの影響は間接的なものであり、除外キーワードの設定だけで劇的な改善が見込めるわけではありません。 広告文の最適化やランディングページの改善など、総合的な取り組みが必要です。

配信キーワードとの違い

Google広告には、広告を表示させるための「配信キーワード」と、表示させないための「除外キーワード」があります。 この2つは似ているようで、仕様が大きく異なる点に注意が必要です。

配信キーワードは、ユーザーの検索意図を幅広く捉えるために拡張される仕組みになっています。 たとえば、「ランニングシューズ」というキーワードを設定した場合、「ジョギング用の靴」や「マラソン スニーカー」といった類義語での検索にも広告が表示されます。

一方、除外キーワードには類義語への拡張がありません。 「ランニングシューズ」を除外キーワードに設定しても、「ジョギング用の靴」という検索には広告が表示されてしまいます。 除外したい語句は、一つひとつ明示的に登録する必要があるのです。

両者の違いを表にまとめると以下のようになります。

項目 配信キーワード 除外キーワード
類義語への拡張 あり なし
表記ゆれへの対応 自動で対応 個別に登録が必要
スペースの扱い 柔軟に対応 厳密に判定
誤字脱字への対応 自動で対応 大文字小文字のみ自動対応
マッチタイプの機能 検索意図を考慮して拡張 文字列の一致のみで判定

この違いを理解していないと、「除外キーワードを設定したのに広告が表示されている」という問題が発生します。 除外キーワードの設定では、配信キーワードよりも細かく、漏れなく登録する意識が大切です。

除外キーワードのマッチタイプ



除外キーワードにも、配信キーワードと同様にマッチタイプが存在します。 しかし、その動作は配信キーワードとは異なるため、正確な理解が欠かせません。 ここでは、各マッチタイプの特性と使い分け方について詳しく解説します。

除外キーワードのマッチタイプの特性

除外キーワードのマッチタイプは、部分一致、フレーズ一致、完全一致の3種類があります。 それぞれのマッチタイプによって、除外される検索語句の範囲が変わります。 適切なマッチタイプを選ばないと、必要以上に広告表示が制限されたり、逆に除外漏れが発生したりします。

各マッチタイプの基本的な特徴は以下のとおりです。

  • 部分一致:登録したすべての語句が含まれる検索を除外(語順不問)
  • フレーズ一致:登録した語句が同じ語順で含まれる検索を除外
  • 完全一致:登録した語句と完全に一致する検索のみを除外

マッチタイプを設定する際の記述方法も覚えておきましょう。

マッチタイプ 記述方法 入力例
部分一致 記号なし ランニング シューズ
フレーズ一致 ダブルクォーテーションで囲む “ランニング シューズ”
完全一致 角かっこで囲む [ランニング シューズ]

除外範囲が広い順に並べると、部分一致 > フレーズ一致 > 完全一致となります。 部分一致は最も広い範囲を除外できますが、意図しない検索まで除外してしまうリスクもあります。 状況に応じて適切なマッチタイプを選択することが重要です。

配信キーワードとの仕様の違い

除外キーワードのマッチタイプは、配信キーワードのそれとは根本的に仕様が異なります。 この違いを理解していないと、除外設定が期待どおりに機能しない原因となります。

最も大きな違いは、除外キーワードには検索意図の解釈が適用されない点です。 配信キーワードの部分一致は、Googleのアルゴリズムがユーザーの検索意図を推測し、関連性の高い検索にも広告を表示します。 しかし、除外キーワードの部分一致は、単純に登録した語句がすべて含まれているかどうかだけで判定されます。

具体例で見てみましょう。

  • 配信キーワード「テニスシューズ」(部分一致) → 「テニス用の靴」「テニス スニーカー おすすめ」にも広告表示
  • 除外キーワード「テニスシューズ」(部分一致) → 「テニスシューズ」を含む検索のみ除外、「テニス用の靴」は除外されない

このため、配信キーワードと同じ感覚で除外キーワードを設定すると、除外漏れが発生しやすくなります。 除外したい語句のバリエーションを想定し、複数パターンを登録する必要があるのです。

類義語への非対応

除外キーワードが配信キーワードと大きく異なる点として、類義語への拡張がないことが挙げられます。 配信キーワードでは、登録した語句の類義語や関連語句に対しても自動的に広告が表示されます。 しかし、除外キーワードではこの拡張機能が働きません。

たとえば、「シューズ」を除外キーワードとして登録しても、以下の検索は除外されません。

  • 「靴」
  • 「スニーカー」
  • 「フットウェア」
  • 「履物」

これらの語句も除外したい場合は、それぞれ個別に除外キーワードとして登録する必要があります。 同様に、ひらがな・カタカナの違いについても自動では対応されません。 「シューズ」と「しゅーず」は別の語句として扱われるため、両方を登録しなければなりません。

類義語や表記ゆれを漏れなく除外するためには、以下の対策が有効です。

  • 除外したい語句の類義語をリストアップする
  • 検索語句レポートで実際に使われている表現を確認する
  • 定期的に除外キーワードの見直しを行う

スペースの扱い

除外キーワードにおいて、スペースの有無は非常に重要です。 配信キーワードではスペースの有無を柔軟に解釈してくれますが、除外キーワードでは厳密に判定されます。

「ランニング シューズ」と「ランニングシューズ」は、除外キーワードとしては別の語句として扱われます。 「ランニング シューズ」を除外キーワードに設定しても、「ランニングシューズ」という検索は除外されません。 逆もまた同様です。

この仕様は、日本語特有の問題を引き起こすことがあります。

  • 「化粧水 おすすめ」と「化粧水おすすめ」
  • 「東京 ホテル」と「東京ホテル」
  • 「英会話 無料」と「英会話無料」

実際の検索では、スペースありとなしの両方のパターンが使われます。 確実に除外するためには、両方のパターンを登録しておくことが推奨されます。

スペースの扱いに関する注意点をまとめると以下のようになります。

  • 全角スペースと半角スペースは区別される
  • スペースありとなしは別の語句として判定される
  • 複数のスペースパターンを想定して登録する
  • 検索語句レポートで実際の検索パターンを確認する

部分一致の除外

部分一致は、除外キーワードの中で最も広い範囲をカバーできるマッチタイプです。 登録したキーワードに含まれるすべての語句が、検索語句に含まれている場合に除外が適用されます。 多くの広告運用者が最初に検討するマッチタイプといえるでしょう。

除外範囲の特性

部分一致の除外では、登録した語句のすべてが検索に使用された場合に広告が表示されなくなります。 ただし、一部の語句のみが含まれている場合は除外されません。

「ランニング シューズ」を部分一致で除外した場合の動作を見てみましょう。

検索語句 広告の表示
ランニング シューズ 表示されない
シューズ ランニング 表示されない
青い ランニング シューズ 表示されない
ランニング 用 シューズ おすすめ 表示されない
ランニング ウェア 表示される
テニス シューズ 表示される

「ランニング」と「シューズ」の両方が含まれていれば、語順に関係なく除外されます。 一方、どちらか片方しか含まれていない場合は除外されず、広告が表示されます。

この特性を活かすと、特定の組み合わせを効率的に除外できます。 たとえば、「無料 サンプル」を部分一致で除外すれば、「サンプル 無料」や「無料の商品サンプル」なども一括で除外できるのです。

語順の影響

部分一致の除外では、語順は考慮されません。 登録した語句がすべて含まれていれば、どのような順番で検索されても除外が適用されます。

この特性は、柔軟な除外設定を可能にする一方で、意図しない除外を引き起こすリスクもあります。 たとえば、「東京 大阪」を部分一致で除外した場合、以下のような検索がすべて除外されます。

  • 「東京 大阪 新幹線」
  • 「大阪 から 東京 への 行き方」
  • 「東京 と 大阪 の ホテル 比較」

語順を問わないため、想定以上に広い範囲が除外されることがあります。 除外範囲を限定したい場合は、フレーズ一致や完全一致の使用を検討しましょう。

語順の影響を受けない部分一致の特性は、以下のような場面で有効活用できます。

  • 特定の2語以上の組み合わせをまとめて除外したいとき
  • 検索パターンが多様で、すべてを個別に登録するのが困難なとき
  • 明らかに自社と無関係な語句の組み合わせを除外したいとき

推奨される理由

多くの広告運用者やGoogle広告の解説記事では、除外キーワードには部分一致の使用が推奨されています。 その主な理由は、除外漏れを防ぎやすいからです。

配信キーワードとは異なり、除外キーワードには類義語への拡張がありません。 そのため、完全一致やフレーズ一致だけでは、想定外の検索パターンを除外しきれないことがあります。 部分一致を使えば、登録した語句を含むさまざまな検索パターンをカバーできます。

部分一致が推奨される具体的な理由は以下のとおりです。

  • 語順を問わず除外できるため、漏れが少ない
  • 複数の登録が必要なケースを減らせる
  • 新しい検索パターンにも対応しやすい
  • 運用の手間を軽減できる

ただし、部分一致は除外範囲が広いため、機会損失のリスクも高まります。 本来は広告を表示すべき検索まで除外してしまう可能性があるのです。 除外キーワードの選定は慎重に行い、定期的に見直すことが大切です。

フレーズ一致の除外

フレーズ一致は、部分一致と完全一致の中間に位置するマッチタイプです。 登録した語句が同じ語順で含まれている場合にのみ除外が適用されます。 除外範囲をある程度限定しつつ、柔軟性も確保したいときに有効です。

除外範囲の特性

フレーズ一致では、登録した語句と同じ語順で検索された場合に広告が表示されなくなります。 語順が異なる場合は除外されず、広告が表示されます。

「ランニング シューズ」をフレーズ一致で除外した場合の動作は以下のとおりです。

検索語句 広告の表示
ランニング シューズ 表示されない
青い ランニング シューズ 表示されない
ランニング シューズ おすすめ 表示されない
シューズ ランニング 表示される
ランニング 用の シューズ 表示される
ランニング ウェア 表示される

「ランニング」の直後に「シューズ」が続く検索は除外されますが、語順が逆の「シューズ ランニング」は除外されません。 また、「ランニング」と「シューズ」の間に別の語句が入る「ランニング 用の シューズ」も除外対象外となります。

この特性を活かすと、特定のフレーズを含む検索だけを除外できます。 語順が重要な意味を持つ検索語句の除外に適しています。

語順の固定

フレーズ一致の最大の特徴は、語順が固定される点です。 登録した語句がまったく同じ順番で並んでいる場合にのみ、除外が適用されます。

この特性は、語順によって検索意図が変わるケースで役立ちます。 たとえば、「東京 発 大阪 行き」と「大阪 発 東京 行き」では、ユーザーが求める情報が異なります。 フレーズ一致を使えば、特定の方向の検索だけを除外することが可能です。

語順の固定が有効な場面の例を挙げます。

  • 「○○ とは」という情報検索系のクエリを除外したいとき
  • 「無料 ○○」のように、特定の語句で始まる検索を除外したいとき
  • 地名や固有名詞の順番に意味があるとき
  • 特定のフレーズが含まれるかどうかで検索意図が判断できるとき

ただし、語順が固定されるため、想定外の語順で検索された場合は除外されません。 完全な除外を目指すなら、部分一致の使用や複数パターンの登録を検討してください。

完全一致の除外

完全一致は、最も除外範囲が狭いマッチタイプです。 登録した語句と検索語句が完全に一致した場合にのみ除外が適用されます。 ピンポイントで特定の検索を除外したいときに使用します。

除外範囲の特性

完全一致では、登録した語句と完全に同じ検索が行われた場合のみ広告が表示されなくなります。 前後に別の語句が付いていたり、語順が異なったりすると除外されません。

「ランニング シューズ」を完全一致で除外した場合の動作を確認しましょう。

検索語句 広告の表示
ランニング シューズ 表示されない
青い ランニング シューズ 表示される
ランニング シューズ おすすめ 表示される
シューズ ランニング 表示される
ランニングシューズ 表示される

「ランニング シューズ」という検索に対してのみ除外が適用されます。 それ以外の検索では、たとえ「ランニング」と「シューズ」が含まれていても広告が表示されます。

この特性から、完全一致は非常に限定的な除外設定に向いています。 特定の検索語句だけを確実に除外したい場合に使用するとよいでしょう。

使用頻度の少なさ

実際の広告運用において、完全一致の除外はあまり使用されません。 その理由は、除外範囲が狭すぎて実用的でないケースが多いからです。

ユーザーの検索パターンは非常に多様です。 同じ意図を持つ検索でも、語句の追加や語順の変化、表記ゆれなど、さまざまなバリエーションが存在します。 完全一致では、これらのバリエーションに対応できません。

完全一致の除外が有効なケースは限られています。

  • 検索語句レポートで確認した特定の語句だけを除外したいとき
  • 他のマッチタイプだと機会損失のリスクが高いとき
  • テスト的に特定の検索のみ除外して効果を検証したいとき
  • 非常に限定的な検索語句への対応が必要なとき

多くの場合、部分一致またはフレーズ一致を使用したほうが効率的です。 完全一致は、特殊なケースでの使用にとどめることをおすすめします。

除外キーワードの選定方法


除外キーワードの効果を最大化するには、
適切なキーワードを選定することが重要です。 やみくもに設定すると、機会損失を招いたり、効果が得られなかったりします。 ここでは、配信前と配信後それぞれの選定方法について解説します。

配信前の事前選定

広告配信を開始する前に、あらかじめ除外キーワードを設定しておくことは有効な戦略です。 明らかに不要な検索語句を事前に除外しておけば、最初からムダな広告費を抑えられます。 配信前の選定方法について見ていきましょう。

関連語句の洗い出し

配信前の選定では、まず配信キーワードに関連する語句を洗い出すことから始めます。 配信キーワードがどのような検索語句と一緒に使われるかを想定し、その中から除外すべきものを特定します。

たとえば、有料のオンライン英会話サービスを宣伝する場合を考えてみましょう。 「オンライン英会話」というキーワードで広告を配信すると、さまざまな検索語句に対して広告が表示されます。

洗い出しの際に考慮すべき観点は以下のとおりです。

  • 無料や格安を求める検索(「無料」「フリー」「タダ」など)
  • 比較や情報収集目的の検索(「比較」「ランキング」「口コミ」など)
  • 競合他社名を含む検索
  • 関連するが購買につながらない検索(「求人」「講師」「やり方」など)
  • 地域限定で自社がサービス提供していないエリアの検索

これらの観点から、自社のビジネスにつながらない検索語句をリストアップします。 ブレインストーミング形式で、チームメンバーと一緒に洗い出すのも効果的です。

ツールを使った候補抽出

関連語句の洗い出しには、キーワードリサーチツールの活用が効率的です。 手作業では思いつかない検索パターンを発見できることがあります。

代表的なツールとその特徴は以下のとおりです。

ツール名 特徴 料金
Googleキーワードプランナー Google公式ツール、検索ボリュームがわかる 無料(広告出稿が必要)
ラッコキーワード サジェストキーワードを一括取得 無料プランあり
Ubersuggest 関連キーワードと競合分析 無料プランあり
TACT SEO 関連キーワードの網羅的な抽出 有料

これらのツールを使うことで、ユーザーが実際に検索している語句を把握できます。 抽出した関連語句の中から、除外すべきものを選定していきましょう。

ツールで抽出した結果は、スプレッドシートにまとめておくと管理しやすくなります。 配信キーワードごとに関連語句をリスト化し、除外候補にマークを付けていく方法がおすすめです。

ラッコキーワードの活用

ラッコキーワードは、除外キーワードの候補抽出に非常に便利なツールです。 無料で使えるうえ、Googleのサジェストキーワードを一括で取得できます。

ラッコキーワードの使い方は簡単です。

  • ラッコキーワードのサイトにアクセスする
  • 検索窓に配信キーワードを入力する
  • 「サジェスト(Google)」を選択して検索を実行する
  • 表示されたキーワード一覧をコピーまたはダウンロードする
  • ダウンロードしたデータから除外候補を選定する

取得したサジェストキーワードの中から、自社のビジネスに関連しないものを抽出します。 たとえば、「オンライン英会話」で検索すると、「オンライン英会話 無料」「オンライン英会話 効果なし」などのキーワードが見つかることがあります。

検索ボリュームが0より大きく、かつ自社広告と関連性がないものが除外候補となります。 ラッコキーワードとGoogleキーワードプランナーを組み合わせると、より精度の高い選定が可能です。

配信後のデータ分析による選定

広告配信を開始した後は、実際のデータにもとづいて除外キーワードを選定します。 配信前の事前選定だけでは想定できなかった検索語句を発見し、継続的に除外キーワードを追加していくことが重要です。

検索語句レポートの確認手順

配信後の選定で最も重要なのが、検索語句レポートの確認です。 このレポートでは、実際にユーザーがどのような語句で検索し、広告がクリックされたかを確認できます。

Google広告での検索語句レポートの確認手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 左側メニューから「キャンペーン」を選択する
  • 「分析情報とレポート」タブをクリックする
  • 「検索語句」を選択する
  • 確認したい期間を設定する(1か月、3か月など)
  • データをダウンロードして詳細を分析する

レポートをダウンロードしたら、Excelやスプレッドシートで分析を行います。 費用やクリック数、コンバージョン数などの指標をもとに、除外すべき検索語句を特定していきます。

検索語句レポートは定期的に確認することが大切です。 週に1回、または最低でも月に1回は確認する習慣をつけましょう。

コストの高い非関連語句の特定

検索語句レポートの分析では、コストの高い非関連語句から優先的に確認します。 広告費を多く消費しているにもかかわらず、自社の商品やサービスと関係のない検索語句は、除外の最優先候補です。

コストの高い非関連語句を特定する手順は以下のとおりです。

  • ダウンロードしたレポートを開く
  • 「費用」列を降順でソートする
  • 上位から順に検索語句を確認する
  • 自社のビジネスと関連性が低いものをマークする
  • コンバージョンの有無を確認する
  • 除外キーワードとして登録する

費用が高く、かつコンバージョンがゼロの検索語句は、すぐに除外しても問題ないケースが多いです。 一方、コンバージョンが発生している場合は、CPAが目標内かどうかを確認してから判断します。

目標CPA10,000円で運用している場合、コンバージョンが1件で費用が20,000円かかっている検索語句は除外を検討すべきです。

コンバージョン未獲得語句の分析

コンバージョンが発生していない検索語句も、除外候補として分析する価値があります。 ただし、すべてを除外するのではなく、慎重に判断することが重要です。

コンバージョン未獲得語句の分析では、以下の点を考慮します。

  • 使用した広告費が目標CPAを超えているか
  • 自社の商品やサービスとの関連性はあるか
  • クリック数は十分に蓄積されているか
  • 期間を延ばすとコンバージョンが発生しているか
  • 件数重視かCPA重視か、運用の優先順位は何か

関連性がある検索語句の場合、除外以外の改善策を検討することも重要です。 広告文の変更やランディングページの改善によって、コンバージョンにつながる可能性があるからです。

反対に、明らかに関連性がない検索語句は、コンバージョンが発生していなければ速やかに除外しましょう。

除外すべきキーワードの特徴

除外キーワードとして登録すべき語句には、いくつかの共通した特徴があります。 これらの特徴を把握しておくことで、効率的に除外候補を見つけられます。

購買意欲が低い語句(無料、フリーなど)

「無料」や「フリー」を含む検索語句は、除外キーワードの代表例です。 これらの語句を検索しているユーザーは、お金を払う意思が低い傾向にあります。

有料サービスや商品を販売している場合、こうした検索からのコンバージョンは期待できません。 広告がクリックされても購入にはつながらず、広告費だけが消費されてしまいます。

購買意欲が低いと判断できる語句の例は以下のとおりです。

  • 「無料」「フリー」「タダ」「0円」
  • 「格安」「激安」「安い」(高価格帯商品の場合)
  • 「自分で」「DIY」「手作り」(サービス提供の場合)
  • 「いらない」「不要」「解約」
  • 「代替」「代わり」(特定商品の宣伝の場合)

ただし、無料トライアルや無料サンプルを提供している場合は、除外しないほうがよいケースもあります。 自社のビジネスモデルに合わせて判断してください。

情報収集目的の語句(ブログ、Amazonなど)

情報収集や比較検討を目的とした検索語句も、除外候補になることがあります。 これらの検索をしているユーザーは、まだ購入の意思決定には至っていないことが多いです。

特に、以下のような語句を含む検索は注意が必要です。

  • 「ブログ」「記事」「まとめ」
  • 「Amazon」「楽天」「メルカリ」(自社ECサイトへの誘導の場合)
  • 「とは」「意味」「定義」
  • 「仕組み」「やり方」「方法」
  • 「比較」「ランキング」「おすすめ」(場合による)

ただし、インフォメーショナルクエリがすべて悪いわけではありません。 「比較」や「おすすめ」などは、購入直前のユーザーが検索することもあります。 実際のコンバージョンデータを確認してから判断することが大切です。

関連性の低い語句

自社の商品やサービスとまったく関連性がない検索語句は、優先的に除外すべきです。 部分一致で配信している場合、思わぬ検索語句に広告が表示されることがあります。

関連性の低い語句の例を挙げます。

  • 同音異義語(「橋」と「箸」、「雲」と「蜘蛛」など)
  • 略称が同じ別の商品やサービス
  • 競合他社の商品名
  • 類似しているが用途が異なる商品

これらの検索語句に対して広告が表示されても、ユーザーのニーズと合致しないためクリックされにくく、クリックされてもコンバージョンには至りません。

検索語句レポートを確認し、「なぜこの検索に広告が表示されたのか」がわからないものがあれば、それは関連性が低い語句である可能性が高いです。

採算の合わない語句

コンバージョンが発生していても、CPAが目標を大きく超えている検索語句は除外を検討します。 費用対効果が見合わないまま配信を続けると、広告全体のパフォーマンスが悪化するためです。

採算が合うかどうかの判断基準は以下を参考にしてください。

状況 判断
CPAが目標の2倍以上、改善の見込みなし 除外を検討
CPAが目標の1.5〜2倍、改善の余地あり 他の施策を試してから判断
CPAが目標の1.5倍以内 配信継続で様子を見る
CPAが目標以内 配信継続

ただし、コンバージョンが発生している検索語句の除外は慎重に行うべきです。 広告文やランディングページの改善によって、CPAが改善する可能性もあるからです。

除外する前に、期間を延ばしてデータを確認したり、A/Bテストを実施したりすることをおすすめします。

除外キーワードの設定方法


除外キーワードの選定が完了したら、実際にGoogle広告の管理画面で設定を行います。 設定は
アカウント単位、キャンペーン単位、広告グループ単位の3つのレベルで可能です。 それぞれの設定方法と特徴について解説します。

アカウント単位の設定

アカウント単位の設定は、すべてのキャンペーンに一括で除外キーワードを適用できる方法です。 どのキャンペーンでも共通して除外したい語句がある場合に便利です。

設定手順

Google広告でアカウント単位の除外キーワードを設定する手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 左側メニューの「管理者」をクリックする
  • 「アカウント設定」を選択する
  • 「除外キーワード」のセクションを開く
  • 「+」ボタンをクリックする
  • 除外キーワードを入力する(マッチタイプの記号を含む)
  • 「保存」をクリックして設定を完了する

入力する際は、1行につき1キーワードを記載します。 マッチタイプを指定する場合は、部分一致はそのまま、フレーズ一致は「” “」で囲み、完全一致は「[ ]」で囲んで入力します。

設定が完了すると、除外キーワード一覧に登録したキーワードが表示されます。 正しく設定できているか、内容を確認しておきましょう。

適用範囲と制限(最大1,000個)

アカウント単位の除外キーワードには、最大1,000個という制限があります。 この上限を超えて登録することはできないため、計画的に管理する必要があります。

アカウント単位で除外した場合の適用範囲は以下のとおりです。

  • 検索キャンペーン
  • P-MAXキャンペーン
  • アプリキャンペーン
  • ショッピングキャンペーン
  • スマートショッピングキャンペーン
  • スマートアシストキャンペーン
  • ローカルキャンペーン

これらのキャンペーンの検索広告枠とショッピング広告枠に自動的に適用されます。 ディスプレイキャンペーンや動画キャンペーンには適用されない点に注意が必要です。

1,000個の上限に達しそうな場合は、優先度の低い除外キーワードを削除したり、キャンペーン単位での設定に切り替えたりすることを検討してください。

自動適用の仕組み

アカウント単位で設定した除外キーワードは、新しいキャンペーンにも自動的に適用されます。 個別に設定する手間が省けるため、運用効率が向上します。

自動適用の仕組みは、以下のように機能します。

  • 既存のすべての対象キャンペーンに即座に適用される
  • 今後作成する新規キャンペーンにも自動で適用される
  • キャンペーンごとに個別の設定は不要
  • 除外キーワードの追加・削除も全キャンペーンに反映される

この便利な仕組みを活かすには、アカウント全体で共通して除外すべき語句を選定することが重要です。 「無料」「求人」「口コミ」など、どのキャンペーンでも除外したい語句はアカウント単位で設定するとよいでしょう。

キャンペーン単位の設定

キャンペーン単位の設定は、特定のキャンペーンにのみ除外キーワードを適用する方法です。 キャンペーンごとに異なる除外設定が必要な場合に使用します。

設定手順

キャンペーン単位で除外キーワードを設定する手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 設定したいキャンペーンを選択する
  • 左側メニューの「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」をクリックする
  • 「検索キーワード」を選択する
  • 「除外検索キーワード」タブをクリックする
  • 「+」ボタンから「除外キーワードを追加、または新しいリストを作成」を選択する
  • 追加先で「キャンペーン」を選択する
  • 除外キーワードを入力して「保存」をクリックする

キャンペーン単位の設定では、そのキャンペーン内のすべての広告グループに除外が適用されます。 キャンペーン全体で共通して除外したい語句を設定するのに適しています。

キャンペーン別の除外

複数のキャンペーンを運用している場合、キャンペーンごとに異なる除外設定が必要になることがあります。 たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 商品Aのキャンペーンでは競合Bを除外、商品Bのキャンペーンでは競合Aを除外
  • ブランド名キャンペーンでは一般名称を除外、一般名称キャンペーンではブランド名を除外
  • 高価格帯キャンペーンでは「安い」を除外、低価格帯キャンペーンでは除外しない
  • 地域限定キャンペーンでは他地域名を除外

キャンペーン別の除外を活用することで、より精度の高いターゲティングが可能になります。 アカウント単位では対応できない細かい調整が必要な場合に有効です。

広告グループ単位の設定

広告グループ単位の設定は、最も細かいレベルでの除外設定を可能にします。 同じキャンペーン内でも、広告グループごとに異なる除外が必要な場合に使用します。

設定手順

広告グループ単位で除外キーワードを設定する手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 設定したいキャンペーンと広告グループを選択する
  • 左側メニューの「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」をクリックする
  • 「検索キーワード」を選択する
  • 「除外検索キーワード」タブをクリックする
  • 「+」ボタンから「除外キーワードを追加、または新しいリストを作成」を選択する
  • 追加先で「広告グループ」を選択する
  • 対象の広告グループを指定する
  • 除外キーワードを入力して「保存」をクリックする

広告グループ単位の設定は、その広告グループ内でのみ有効です。 同じキャンペーン内の他の広告グループには影響しません。

細かい調整の実現

広告グループ単位の除外設定を活用すると、非常に細かい調整が可能になります。 特に、似たような商品やサービスを複数の広告グループで展開している場合に有効です。

細かい調整が有効な場面の例を挙げます。

シナリオ 設定内容
メンズ商品とレディース商品を別グループで運用 メンズグループで「レディース」を除外、その逆も設定
初心者向けと上級者向けを別グループで運用 初心者グループで「プロ」「上級」を除外
単品販売とセット販売を別グループで運用 単品グループで「セット」「まとめ買い」を除外

広告グループ単位の設定は便利ですが、管理が複雑になりやすいというデメリットもあります。 必要以上に細かく設定すると、運用の負担が増えてしまいます。 基本的にはキャンペーン単位で設定し、必要な場合のみ広告グループ単位で追加するのがおすすめです。

除外キーワードリストの活用

除外キーワードリストは、複数のキャンペーンに同じ除外キーワードを適用できる便利な機能です。 効率的な除外キーワード管理に欠かせない機能といえます。

リスト作成のメリット

除外キーワードリストを作成するメリットは多岐にわたります。 運用効率の向上と管理のしやすさが最大のメリットです。

リスト作成のメリットを具体的に挙げると以下のとおりです。

  • 複数のキャンペーンへの一括適用ができる
  • 除外キーワードの追加・削除が一か所で完結する
  • テーマ別にリストを分けて管理できる
  • 新規キャンペーン作成時の設定漏れを防げる
  • チームでの共有・引き継ぎがしやすい

たとえば、「競合他社名リスト」「購買意欲低語句リスト」「情報収集系語句リスト」などのように、目的別にリストを作成しておくと管理が楽になります。

リストを活用することで、除外キーワードの設定作業が大幅に効率化されます。

複数キャンペーンへの適用方法

作成した除外キーワードリストを複数のキャンペーンに適用する手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 「ツール」メニューから「共有ライブラリ」を選択する
  • 「除外キーワードリスト」をクリックする
  • 「+」ボタンで新しいリストを作成する
  • リスト名を入力し、除外キーワードを追加する
  • 「保存」をクリックしてリストを作成する
  • 作成したリストを選択し、「キャンペーンに適用」をクリックする
  • 適用したいキャンペーンを選択する

リストに新しい除外キーワードを追加すると、適用しているすべてのキャンペーンに自動的に反映されます。 個別のキャンペーンで設定し直す必要がないため、作業時間を大幅に短縮できます。

ただし、除外キーワードリストはキャンペーン単位でのみ適用可能です。 広告グループ単位での適用はできないため、細かい調整が必要な場合は直接設定する必要があります。

リストの上限(最大20個、各5,000語)

除外キーワードリストには、以下の上限が設定されています。

項目 上限
作成できるリスト数 最大20個
1リストあたりの除外キーワード数 最大5,000語

この上限を意識して、計画的にリストを管理することが重要です。 リストが20個に達してしまうと、新しいリストを作成できなくなります。

効率的なリスト管理のポイントは以下のとおりです。

  • テーマや目的ごとにリストを分ける
  • 使用頻度の低いリストは統合を検討する
  • 定期的にリストの内容を見直す
  • 不要になった除外キーワードは削除する
  • リスト名はわかりやすい名称にする

上限に余裕がない場合は、アカウント単位の除外キーワード(最大1,000個)と組み合わせて活用しましょう。

検索語句から直接除外する方法


検索語句レポートから直接除外キーワードを追加する方法は、
日常的な運用で最もよく使われる手法です。 実際のデータにもとづいて除外設定ができるため、精度の高い運用が可能になります。

検索語句レポートからの除外手順

検索語句レポートから直接除外キーワードを追加する手順を詳しく解説します。 この方法は、数クリックで除外設定が完了するため非常に効率的です。

具体的な手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面にログインする
  • 除外設定したいキャンペーンを選択する
  • 左側メニューの「分析情報とレポート」をクリックする
  • 「検索語句」を選択する
  • 期間を設定する(14日、30日など)
  • 除外したい検索語句のチェックボックスにチェックを入れる
  • 上部に表示される「除外キーワードとして追加」をクリックする
  • 追加先(広告グループ、キャンペーン、リスト)を選択する
  • マッチタイプを確認・変更する
  • 「保存」をクリックして完了する

検索語句から直接除外すると、デフォルトでは完全一致が設定されます。 より広い範囲を除外したい場合は、マッチタイプを部分一致やフレーズ一致に変更してください。

除外が完了すると、検索語句レポートの該当語句に除外マークが表示されます。 正しく設定できたことを確認しておきましょう。

効率的な除外作業の進め方

検索語句レポートの確認と除外作業を効率的に進めるには、作業の優先順位を決めることが重要です。 すべての検索語句を確認するのは現実的ではないため、インパクトの大きいものから対応します。

効率的な除外作業の進め方は以下のとおりです。

ステップ 作業内容 ポイント
1 費用を降順でソート 広告費の大きい語句から確認
2 コンバージョンを確認 CVなしで費用が目標CPAを超えるものを特定
3 関連性を判断 自社ビジネスとの関連性を評価
4 除外を実行 明らかに不要な語句を除外
5 保留リストを作成 判断に迷うものは記録して後日再確認

「費用は高いがコンバージョンがゼロ」の検索語句は、優先的に除外すべき候補です。 一方、コンバージョンが発生している語句は、CPAを確認してから慎重に判断します。

作業時間を決めて取り組むことも重要です。 週に1回30分など、定期的なルーティンとして組み込むと継続しやすくなります。

一括除外の方法

複数の検索語句を一度に除外したい場合は、一括除外機能を活用します。 この機能を使えば、効率的に多数の除外キーワードを追加できます。

一括除外の手順は以下のとおりです。

  • 検索語句レポートを表示する
  • Ctrlキー(MacはCommandキー)を押しながら、除外したい語句を複数選択する
  • または、チェックボックスを順番にクリックして選択する
  • 「除外キーワードとして追加」をクリックする
  • 追加先とマッチタイプを設定する
  • 「保存」をクリックする

一括選択を活用すれば、一度の操作で数十件の除外設定が可能です。 ただし、一括で設定すると細かいマッチタイプの調整ができないため、注意が必要です。

より細かく管理したい場合は、以下の方法も検討してください。

  • 検索語句レポートをダウンロードする
  • Excelやスプレッドシートで除外候補を選定する
  • マッチタイプの記号を付けてリスト化する
  • 除外キーワードリストに一括でコピー&ペーストする

この方法なら、語句ごとに適切なマッチタイプを設定できます。

除外キーワード運用の効率化


除外キーワードの設定は継続的な作業になるため、
効率化のテクニックを身につけることが重要です。 ここでは、運用を効率化するためのノウハウを紹介します。

一語ワード登録のテクニック

除外キーワードの効率化で非常に有効なのが、一語ワードでの登録です。 このテクニックを使えば、関連するさまざまな検索パターンを一度に除外できます。

たとえば、「Amazon 化粧水」を部分一致で除外した場合を考えてみましょう。 この設定では、「Amazon 化粧水」を含む検索は除外されますが、「Amazon スキンケア」や「Amazon 美容液」は除外されません。

一方、「Amazon」を一語で部分一致登録すると、以下のすべてが除外されます。

  • Amazon 化粧水
  • 化粧水 Amazon
  • Amazon スキンケア
  • Amazon 美容液
  • Amazon 購入
  • Amazon 最安値

このように、一語で登録することで除外の網羅性が大幅に向上します。

一語ワード登録が有効なキーワードの例は以下のとおりです。

  • 競合他社名(「Amazon」「楽天」など)
  • 購買意欲低下語句(「無料」「タダ」など)
  • 求人関連語句(「求人」「転職」「採用」など)
  • ネガティブワード(「悪い」「最悪」「詐欺」など)

ただし、一語での除外は影響範囲が広いため、慎重に判断する必要があります。 本来表示すべき検索まで除外してしまわないよう、十分に検討してから設定しましょう。

表記ゆれへの対応

除外キーワードには類義語や表記ゆれへの自動対応がないため、手動での対応が必要です。 表記ゆれを網羅しないと、除外漏れが発生してしまいます。

大文字・小文字

英語の大文字と小文字については、自動で同一視されます。 これは除外キーワードの中で数少ない自動対応の機能です。

たとえば、「iPhone」を除外キーワードに設定すると、以下のすべてが除外されます。

  • iPhone
  • iphone
  • IPHONE
  • IPhone

大文字・小文字の違いについては、個別に登録する必要がありません。 1パターンを登録すれば、すべての大文字・小文字パターンに対応できます。

ひらがな・カタカナ

ひらがなとカタカナは別の語句として扱われるため、両方の登録が必要です。 これは日本語特有の問題として、多くの運用者が見落としがちなポイントです。

たとえば、「シューズ」を除外しても、「しゅーず」は除外されません。 両方のパターンを除外したい場合は、以下のように登録します。

  • シューズ
  • しゅーず

同様に、漢字とひらがなも別の語句として扱われます。

  • くつ
  • クツ

すべての表記パターンを想定して登録することが、除外漏れを防ぐポイントです。 検索語句レポートで実際にどのような表記が使われているかを確認し、漏れがないように設定しましょう。

スペースの有無への対応

前述のとおり、除外キーワードではスペースの有無が厳密に判定されます。 「ランニング シューズ」と「ランニングシューズ」は別の語句として扱われるため、両方の登録が必要です。

スペースの有無に対応するためのポイントは以下のとおりです。

  • スペースありとなしの両方を登録する
  • 全角スペースと半角スペースも区別される点に注意する
  • 検索語句レポートで実際のパターンを確認する
  • 複合語の場合は特に注意が必要

具体例を挙げると、「化粧水 おすすめ」を除外したい場合は以下のパターンを登録します。

登録パターン 対応する検索
化粧水 おすすめ 化粧水 おすすめ(半角スペース)
化粧水 おすすめ 化粧水 おすすめ(全角スペース)
化粧水おすすめ 化粧水おすすめ(スペースなし)

ただし、一語ワードでの登録を活用すれば、スペースの問題を回避できることもあります。 「おすすめ」を一語で除外すれば、スペースの有無に関係なく除外が適用されます。

定期的な見直しの重要性

除外キーワードの設定は、一度やって終わりではありません。 定期的な見直しと追加が、効果的な運用には欠かせません。

定期的な見直しが必要な理由は以下のとおりです。

  • 新しい検索パターンが日々生まれている
  • 部分一致の拡張により、新しい検索語句が表示される
  • 市場環境や競合状況の変化に対応する必要がある
  • 過去に設定した除外が今も適切かどうか確認が必要

見直しの頻度としては、最低でも月に1回は検索語句レポートを確認することをおすすめします。 広告費の規模が大きい場合は、週に1回の確認が理想的です。

見直しの際にチェックすべきポイントは以下のとおりです。

  • 新たに発生した不要な検索語句はないか
  • 過度な除外により機会損失が発生していないか
  • 除外キーワードと配信キーワードが矛盾していないか
  • マッチタイプは適切か

定期的な見直しを習慣化することで、広告のパフォーマンスを継続的に改善できます。

株式会社エッコでは、お客様のGoogle広告アカウントを定期的に分析し、除外キーワードの最適化を含めた運用改善をサポートしています。 自社での運用に不安がある場合は、専門家への相談も検討してみてください。

除外キーワード設定時の注意点


除外キーワードは便利な機能ですが、
設定を誤ると逆効果になることもあります。 ここでは、設定時に注意すべきポイントについて解説します。

過度な除外による機会損失

除外キーワードを設定しすぎると、本来広告を表示すべき検索まで除外してしまうリスクがあります。 これは「機会損失」と呼ばれ、広告運用において最も避けたい事態のひとつです。

過度な除外が発生しやすいケースは以下のとおりです。

  • 部分一致で広い意味を持つ語句を除外した
  • 関連性の判断を誤って除外した
  • 一時的に成果が出ていない語句を急いで除外した
  • コンバージョンの可能性がある語句まで除外した
  • 検討期間が短すぎる段階で除外を決定した

機会損失を防ぐためには、除外の判断を慎重に行うことが重要です。 特に、コンバージョンが発生している検索語句や、自社ビジネスと関連性がある語句の除外は慎重に検討してください。

判断に迷う場合は、すぐに除外するのではなく、一定期間データを蓄積してから判断することをおすすめします。 また、除外した後も効果を検証し、必要に応じて除外を解除することも大切です。

配信キーワードとの矛盾

除外キーワードと配信キーワードが矛盾する設定になっていないか確認が必要です。 同じ語句を配信キーワードと除外キーワードの両方に設定すると、意図しない動作が発生することがあります。

配信キーワードと除外キーワードが矛盾している例を挙げます。

配信キーワード 除外キーワード 問題点
ランニング シューズ シューズ 配信キーワードが部分的に除外される可能性
テニス ラケット テニス テニス関連の検索が広く除外される
化粧水 化粧水 おすすめ 本来獲得したい検索が除外される

このような矛盾が発生すると、広告が意図したとおりに配信されなくなります。 除外キーワードを設定する際は、必ず配信キーワードとの関係を確認しましょう。

競合する除外キーワードの削除機能

Google広告には、競合する除外キーワードを自動で検出する機能があります。 配信キーワードと矛盾する除外キーワードがある場合、管理画面に警告が表示されます。

この機能を活用する手順は以下のとおりです。

  • Google広告の管理画面で「キーワード」を選択する
  • 「検索キーワード」タブをクリックする
  • 警告メッセージが表示されていないか確認する
  • 競合が検出された場合は、内容を確認して対処する
  • 必要に応じて除外キーワードを削除または修正する

警告が表示されたら、意図した設定かどうかを確認してください。 意図せず矛盾が発生している場合は、除外キーワードの削除や修正を行いましょう。

記号の使用制限

除外キーワードに使用できる記号には制限があります。 特定の記号を含む語句を登録しようとすると、エラーが発生して設定できません。

除外キーワードに使用できる記号は以下の3種類のみです。

  • アンパサンド(&)
  • アクセント記号(á など)
  • アスタリスク(*)

これ以外の記号を含む語句は、記号を除いて登録するか、登録を諦める必要があります。 たとえば、「C++」を除外したい場合は、「C」だけを登録するか、別の対処法を検討します。

記号の制限があることを理解したうえで、除外キーワードを選定しましょう。

無効な記号と無視される記号

除外キーワードにおける記号の扱いは複雑です。 無効な記号無視される記号の2種類があることを理解しておきましょう。

無効な記号(使用するとエラーになる記号)は以下のとおりです。

  • カンマ(,)
  • 感嘆符(!)
  • アットマーク(@)
  • パーセント(%)
  • キャレット(^)
  • 丸かっこ(( ))
  • イコール(=)
  • 波かっこ({ })
  • セミコロン(;)
  • チルダ(~)
  • バッククォート(`)
  • 山かっこ(< >)
  • クエスチョンマーク(?)
  • バックスラッシュ(\)
  • 垂直バー(|)

一方、無視される記号(設定はできるが除外判定に影響しない記号)もあります。

  • ピリオド(.):「Fifth Ave.」と「Fifth Ave」は同一視される
  • プラス記号(+):通常は無視されるが、末尾にある場合は例外あり

これらの仕様を理解して、適切な除外キーワードを設定することが重要です。

ディスプレイ・動画広告での除外キーワード


除外キーワードは検索広告だけでなく、
ディスプレイ広告や動画広告でも使用できます。 ただし、検索広告とは動作が異なるため、その違いを理解しておく必要があります。

検索広告との違い

ディスプレイ広告や動画広告における除外キーワードは、検索広告とは根本的に仕組みが異なります。 検索広告ではユーザーの検索語句に対して除外が適用されますが、ディスプレイ・動画広告ではコンテンツに対して除外が適用されます。

主な違いは以下のとおりです。

項目 検索広告 ディスプレイ・動画広告
除外の対象 ユーザーの検索語句 掲載先のコンテンツ
判定方法 語句の一致 トピックやテーマの関連性
マッチタイプ 3種類(部分一致、フレーズ一致、完全一致) トピックベースの除外
精度 高い やや低い

ディスプレイ・動画広告では、除外キーワードに関連するトピックを持つコンテンツへの広告掲載が防がれます。 完全に一致する語句がページ内にない場合でも、関連性が高いと判断されれば除外されることがあります。

この違いを理解して、キャンペーンの種類に応じた除外設定を行うことが重要です。

コンテンツターゲティングへの影響

ディスプレイ広告や動画広告では、コンテンツターゲティングに対して除外キーワードが影響します。 コンテンツターゲティングとは、特定のトピックやキーワードに関連するウェブページや動画に広告を表示する機能です。

除外キーワードを設定すると、そのキーワードに関連するコンテンツへの広告掲載が抑制されます。 ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 他のターゲティング設定(オーディエンス、プレースメントなど)が優先されることがある
  • 除外キーワードが設定されていても、関連コンテンツに広告が表示される場合がある
  • トピックの解釈はGoogleのアルゴリズムに依存する
  • 完全な除外は保証されない

ディスプレイ・動画広告での除外は、検索広告ほど精度が高くないことを理解しておきましょう。 より確実に特定のコンテンツを除外したい場合は、プレースメント除外など他の機能と組み合わせることをおすすめします。

最大1,000個の制限

ディスプレイ広告と動画広告では、アカウント単位で最大1,000個の除外キーワードが設定できます。 この上限は検索広告のアカウント単位の制限と同じです。

制限に関する詳細は以下のとおりです。

  • アカウント単位の除外キーワード:最大1,000個
  • 掲載対象の決定に反映される除外キーワードは最大1,000個まで
  • キャンペーンごとの制限は別途存在する場合がある

この制限を踏まえて、優先度の高い除外キーワードを選定することが重要です。 ディスプレイ・動画広告では、ブランドセーフティの観点から不適切なコンテンツを除外することが主な目的となります。

ブランドイメージを損なう可能性のあるキーワードを中心に、計画的に除外設定を行いましょう。

除外キーワード運用の実践ポイント


ここまで解説してきた内容をもとに、
実際の運用で意識すべきポイントをまとめます。 これらのポイントを押さえることで、除外キーワードの効果を最大化できます。

インテントマッチとの組み合わせ

現在のGoogle広告では、部分一致(インテントマッチ)× 自動入札の組み合わせが主流になっています。 この運用スタイルでは、除外キーワードの重要性がさらに高まります。

インテントマッチは、ユーザーの検索意図を解釈して関連する検索に広告を表示する機能です。 幅広いユーザーにリーチできる反面、意図しない検索にも広告が表示されるリスクがあります。

インテントマッチと除外キーワードを組み合わせる際のポイントは以下のとおりです。

  • インテントマッチの拡張性を活かしつつ、不要な検索を除外で制御する
  • 検索語句レポートを頻繁に確認し、新しい除外候補を発見する
  • 自動入札の学習を妨げないよう、過度な除外は避ける
  • 除外キーワードの効果を定期的に検証する

バランスの取れた運用が、インテントマッチと除外キーワードを効果的に活用するカギです。 広すぎず狭すぎない除外設定を心がけましょう。

こまめな確認・追加の推奨

除外キーワードの運用で最も重要なのは、継続的なメンテナンスです。 一度設定して終わりではなく、定期的に確認と追加を行う必要があります。

こまめな確認・追加が必要な理由を改めて整理します。

理由 詳細
新しい検索トレンドの発生 世の中のトレンドに応じて新しい検索パターンが生まれる
インテントマッチの拡張 Googleのアルゴリズム更新で拡張範囲が変わることがある
競合環境の変化 新しい競合の出現や市場変化への対応が必要
季節要因 季節やイベントに応じて除外すべき語句が変わる

推奨される確認頻度は以下のとおりです。

  • 大規模アカウント(月間広告費100万円以上):週1回
  • 中規模アカウント(月間広告費30〜100万円):2週に1回
  • 小規模アカウント(月間広告費30万円未満):月1回

スケジュールを決めてルーティン化することで、継続的な改善が可能になります。

効果測定の方法

除外キーワードを設定したら、その効果を測定することが重要です。 効果測定を行うことで、除外設定が適切かどうかを判断できます。

効果測定で確認すべき指標は以下のとおりです。

  • クリック率(CTR):除外後に向上していれば効果あり
  • コンバージョン率:関連性の高いクリックが増えれば向上する
  • コンバージョン単価(CPA):ムダなクリックが減れば改善する
  • インプレッション数:過度に減少していないか確認
  • クリック数:必要以上に減少していないか確認

効果測定の具体的な方法は以下のとおりです。

  • 除外設定前後の期間でデータを比較する
  • 同じ期間の前年データと比較する
  • 除外設定を行っていない類似キャンペーンと比較する
  • 週次または月次でトレンドを追跡する

効果が見られない場合や、逆にパフォーマンスが悪化した場合は、除外設定の見直しを検討してください。 機会損失が発生していないか、除外の範囲が適切かを再確認しましょう。

まとめ


本記事では、Google広告の除外キーワードについて、基本的な概念から具体的な設定方法、運用のポイントまで詳しく解説しました。

除外キーワードは、広告の費用対効果を改善するために欠かせない機能です。 適切に設定することで、ムダなクリックを減らし、本当に見込みのあるユーザーにのみ広告を届けられます。

本記事の重要なポイントをまとめます。

  • 除外キーワードには部分一致、フレーズ一致、完全一致の3種類のマッチタイプがある
  • 配信キーワードとは異なり、類義語や表記ゆれへの自動拡張がない
  • 除外キーワードの選定は、配信前の事前選定と配信後のデータ分析の両方が重要
  • 設定はアカウント単位、キャンペーン単位、広告グループ単位で可能
  • 除外キーワードリストを活用すると効率的に管理できる
  • 過度な除外による機会損失に注意が必要
  • 定期的な見直しと追加が効果を維持するカギ

除外キーワードの運用は、継続的なメンテナンスが求められる作業です。 一度設定して終わりではなく、定期的に検索語句レポートを確認し、改善を続けることが成功への近道です。

「自社での運用が難しい」「効果的な除外キーワードの選定がわからない」という場合は、専門家に相談することも選択肢のひとつです。 株式会社エッコでは、名古屋を拠点に全国のお客様のGoogle広告運用をサポートしています。 除外キーワードの設定を含めた広告運用の改善に興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

本記事が、あなたのGoogle広告運用の改善に役立てば幸いです。

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