出典:https://chocozap.jp/

こんにちは、エッコの代表取締役の九郎丸と申します。

皆さんはchocoZAPをご存知でしょうか。
chocoZAPはスタートからわずか1年と4ヶ月で会員数100万人を突破し、日本のフィットネスジム会員数の圧倒的トップに立ちました。

驚異的な成長ですね。
もちろん、マーケティング施策にかける大きな予算が背景にあるのは事実です。
しかし、商品設計やマーケティング手法が優れていなければ1年4ヶ月で100万人以上の会員を獲得することは難しいでしょう。

今回はchocoZAPの成功の背景にあるマーケティング戦略を、決算書をもとに探求してみたいと思います。

株式会社エッコ代表取締役 D.Kuroumaru

中小企業〜上場企業まで7年間で100社以上の案件を担当してWeb制作からWebマーケティングに関わる。
売上や業績UPの実績を多数持ち、1年間で業績を10倍以上上げた実績もある確かなWebコンサルタント。
現在は株式会社エッコの代表取締役社長を務める。

chocoZAPとは

chocoZAPはRIZAPグループが提供するフィットネスジムで、年中無休24時間、月額2,980円でいつでも利用可能です。
簡単」「便利」「楽しい」をコンセプトに全国に1000店舗以上を展開し、会員数は日本一の100万人超えと急速に拡大しています(2023年11月現在)。

chocoZAPは着替えや靴の履き替えが不要で、1日たった5分から気軽なトレーニングができます。
スタッフは基本的に常駐しておらず、セルフサービスが中心
さらに、フィットネス機器だけでなくセルフエステやセルフ脱毛の設備も完備しているのがchocoZAPのユニークな特徴です。

画像:RIZAPグループ2024年3月期第2四半期決算説明会資料より引用

chocoZAPヒットの理由

それでは早速、chocoZAPが短い期間で業績を伸ばすことができた理由を考察していきましょう。

ここからは、保存必須の内容となっております!
 

ヒット要因1:驚きのターゲット設定

chocoZAPの成功の理由一つ目は、誰もが考えつかないような驚きのターゲット設定にあると思っています。
皆さんはマーケティングにおけるターゲット設定というと、どのような対象を考えるでしょうか?

例えば、「40代男性会社員で運動不足を感じているが時間がない人」であったり
「30代女性専業主婦で趣味の一貫としてフィットネスを始めたいが、まずは自分のペースで始めたい人」など。

自社のお客様となるターゲット層を極力鮮明に思い浮かべますよね?

それでは、chocoZAPの公式資料で発表された主なターゲットを見てみましょう。
こちらです。

画像:RIZAPグループ 中期経営計画(2023年3月期〜2026年3月期)より引用

驚愕ですね!
要するに、筋トレ上級者以外ほぼすべてターゲットだと言っているのです。

一見適当に見えるかもしれませんが、これが戦略的に刺さっていることは事実。

実はchocoZAPは敢えてこの広い層をターゲットに設定したことで、競合との差別化が可能となったのです。
なぜならば、競合ジムの顧客層とは異なるからだと考えます。

chocoZAPのターゲットは「定期的にジムに通っている人」ではなく、「継続的にジムに通うことができなかった人」であり
これは既存の市場ではどこも狙えていなかった所なんですね。
また、運動不足を感じて体型を変えたいというものの日常に運動の習慣がない人の数は、日本のフィットネス参加率(3%)をはるかに超えているというデータがあります。
そのため、chocoZAPがこのターゲットに狙いを定めたことは、成功の大きな要因といえるでしょう。

非常に大胆なターゲット設定ですが、実は市場の穴をつくことで
フィットネス業界の中で新たな市場として、自社のポジションを築き上げたのです。

マーケティング戦略としては、“ポジション”の確立も極めて重要です。
競合調査・市場調査を実施し独自のポジションを確立したことはchocoZAP成功の大きな要因であると考えます。

また、この広すぎるターゲット設定でもしっかり顧客にサービスの魅力を届けることができたのは
次に説明するマーケティング手法があってこそ成り立っていると思います。

それでは、その驚異的なマーケティング手法についてご説明します。

ヒット要因2:驚異的なマーケティング手法

chocoZAPの成功理由二つ目は、その驚異的なマーケティング手法かと思われます。

実際何を実施したかというと、「顧客の声を聞く」という非常にシンプルなものです。

具体的には訴求内容のABテストを繰り返し、どの訴求が顧客に刺さるのかを徹底的に検証して顧客の声を聞いている形です。
そして、その検証している量が驚異的なのです。

chocoZAPはデザインや訴求方法などを変えたチラシを500種類以上、バナー広告を4000種類以上、
そしてLP(ランディングページ)を200種類以上作成し、「どれがより良い成果を出せるのか」を検証するABテストを繰り返し実施しました。

その圧倒的な数のABテストで、ユーザーに一番親和性のある勝ちパターンを追求することで驚くべきスピードで成果を出していきました。

例えば、ある広告は「男の指毛要らなくない?」「セルフ脱毛使い放題」という大きなキャッチフレーズの横に
美しい腕の写真が配置されており、第一印象では男性脱毛の広告にも見えます。

画像:RIZAPグループ2024年3月期第1四半期決算補足資料より引用

別の広告では「初心者大歓迎」「5分のちょいトレで60代でも元気に動ける!」と書かれており、元気に運動をする男性が出てきます。
この広告は、運動を続けて健康を保ちたい高齢者に訴求しているように見えます。

すき間時間に運動をすることを提案する広告には、「買い出し前にジム寄るのアリかも!」や「最近、仕事帰りで運動始めました。」という言葉が使われています。
同じすき間時間に運動をすることを提案する広告でも、会社員向けのものと主婦向けのものとイラストやテキストを変えています。
この検証で、すき間時間に運動をすることを提案が「どちらかには刺さるが、どちらかには刺さらない」というような検証結果があったかもしれません。

画像:RIZAPグループ2024年3月期第1四半期決算補足資料より引用

画像:RIZAPグループ2024年3月期第1四半期決算補足資料より引用

幅広くターゲットを設定しているからこそ、それぞれのターゲット層にとってどのような訴求が刺さるのか
それを圧倒的な検証量で調べ上げているのです。

逆に言うと、ここまでの作業量が無いと前段で説明したターゲット設定は成り立たないと言えます。
地道ながらも顧客の声を聞き、それをLPやバナーに反映して改善を繰り返していく。
改めて聞くと当然のことに思えますが、いかに成果を出すためにその当たり前のことが必要であるかお分かりいただけるかと思います。

マーケティングで成果を出すために大切なこと

近年商品やサービスを売るためには、Webを使ったマーケティングが必要不可欠です。
では、Webで成果を出すためにはどのような要素が必要でしょうか。

デザインが素晴らしいWebサイトを作ること?
Googleのアルゴリズムに詳しいこと?
顧客心理を理解すること?広告運用をすること?

もちろん上記のような要素も大切ですが、Webマーケティングで成果を出すには、

成果が出るまでサイトを改善すること
成果が出るように顧客の声を聞くこと

の2つです。

ABテストを使ったマーケティングは地味なマーケティング手法に見えますが、
データを活用したこのマーケティング手法
はWebで成果を出すための最も効果的な手法です。
実際chocoZAPがこのABテストを使ったマーケティング手法で、1年で日本のフィットネスジム会員数日本一になったことで証明されました。

画像:RIZAPグループ2024年3月期第1四半期決算補足資料より引用

 
続いては、弊社でも実際にABテストをくり返し、業績を上げた事例があるので紹介します。
 

【事例】エアコン販売の日本一”元気でんき”様

エッコが提供するWebコンサルティングで”元気でんき”様も同様のABテストを実施し、短期間でその効果を実感しました。

具体的に、元気でんき様はエアコン取り付けの資格を目指す工事士育成を目的とした、3種類のLP(ランディングページ)を制作
それぞれのページで異なるアピールポイントを設定し、どのLPが最も反応が良いかを検証しました。

実際に、内容を変えるだけでコンバージョン率(商品の購入や申込みの割合)が約0.1%違ったりします。
コンバージョン率が0.1%違うと、アクセス数が月に1万〜2万あるサイトであれば月に10件もコンバージョン数が変わります。

そして最後は反響が大きかったLPに絞って広告費を増やすことで、確実に成果を出すことができました。

 

検証した3つのLP

現在でもABテストは継続的に行っており、さらなるコンバージョン率の向上を目指しています。
chocoZAPの例ほど膨大な数検証できる企業は限られているかと思いますが、成果を伸ばす為には地道でもABテストで改善を繰り返すことが大切です。

chocoZAPマーケティング手法のまとめ

今回はchocoZAP成功の背景にあるマーケティング戦略について考察しました。

chocoZAPが行ったマーケティング戦略

ターゲット設定と競合との差別化
chocoZAPは、ターゲットをこれまでに無い市場に設定することで
フィットネス業界の中で独自のポジションを確立しました。
ABテストを繰り返し顧客の声を聞く
ターゲットや訴求方法を変えたチラシやバナー、LPを作成しABテストを繰り返し顧客の潜在的なニーズを特定しました。
また、ABテストで結果の良かった訴求方法でCMを放映し、更に売上の増加を加速させました。

やはりchocoZAPヒットの大きな要因には、Webマーケティングに必要な要素が詰まっていると感じました。
勢い良く業績が上がっている裏側を紐解くと、マーケティングの重要な部分が見えてきますね。

それでは今後も面白いマーケティング事例を紹介していきますので、どうぞお楽しみに!

また、Webマーケティングに関するお悩みは、お気軽に株式会社エッコにご相談ください。
豊富な事例をもとにご相談内容へ最適なご提案をさせていただきます。

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